愛されることを知らない僕が隣国の第2王子に愛される

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「うわぁ、きれい……」
「絶対にテオと来たいなって思ってたんだ」

　二人の間を風が通り抜ける。
　そこは夏だというのに暑くなくて、風がすごく気持ちいい。咲いている花はみんな生き生きしていて、花たちも風が気持ちよさそうだ。
　ここまでブライト先生が連れてきてくれて近くにいるとは言っていたけれど、見える範囲にはいない。それに、ここは周りに人は誰もいない。だから、ここにいるのは僕とシエロの二人きりだ。
　シエロがお出かけの時にしている変装も今日はしていない。見た目がどんなものでもシエロはシエロだからいいが、いつものシエロとお出かけできて、僕は嬉しかった。

「少しこのあたりを歩いてみようか」
「うん」

　そうして、二人で手をつないで歩いた。その時間は穏やかで、緩やかで。この花きれいだね、風が気持ちいねって二人で話しながら歩いた。ふいに目が合ってキスされたり、キスしたり、そんな時間を過ごした。

「そろそろご飯、食べようか」
「うん！」

　地面に座れるように準備をして、二人で作ったお弁当を開いて食べた。そのご飯はいつもと変わらないはずなのに、特別な感じがしておいしくて。シエロも楽しそうで。二人で、楽しいね、おいしいねと言いあいながらご飯を食べた。

　ご飯を食べ終わって、片付けをして、二人でその場に寝転んだ。
　そこから見える空はすごくきれいで、広くて、澄んでいて。横を見ると太陽に照らされてきらきらしているシエロがいてまぶしい。その光景がたまらなくて胸がきゅっとした。

「シエロ」
「ん？」
「……大好き」

　自然と出てきたその言葉に、シエロは嬉しそうに笑った。

「僕も、大好きだよ」

　そう言って、また僕に口づけをした。

　毎日、毎日、シエロへの気持ちが大きくなって、溢れて、止まらない。この気持ちはきちんとシエロに伝わっているだろうか。僕は伝えられているだろうか。伝わっているといいな。そう思って、僕は今日何度目かのキスを送った。