人類アンチ種族神

緑茶

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第一章.はじまり

人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑩ 大規模攻勢_2》

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この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
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夜明けまであと1時間。

月夜の中で、私有シェルター救出連隊の隊長、足立あだち昭介しょうすけ先遣隊せんけんたいは、暗闇で動かないUFBの座標情報を1000以上
後方に設置したロングレンジレールガンの射撃管制機能に登録していた。

ロングレンジレールガンには、対地面制圧用の弾薬が装填されていた。

この弾薬は高度200mで炸裂し、小型の特殊弾を散布する。特殊弾は散布後数秒で化学反応を起こし、数千度の高熱を発し落下する。この熱は地上に灼熱の雨となって降り注ぎあらゆるものを燃やし、溶かしてしまう。

副長の仲原なかばらかおり三佐が、心配そうに足立へ確認する。

「私有シェルター場所への落下は制御していますが、離れていてもこの高熱に耐えられるでしょうか?」

足立は作り笑いで答える。

「大丈夫だ。私有シェルターのほとんどが核を想定している。直撃しなければ問題ない」

その時に、防衛大臣の大仲おおなか晴彦はるひこから指令が入る。

「射撃開始180秒前」

ロングレンジレールガンが座標を最適化し、連射モードで動き出す。

また、通常の25式迫撃砲も、ロングレンジレールガンのダミーとして配置されており、これらもレールガンの射撃管制機能と接続され、射程に応じて実際に使用される。

「装填開始」

各迫撃砲も足立の指示で対地面制圧用の弾薬が装填される。


「3・・・、2・・・、1・・・」

大仲のカウントダウンが進む。

「ゼロ」

月明かりの夜空に200発の光の玉が炸裂する。

仲原が即座に確認する。

「足立連隊長。先遣隊の戦車から発光弾の一斉発射を完了。池袋から荒川付近までの全区域が光に飲まれました」

足立は即座に作戦を進める。

「よし、これでヤツラの目は奪った。暗闇から真夏の3倍の光量だ!光の弾幕でUFBの視界はゼロ。射撃管制機能を解放。砲撃開始!」

前回の戦いでは、最初の砲撃で脅威を察知したUFBに場所を視認され強襲された。その教訓から発光弾で視界を奪ってから砲撃を行ったのだ。


「ドドドドド」


レールガンの高い射撃音と迫撃砲の低い射撃音が混ざり合い、地鳴りのような音を立てた。

◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆

同時刻、埼玉県内の山頂。

TV局のリポーターは、数キロ先の森林から無数の光の筋が、池袋方面に伸びていくのを発見した。

「作戦が始まったのでしょうか!」

実況を始めた直後、無数の雷鳴のような轟音《ごうおん》が山頂を揺らした。

「すごい音圧です!これは発砲音でしょうか?」

耳を抑えながら必死に解説をするが、イヤホンに中継車から指示が飛ぶ。

「もっと大きな声で!」

「すごい音圧です!これは発砲音でしょうか!!!」

怒鳴るような発声でもわずかに聞こえる程度だった。

その裏で一人のスタッフがその攻撃をみてつぶやいた。

「綺麗‥‥‥。まるで虹色の光線が地平線に吸われていくみたい」

そのライブを映したSNSではコメントの投稿が止まらない。

<これはもう戦争じゃね?>
<何?あれ全部ミサイル?>
<本気の自衛隊マジ怖い>
<ガーゴイル終了のお知らせ>
<これがリアル地ならしだw>

そのほとんどが、勝利を確信したコメントであふれていた。

◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆

池袋から1キロほど埼玉に近づいた付近。

レールガンと迫撃砲から放たれた無数の砲弾が地上を灼熱の海に変えていた。

付近の再開発ビルが熱で一瞬にして骨格だけを残し崩れ落ちた

ガーゴイル達は混乱し、飛び上がろうとする者、物陰に隠れようとする者、どの個体も何が起こったか
把握をしていなかった。

「ガアアァァ!!」「ギィィィア」と叫び熱波に溶かされていく。

また、自衛隊が存在すら知らない特殊個体。サーチやベルガンにもこの攻撃は影響を与えていた。

サーチは自身の長所である、感知能力があだとなり、視覚・聴覚を奪われた。

「何が起きた?熱?光?音?ベルガン!ヴァロン!状況を!!」

平衡感覚を失ったサーチは、呼びかけながらかろうじてグライダーのように翼を広げ、お台場方面に滑空していた。

ベルガンは強い熱波を浴びたが、耐熱性能の高さに助けられた。
だが、溶ける大地に足を取られ、身動きが取れない状態になっていた。

「クソッ。なんだこれは!高熱で翼をやられたか!」

混乱はしていないものの、正体不明の攻撃にイラだつベルガン。

◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆

神の居城デスランド


「創造主様。攻撃が始まりました。」

ヴァロンが冷静に分析をしつつ、神へ報告する。

「正常なのはヴァロンだけか。ベルガンは行動不能。サーチは撤退中。思ったより面白いじゃないか」

「ガーゴイルも随分減ったな。巻き添えも含めて10万は消えたか」

神は笑みが止まらない。
必死に攻撃する自衛隊。状況伝えようと奮闘するレポーター。弾薬の雨に混乱するガーゴイル。熱で霧散するガーゴイル。
少し手間をかけた特殊個体の状況。どのシーンも神の心を高揚させる。

「創造主様。サーチの視覚共有が途絶。以降、私では敵位置の再計測が困難です」

「ならば俺が見てみよう。どれどれ。ふむ。荒川に橋を架けているようだな。よいアイディアじゃないか」

2時間で即席の橋を作ることができる架橋兵器。前回と違い、既存の橋を使わずに渡河を試みる工夫にも神には楽しみとして映った。
まるで、蟻がアリジゴクを工夫して脱出している姿を観察する子供のような視線だった。

ーー迎撃か?いやまだ現場の小隊長個体に任せてみるか?指揮ならヴァロンを使うか?

神の妄想が捗る。

神の目には架橋兵器の後ろに並ぶ25式戦車、25式耐熱装甲車、25式対空対地迎撃車両なども映る。

ーー絶対に成功させるという意思を感じる。特に指揮をしている二人の人間の作戦は見事だ。

足立と中原である。二人は連携してガーゴイルを一層した区域から橋を架けて部隊を送り込む指揮を行っていた。

対地面制圧用の弾薬の効果で高温になった大地に特殊な金属片をドローンで散布していた。この金属に先頭車両がジェル状の液体を噴射すると急激に温度が下がる。まるで科学の実験のような作戦だが、短時間で揃う物資を巧みに使った作戦だった。

だが、このまま進めばエーテルの濃度が上がり、先頭車両やドローンが制御不能になるのは明白だった。

神はその点についても迷っていた。誘い込んで長く楽しむか。エーテルの洗礼を受けさせて反応を楽しむか。どちらにしようかと。

◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆   ◆◆◆

同時刻、内閣シェルター内作戦本部

大仲大臣と津田議員がならんでモニターを見つめていた。自衛隊からは絶えず状況が報告される。

「荒川渡河開始します」

「侵入区域周辺、地上・上空ともに敵影なし」

「着弾地点の数か所でプロパンガスが爆発している模様。想定の範囲内です」

悪い報告はない

だが、大仲の表情は厳しかった。

「津田議員。どう思います?自衛隊の制服組は順調だといいますが・・・・・・・」

津田も表情は冴えない。

「ふむ。難しい法案を通す過程に置き換えると・・・・・・なにか引っ掛かりますね」

二人は神の存在を知らない。だが長年永田町で駆け引きを経験した猛者としては、なにか得体のしれない懸念を感じていた。

そんな中、舞岡は違った。

「見てよ見てよ!圧倒的じゃない自衛隊!強い強い!!!いけー!!いけー!!!」

「はぁ」

大仲と津田のため息が懸念をより強くした。
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