孤独な王位継承者は押しかけ従者に絆される

淡海のえ

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第1章 名ばかりの王位継承者

9 目隠し

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 力が入らなくなっているのか、すぐに掴んだ服の裾から指が滑り落ちる。微かに息が上がってきているのがわかる。

 心臓の鼓動がいつもより早くなっている。セラスからの返答はなく、嫌な静けさの中で呼吸音だけ耳につく。

「……後で後悔するなよ」

 ため息と一緒に言われて、何のことだろうと思う。視界が暗くなったと思って、のろのろと顔を上げようとすると再び浮遊感に襲われる。

 気づいたら後ろから抱きしめられるようにソファーに座っている。何をされているのかわからなくて、困惑しているとセラスの手が前に回るのが見える。

「……っ!」

 視界に映るものが信じられなくて、一気に頭が覚醒する。慌てて止めようとしたが、体に力を入れられない。

「ふぅ……んっぁ……」

 触れられた場所は、すっかり形を変えていた。自分でも気づかないうちに、勃ち上がった陰茎が布越しに触れられて跳ねる。

「や、め……っ……」

 止めろと言いたいのに力がさらに抜けて、セラスの体に背を預けてしまう。少し触れられただけなのに、気持ち良くてつらい。

 耳元でセラスの微かな呼吸音が聞こえる。ふっと吐きだす時にかかる息にも、肌がぞくりと反応を返して震える。

 シャツの裾から入ってきた手が腹に触れて、そのままゆっくりと下に滑っていくのがわかる。止めなければと思うのに、肌が触れられているだけで思考が鈍ってしまう。

 もう片方の手に腰紐が解かれていくのが見えて、ぎゅっと瞳を閉じる。目の前で起こることを直視できない。

「ひぃぁっ! んぅ……」

 直に触れられて、腰が大きく跳ねるのを感じる。必死に首を振るのに、実際は緩慢な動きにしからない。

 これでは拒否しているのか、喜んでいるのか、セラスには伝われない。くちゅっという濡れた音が耳に届いて、恥ずかしさにさらに熱が上がる。

 すでに先端から溢れた雫が、セラスの手を汚してしまっている。急にとんでもないことをさせているという事実が、はっきりと頭に届く。

「だ……ダメ……だ……っ、やめ……」

 残っていた理性を振り絞って、半ば暴れるように腕の中から抜け出そうとする。けれど陰茎を軽く擦られただけで、再び一気に力が抜けてしまう。

「あ……ぅん……や……ぁあっ!」

 さらに暴れようとしたせいか、少しだけ強く力を入れられて悲鳴のような声を上がる。するとなだめるように力を抜いた手が、今度は優しく動かされる。

「大きな声を出すと、衛兵に聞かれる」

「ふぅぁ……んっ……」

 耳元で囁かれて、ぞくぞくっと腰骨に響くような痺れが走る。少し間を置いて、言われたことの意味を理解して頬が熱くなる。

 鈍い動きで必死に口に手を当てると、優しかった手の動きをまた強くされる。わけがわからなくなって、必死に口だけは塞がなくてはと思う。

「ん、んぅ……んんっ!」

 腰ががくがくと勝手に動いて、熱い液体がさらにセラスの手を汚したのがわかる。ぐったりとして完全に体から力が抜ける。

 自分の荒い呼吸だけが聞こえて、居たたまれない気持ちになる。背に感じる体温に、再び熱を上げられる気がして体を起こす。

 すぐにセラスから離れようとして、持ち上げた腰が落ちる。熱を放出して、冷静になったのはほんの一瞬だった。

 さっきよりひどい疼きのようなものが、中でうごめいている。ソファーから落ちかけた体を、セラスの腕に支えられるだけで乾いたような感覚が広がる。

「一回じゃ無理そうだな」

 冷静な声に視界が潤むのがわかる。自分ではどうにもならない、どうしていいかわからない餓えに支配されている。

 ウェスラの時のように、今度はセラスに上から見下ろされる。ダメだ、見ていられないと思った。

 自然と腕を持ち上げて、自らの視界の前で交差する。視界からセラスが消えて安堵するのと同時に、服から出された陰茎が冷たい空気に震えるのを感じる。

「セラ……っ……!」

 セラスにもういい、やめろと言いたいのに、与えられる快楽に意識が奪われる。

「あ、あぁ……」

「口は塞がなくていいのか?」

 塞ぎたくはあるが、セラスを見ていることもできない。さらにセラスの手に翻弄されている顔も見られたくない。

 腕の下で緩く首を振ると、セラスの体が離れていくのを感じる。

「な、に……?」

 置いて行かれたのだと思うと、止めなければと思っていたのが嘘のように傷ついている自分がいる。そっと交差した腕をどかすと、視界にセラスは映らない。

 ソファーから身を起こそうとするが、力を入れようとすると変に中が収縮するような感覚がする。できるだけ呼吸をゆっくりにして、体を落ち着かせようとするが焼け石に水だった。

 何とか上半身を起こして、目の前で硬度を保った自らを見る。触れてもいないのに、先端から何度も雫が溢れて流れていく。

 我慢できずに自らの手で陰茎に触れる。力を入れてさっさとイってしまいたいと思うのに、指にも手にも思うように力が入らない。

 あとほんの少しだけでも強い刺激があれば簡単にイけるのに、ダラダラと陰茎を濡らすだけで熱を出せない。自分ではどうにもできなくなって、さらに視界が滲んでいくのがわかる。

「自分じゃ無理そうだな」

 客観的な意見を言われて、何とか振り返るとセラスが見える。慌ててシャツを掴んで隠そうとすると、視界に布が当てられる。

「んっ……!」

 布に覆われた視界が暗くなって見えなくなる。

「さすがに口を塞ぐわけにいかないから、これで我慢しろ」

 頭の後ろで布が結ばれている感覚に、じわじわとこれで本当にいいのだろうかと思い始める。従者にさせることでは確実にない。

 けれど再びセラスの手に触れられれば、そんな考えは簡単に霧散してしまう。空いた両手で必死に口を塞ぐが、鼻から甘えるような高い音が漏れ出る。

 先ほどまで自分で弄っていたせいか、すぐに熱が昂ってあっけなくセラスの手を汚す。濡れた感覚が肌を流れて、後ろに垂れて行くのがわかる。

 もう二回もイったのだから、治まるはずだと思うのに体の中で熱が燻っている。ひどくもどかしくて、ソファーに爪を立てるように上半身を捻った。

 疼いている場所はわかるが、セラスに触って欲しいとは言えずに、体の疼きが強くなっていく。微かに硬度を保ったままの陰茎を、大きな手に包まれる。

 気持ちはいいが、触られるのがひどくつらくもある。普段はほとんど処理なんてしないせいか、皮膚がひりひりするような感覚がある。

 痛いのに体は欲しがっているという変な状態に、どうしていいかわからない。もう触って欲しくないのに、もっと触って欲しい。

「も、いぃ……痛、いか……ら……」

 何とか理性を取り戻そうと必死に首を振ったのに、セラスには届かなかった。

「やぁぁああ!」

 完全に予想できなかった衝撃に、大きな声を上げてしまう。ぬるりとした感触に襲われて、何をされているのか理解したときには涙が溢れた。

 さらに目隠しまでされて、我慢していたのに大きな声を出してしまった。

「や、やだ……ひぃっ……うぅ……」

 片手で口を塞ぎながら、セラスの頭をどかそうとするのに力が入らない。温かい粘膜に包まれて、溶けてしまいそうな感覚に囚われる。

 絶対にダメだと思うのに、促すように強く吸われて簡単にイってしまった。
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