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第一章.はじまり
人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑫ 大規模攻勢_4_サーチ》
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この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
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5万のガーゴイルを引き連れて、自衛隊の迎撃に向かったベルガンだったが、自衛隊の私有シェルター民救出連隊「通称R連隊」の連隊長である足立昭介と副長の仲原香三佐による徹底したガーゴイル迎撃作戦によって、ベルガンは1万9千まで手持ちの兵を減らし、後退を余儀なくされた。
その頃、神の居城デスランドに、ダメージを負ったサーチが帰還した。
サーチはすぐさま、神とヴァロンのもとを連れた。
「創造主様。申し訳ございません。想定外の攻撃に対処できずダメージを負い、帰還いたしました」
神は失態を気にもしない様子で、サーチに確認する。
「体の状態はどうなの?」
むろん神は把握しているが、サーチの自己分析能力を試しているのだ。
「閃光で視覚にダメージ。ピントが合わずぼやけた状況です。また仲間との視覚共有も機能していません」
「轟音で聴覚にダメージ。比較的軽微ですが、遠方の音声にノイズが入ります。また平衡感覚が戻りません」
「熱波で個体特定の機能にダメージ。人間を見つけても識別不能です。加えて軽微な皮膚の損傷もあります」
神はサーチの分析能力に関心を持ちつつ、さらに意地の悪い質問をする。
「サーチ。それでいつ戦線に復帰できる?ベルガンが交戦中だが、兵の半数を失った」
それを聞くとサーチは両手を胸に当てると、絞り出すような声で報告する。
「すべてのダメージは修復不能と分析しております。私を処分し、新たなベルガンの増援をお送りください」
神はガーゴイルという作られた兵が、自己犠牲と仲間意識を表したことに満足したように笑う。
「ふははは。やはり君たち特別個体はいい。面白い。ヴァロン。ベルガンの様子はしばらくここで見ていてくれ、サーチついてこい」
そういうと、ヴァロンを置いて、サーチを伴い奥の部屋へ向かった。
その後ろ姿をみたヴァロンは声をかけずにはいられない。
「創造主様。サーチは能力は失われましたが、私の片腕として指揮系の職務であれば可能です。分解は早計かと」
神はその言葉にも反応した。
「ふん。それは私の勝手だ。許せ」
絶対の存在である神の言葉。ヴァロンはそれ以上何も言うことはできなかった。ただ負傷したサーチの後ろ姿にこれまでのサーチとの連携作戦の情景を思い出し、なにか胸の中に刺さるような感情を抱いていた。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
デスランド、第5研究室。
主に特別個体の生産、解体を行う場所である。
サーチは扉の前に立つと、察した。
「分解ですね。創造主様。ご迷惑をおかけしました。可能であれば苦痛なくお願いします。そして私を構成しているエーテルで、ベルガンの支援個体の生産をお願いします」
「入れ」
神は答えず、ただ指示を出す。
サーチが第5研究室に入ると、円筒状の装置が二基並んでいた。片方は白い液体で、もう片方は黒い液体で満たされている。
「これで分解、生産なさるわけですね。黒い方が分解ですか?」
サーチが黒い方の円筒に向かう。
「待て、一つ聞かせろ。サーチ、お前は分解されたいのか?できれば自分でベルガンを助けたいと思わないのか?」
サーチは悲しげな表情で答えた。
「創造主様。お心に反してしまい申し訳ございません。サーチは分解に対しては恐怖はありません。私は道具ですから。しかし、ベルガンを直接支援したい気持ちが何故か胸の奥から湧いています。私は分解されたくありません。ヴァロン、ベルガンとともに創造主様の兵としてできればこれからも」
その言葉を聞いた神は緑色の液体の入った瓶を取り出した。
「これは、お前たちの修復材だ。飲めば完全に機能は回復する。これをお前にやろう」
差し出された神の手に、サーチは嬉しさと悲しさを織り交ぜたような表情で返す。
「・・・いえ、結構です。たとえ全機能が回復しても、私の体はあの攻撃に耐えられません。ベルガンの支援に行ってもすぐに離脱することになるでしょう。この修復材はもしベルガンが負傷したら渡してください」
ベルガンは強靭がコンセプトの個体。いわば鋼鉄の兵器のような堅牢さをもっている。
一方でサーチは違う。コンセプトは精密さ。美しく繊細で機能美に特化した飴細工のような脆い存在なのだ。それをサーチは誰よりも知っておりだからこそ、気持ちと現実を天秤にかけて、自分では力不足と判断したのだ。
「戦いたい気持ちはあっても、役には立てないということか。分かった」
神の言葉に気持ちに整理がついたサーチは一言
「お願いします」
と神に頼む。
神は不敵な笑みを浮かべると、白い方の液体を円筒の装置から抜いていく。
サーチはその中のものに目を疑った。
液体の中から出てきたのは「サーチと似たタイプの特別個体のガーゴイル」だったのだ。
「サーチよ。このガーゴイルはサーチ型第2世代という。こいつは強い閃光や音をキャッチしたときに、機能が破壊されないように安全機構がついている」
神は新しい体に近づくと得意げに説明を始めた。
「この体のコンセプトは支援だ。その為、味方を守るための盾「エーテルシールド」が生成できる。多少時間はかかるがエーテルによる巨大な盾だ。この盾の強度はエーテルの使用量に左右されるが、簡単にベルガンの守備力を超える」
「お前にこの体をやろう。この装置の手形の部分に手を当てれば、お前はこの体に意識が移動する」
サーチは恐る恐る白い円筒の装置に付いた手形に自分の手を重ねた。
その瞬間、もとのサーチの体は土くれのように崩れ去る。やがて円筒の装置が開かれると先ほどまでは動かない、でくの坊であったサーチ型第2世代は、ゆっくりと装置から降り立った。
「この体は・・・・」
ーー視覚、聴覚もさらに使いやすくなっている。体も軽い?筋力が上がっているのね。
サーチが新しい体に驚いていると、神が声をかける
「サーチ。それが新しいお前の体だ。間に合うか分からない。だが、ベルガンを援護せよ」
その言葉を聞くと、サーチは第5研究室飛び出し、デスランドのテラスにに出ると
「承知しました!」
と一声残し、ベルガンのいる方向へ飛び去った。
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5万のガーゴイルを引き連れて、自衛隊の迎撃に向かったベルガンだったが、自衛隊の私有シェルター民救出連隊「通称R連隊」の連隊長である足立昭介と副長の仲原香三佐による徹底したガーゴイル迎撃作戦によって、ベルガンは1万9千まで手持ちの兵を減らし、後退を余儀なくされた。
その頃、神の居城デスランドに、ダメージを負ったサーチが帰還した。
サーチはすぐさま、神とヴァロンのもとを連れた。
「創造主様。申し訳ございません。想定外の攻撃に対処できずダメージを負い、帰還いたしました」
神は失態を気にもしない様子で、サーチに確認する。
「体の状態はどうなの?」
むろん神は把握しているが、サーチの自己分析能力を試しているのだ。
「閃光で視覚にダメージ。ピントが合わずぼやけた状況です。また仲間との視覚共有も機能していません」
「轟音で聴覚にダメージ。比較的軽微ですが、遠方の音声にノイズが入ります。また平衡感覚が戻りません」
「熱波で個体特定の機能にダメージ。人間を見つけても識別不能です。加えて軽微な皮膚の損傷もあります」
神はサーチの分析能力に関心を持ちつつ、さらに意地の悪い質問をする。
「サーチ。それでいつ戦線に復帰できる?ベルガンが交戦中だが、兵の半数を失った」
それを聞くとサーチは両手を胸に当てると、絞り出すような声で報告する。
「すべてのダメージは修復不能と分析しております。私を処分し、新たなベルガンの増援をお送りください」
神はガーゴイルという作られた兵が、自己犠牲と仲間意識を表したことに満足したように笑う。
「ふははは。やはり君たち特別個体はいい。面白い。ヴァロン。ベルガンの様子はしばらくここで見ていてくれ、サーチついてこい」
そういうと、ヴァロンを置いて、サーチを伴い奥の部屋へ向かった。
その後ろ姿をみたヴァロンは声をかけずにはいられない。
「創造主様。サーチは能力は失われましたが、私の片腕として指揮系の職務であれば可能です。分解は早計かと」
神はその言葉にも反応した。
「ふん。それは私の勝手だ。許せ」
絶対の存在である神の言葉。ヴァロンはそれ以上何も言うことはできなかった。ただ負傷したサーチの後ろ姿にこれまでのサーチとの連携作戦の情景を思い出し、なにか胸の中に刺さるような感情を抱いていた。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
デスランド、第5研究室。
主に特別個体の生産、解体を行う場所である。
サーチは扉の前に立つと、察した。
「分解ですね。創造主様。ご迷惑をおかけしました。可能であれば苦痛なくお願いします。そして私を構成しているエーテルで、ベルガンの支援個体の生産をお願いします」
「入れ」
神は答えず、ただ指示を出す。
サーチが第5研究室に入ると、円筒状の装置が二基並んでいた。片方は白い液体で、もう片方は黒い液体で満たされている。
「これで分解、生産なさるわけですね。黒い方が分解ですか?」
サーチが黒い方の円筒に向かう。
「待て、一つ聞かせろ。サーチ、お前は分解されたいのか?できれば自分でベルガンを助けたいと思わないのか?」
サーチは悲しげな表情で答えた。
「創造主様。お心に反してしまい申し訳ございません。サーチは分解に対しては恐怖はありません。私は道具ですから。しかし、ベルガンを直接支援したい気持ちが何故か胸の奥から湧いています。私は分解されたくありません。ヴァロン、ベルガンとともに創造主様の兵としてできればこれからも」
その言葉を聞いた神は緑色の液体の入った瓶を取り出した。
「これは、お前たちの修復材だ。飲めば完全に機能は回復する。これをお前にやろう」
差し出された神の手に、サーチは嬉しさと悲しさを織り交ぜたような表情で返す。
「・・・いえ、結構です。たとえ全機能が回復しても、私の体はあの攻撃に耐えられません。ベルガンの支援に行ってもすぐに離脱することになるでしょう。この修復材はもしベルガンが負傷したら渡してください」
ベルガンは強靭がコンセプトの個体。いわば鋼鉄の兵器のような堅牢さをもっている。
一方でサーチは違う。コンセプトは精密さ。美しく繊細で機能美に特化した飴細工のような脆い存在なのだ。それをサーチは誰よりも知っておりだからこそ、気持ちと現実を天秤にかけて、自分では力不足と判断したのだ。
「戦いたい気持ちはあっても、役には立てないということか。分かった」
神の言葉に気持ちに整理がついたサーチは一言
「お願いします」
と神に頼む。
神は不敵な笑みを浮かべると、白い方の液体を円筒の装置から抜いていく。
サーチはその中のものに目を疑った。
液体の中から出てきたのは「サーチと似たタイプの特別個体のガーゴイル」だったのだ。
「サーチよ。このガーゴイルはサーチ型第2世代という。こいつは強い閃光や音をキャッチしたときに、機能が破壊されないように安全機構がついている」
神は新しい体に近づくと得意げに説明を始めた。
「この体のコンセプトは支援だ。その為、味方を守るための盾「エーテルシールド」が生成できる。多少時間はかかるがエーテルによる巨大な盾だ。この盾の強度はエーテルの使用量に左右されるが、簡単にベルガンの守備力を超える」
「お前にこの体をやろう。この装置の手形の部分に手を当てれば、お前はこの体に意識が移動する」
サーチは恐る恐る白い円筒の装置に付いた手形に自分の手を重ねた。
その瞬間、もとのサーチの体は土くれのように崩れ去る。やがて円筒の装置が開かれると先ほどまでは動かない、でくの坊であったサーチ型第2世代は、ゆっくりと装置から降り立った。
「この体は・・・・」
ーー視覚、聴覚もさらに使いやすくなっている。体も軽い?筋力が上がっているのね。
サーチが新しい体に驚いていると、神が声をかける
「サーチ。それが新しいお前の体だ。間に合うか分からない。だが、ベルガンを援護せよ」
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