47 / 139
43
しおりを挟む
信じることができなくて、信じたくなくて、反応ができない。
僕の幻聴なんじゃないか、幻聴であってほしかった。
「お兄様?お待ちくださいっ」
腕をつかまれ、とっさに振りほどいてしまう。そんなことをしたら何をされるかわからないのに、体が勝手に動いてしまった。
反動で声のした方を向いてしまう。現実と向き合いたくなかったのに。
そこには、予想した通りエミリアの姿があった。
どうしてここにいるのか、他人の空似なのではないか、頭はいろんな考えがめぐってまとまらない。信じたくなくて、僕の頭は現実逃避をしたがる。
「まさか、この学園でも問題を起こそうとしているのですか?」
「……な、んで」
ようやく絞り出した声は弱弱しくて、きちんと届いているかもわからないほどだった。
「お兄様は、その、問題児、でしょう?こちらの学園でもし問題を起こしていたら、それこそ家族の恥になってしまうもの。お父様がそれを危惧して、私もこちらの学園に通うことになったの」
訳が分からなかった。
言葉は入ってくるけれど、理解ができない。
「……お兄様は私と一緒に同じ学校に通うなんて、嫌だと思うけれど、これはお兄様のためでもあるのよ?お父様も、お兄様の今後を心配して…」
そのあともエミリアは何かずっと話しているけれど、もう何も聞かなかった。聞きたくなかった。
もうどうでもよかった。離れられる、と思ったけれど、それもできなかった。きっとまた、根も葉もないうわさを立てられて、広められて。今日、仲良くしてくれたルイも、僕を歓迎してくれていたクラスメイトたちも、先生たちもみんな、僕を嫌いになって、怖い目を向けてくるようになるんだ。
大丈夫、元の生活に戻るだけ。ただ、勉強に奔走する毎日に戻るだけ。彼との大切な思い出に縋って、1人で頑張るだけ。
そうやって、自分を励ますことしか、僕にはできなかった。
エミリアは相変わらず大きな声で話しているため、いつものように、僕たちの周りにはいつの間にか人だかりができていた。
「あの子って……もしかして、交換留学できた子?」
「こっちに来て早々トラブルって、大丈夫かよ…」
「男の子と話してる子、中等部の制服だけど、なんで高等部にいるの?」
「あの中等部の子、交換留学できた子の妹なの?2人そろってこっちに通うってどういうこと?なんか問題児って聞こえたけど……」
その人だかりからはたくさんの声が聞こえてくる。
僕たちはこっちに来たばかりだから、余計に人が集まってくるんだろう。まるで物珍しいものにでもなった気分だ。きっと実際、物珍しいのだろうけれど。
やっぱりこの雰囲気にはなれない。あっちの学園でもよくこうして囲まれていたけれど、どうしても怖い。周りの目が怖くてうつむく。
もう、やめてほしかった。もう放っておいて欲しかった。こっちの学園に僕がいれば、僕と関わらなくて済むからいいじゃないか。どうして、そっちからわざわざ関わってこようとするんだ。もう、怖い日々は、嫌だ。
一時的でも、離れられると思って緩んでいた体は、また戻ってくる日常を拒否していた。体が震えてしまう。
とにかく今はこの騒ぎを抑えないと。どうしたらいい。どうしたら、今の現状を打開できるのか。今までみたいに、どこからともなく現れるブライト先生はここにはいない。自分でどうにかしないと。でも、どうしたらいいか、わからない。怖くて、うまく声もでない。
どうしようと、うつむきながら震えることしかできない。それが悔しくて唇をかんだ。
すると、どこからか、声が聞こえてきた。
「何の騒ぎだ」
その声1つで、一瞬でその場が静まり返った。
僕の幻聴なんじゃないか、幻聴であってほしかった。
「お兄様?お待ちくださいっ」
腕をつかまれ、とっさに振りほどいてしまう。そんなことをしたら何をされるかわからないのに、体が勝手に動いてしまった。
反動で声のした方を向いてしまう。現実と向き合いたくなかったのに。
そこには、予想した通りエミリアの姿があった。
どうしてここにいるのか、他人の空似なのではないか、頭はいろんな考えがめぐってまとまらない。信じたくなくて、僕の頭は現実逃避をしたがる。
「まさか、この学園でも問題を起こそうとしているのですか?」
「……な、んで」
ようやく絞り出した声は弱弱しくて、きちんと届いているかもわからないほどだった。
「お兄様は、その、問題児、でしょう?こちらの学園でもし問題を起こしていたら、それこそ家族の恥になってしまうもの。お父様がそれを危惧して、私もこちらの学園に通うことになったの」
訳が分からなかった。
言葉は入ってくるけれど、理解ができない。
「……お兄様は私と一緒に同じ学校に通うなんて、嫌だと思うけれど、これはお兄様のためでもあるのよ?お父様も、お兄様の今後を心配して…」
そのあともエミリアは何かずっと話しているけれど、もう何も聞かなかった。聞きたくなかった。
もうどうでもよかった。離れられる、と思ったけれど、それもできなかった。きっとまた、根も葉もないうわさを立てられて、広められて。今日、仲良くしてくれたルイも、僕を歓迎してくれていたクラスメイトたちも、先生たちもみんな、僕を嫌いになって、怖い目を向けてくるようになるんだ。
大丈夫、元の生活に戻るだけ。ただ、勉強に奔走する毎日に戻るだけ。彼との大切な思い出に縋って、1人で頑張るだけ。
そうやって、自分を励ますことしか、僕にはできなかった。
エミリアは相変わらず大きな声で話しているため、いつものように、僕たちの周りにはいつの間にか人だかりができていた。
「あの子って……もしかして、交換留学できた子?」
「こっちに来て早々トラブルって、大丈夫かよ…」
「男の子と話してる子、中等部の制服だけど、なんで高等部にいるの?」
「あの中等部の子、交換留学できた子の妹なの?2人そろってこっちに通うってどういうこと?なんか問題児って聞こえたけど……」
その人だかりからはたくさんの声が聞こえてくる。
僕たちはこっちに来たばかりだから、余計に人が集まってくるんだろう。まるで物珍しいものにでもなった気分だ。きっと実際、物珍しいのだろうけれど。
やっぱりこの雰囲気にはなれない。あっちの学園でもよくこうして囲まれていたけれど、どうしても怖い。周りの目が怖くてうつむく。
もう、やめてほしかった。もう放っておいて欲しかった。こっちの学園に僕がいれば、僕と関わらなくて済むからいいじゃないか。どうして、そっちからわざわざ関わってこようとするんだ。もう、怖い日々は、嫌だ。
一時的でも、離れられると思って緩んでいた体は、また戻ってくる日常を拒否していた。体が震えてしまう。
とにかく今はこの騒ぎを抑えないと。どうしたらいい。どうしたら、今の現状を打開できるのか。今までみたいに、どこからともなく現れるブライト先生はここにはいない。自分でどうにかしないと。でも、どうしたらいいか、わからない。怖くて、うまく声もでない。
どうしようと、うつむきながら震えることしかできない。それが悔しくて唇をかんだ。
すると、どこからか、声が聞こえてきた。
「何の騒ぎだ」
その声1つで、一瞬でその場が静まり返った。
246
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。
=================
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる