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独活の詩
しおりを挟む山の中の独活の大木達はいつも願う、何時か樵に切られ日本家屋の親柱になることを。
樵はいつも願う、山を越えて都会のアーバンなマンションで暮らすことを。
タワーマンションに住む若禿の社長はいつも願う、いつか山の中の空気の良い別荘で静かに暮らすことを。
でも彼らの願いはいつも叶わない、彼らの方も互いが巡り会う事もない。
たとえスクランブル交差点を彼らが同時に別々の方向に歩きだしたとしても、彼らの体が触れあうことはない。
巨大な大木達が交差点を渡るとき、若禿の社長は他の通行人と同じように、歩く大木の異様さと荘厳さに見とれる。
そして樵は瞳に写るいつもの役立たずに飽き飽きしている。
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