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第一章.はじまり
人類アンチ種族神Ⅴ《対決⑤ 代償と推論》
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※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
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神災から30日が経過した。
埼玉側シェルター内の救出部隊待機室。
部下を15人も失った隊長の足立 昭介は、あの日のガーゴイルとの戦いの映像を寝る間もなく凝視していた。
そこへ副隊長の仲原香三佐がやってきた。
仲原は純粋に驚いた。足立の一人反省会は24時間の不眠のはずなのに、いまだ続いていた。
「隊長。まだ見てるんですか?交戦時間はたったの180秒ですよ。そんなに見直しても死んだ隊員は返ってきませんよ」
「わかってる。だが15人も失ったんだ。この180秒からできる限りヤツらの情報を入手するんだ」
目が座って、クマができた足立の表情。だが目の奥には怒りにも似た何か執念のようなものが輝いていた。
「しかし、180秒の映像ではほとんど何も分からないと分析チームも言ってますが……」
足立は仲原の方を振り返るとモニターを指さした。
足立の分析はこうだ。
1.ガーゴイルの敵認識の能力
「では三佐。ガーゴイルは対岸いた。我々の発砲音に気が付いて上空に上がって視認したあと、一直線に襲っている。これをどう見る?」
「音に反応して、飛び上がり、即座に我々を認識する視力を持っている。つまり、音が聞こえる。離陸能力が高い。視力もよい。こんなところでしょうか?」
足立はため息をつくと、慣れた手つきでガーゴイルの映像を拡大した。
「まず、敵は未知の生物だ。そこから弱点を探さねばならない。このシーンで分かるやつらの弱点は、目視しないと敵の位置を把握できないということだ。
当たり前のようだが、コウモリのように視覚以外の空間把握器官がないことがわかる」
⇒【つまり、ヤツラも目に頼っている】
2.ガーゴイルの飛行性能
「それだけではない。飛び上がった時の高度にも疑問がある。荒川の周囲一帯を見渡すために上昇したとしても高度が高すぎる。高度を上げすぎれば我々からも発見しやすく
我々との直線距離も伸びてしまう。なのになぜ、ここまで上昇した?」
「知性がないからですか?」
「かもしれん、三佐はタカを知っているか?タカという鳥は、高速で獲物を狩るイメージがあるが、じつは水平飛行は80km/hくらいなんだ。だが、急降下飛行になると
300km/hを超える。奴らは並行飛行が苦手で急降下したかったというのが私の仮説だ」
「確かに……こうしてみると上昇時の映像がなく、憶測にはなりますが我々を視認してから急降下しているように見えます。この速度が異常に早く我々の陣形を崩しました」
⇒【水平飛行は苦手。急降下することで速度を得る】
3.ガーゴイルの陣形
「このシーンではまだわかることがあるぞ」
「まだあるんですか?」
「ああ、これは偵察の情報との合わせ技なんだが、ヤツラは荒川の対岸付近にいた。そして作戦前の偵察情報をもとにした観測地点の地図がこれだ」
「!!見事に荒川を挟んで埼玉側に1匹もいませんね」
「そうだ。人間の軍隊なら渡河の問題があるだろうが、飛行できるヤツらがなぜ荒川を超えない?」
「縄張りですかね?」
「かもしれん。だが我々を発見したら躊躇なく超えてきた。これは縄張りというより防衛線。つまり指揮系統が存在すると見て取れないか?」
⇒【荒川を境界線とした防衛陣形】
4.ガーゴイルの知的レベル
「そうなると、ヤツラの知性は相当高いことになりますよ?」
「そうだ、でだ、次に我々が強襲されているシーンだ。2体のガーゴイルに蹂躙された形だが、二体の位置取りと向きを見て何か感じないか?」
「……これは、互いに背中を守りながら機動的に、連携して戦っている???」
「ああ、訓練されたものではないが、味方を認識し背後を互いにカバーしている。少なくとも霊長類クラス。もしくはライオンのような高度な集団戦闘技術が必要だ。」
「加えて、この戦闘でヤツラは一度も炎を吐いていない。これも同士討ちを警戒したとみれば妥当な行動だと思わないか?」
「そうですね。私も格闘技の経験がありますが、味方との協力戦闘は瞬発的な判断能力や相手の行動予測などの知性が問われます」
⇒【霊長類クラスの知性。もしくは集団戦に長けた戦闘技術を持っている】
5.導き出した答え
「だとすれば、どうだ。指揮官、もしくは群れのリーダーがどこかにいて、これを叩けばーー」
「そうだ。統制を失い瓦解する可能性もある!」
仲原は興奮した面持ちで、立ち上がる。
「すぐにこの情報を大仲大臣に!」
だが、足立はそれを静止した。
「まだだ、まだ情報が得られるはずだ。もっと決定的な何かを探すんだ!」
二人の分析は明け方まで続くのであった。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
その頃、帝都復権党本部。
極秘に引かれた光ファイバーを使用し私設のシェルターと党本部で話し合いが行われた。
帝都復権党からは舞岡氏。シェルター側の代表は、日本有数の実力者、大荻山 剛三郎である。
大荻山は、淡々と話を進めた。
「昨日の救出作戦。これはどういうことですか?池袋に最短でくるルートと聞いていますが、荒川も渡れず撤退したそうですが?」
大荻山は帝都復権党の資金源として、大きな影響力があり、舞岡の議員バッジを取り上げることなど簡単にできる。
それゆえに、舞岡は対応に苦しんでいる。
「そのことですが、防衛省の大仲議員が一般の避難民の安全を優先するので、救出部隊の規模が小さく、この件は本日の国会で追及いたします」
「一般人ねぇ。その一般人の生活を支えているのは誰ですか?経済を回して衣食住を提供しているのは誰ですか?守るべき対象を間違えていると思わないかね?」
「そうなんです!あの、大仲議員は大衆ウケばかりで、救うべき人々を間違っている。私は何度も国会で提言しましたが、全く聞く耳を持たず。ですから
救出作戦の失敗も大仲議員の失策でして、私は帝都復権党として大荻山さんを一番に助けられるように計画を作っているのですが、大仲議員が邪魔をするので
進まないのです!」
大荻山はやや低いトーンで舞岡に迫る。
「1日に3億だ。私が動かしていたカネだ。このカネが動かせない状況を賢い君ならわかるだろう。舞岡君。きみが最優先にすべきことは何かね?」
怯えた様子の舞岡は苦し紛れに答えを返す。
「ですが、自衛隊は防衛大臣の管轄です。せめて防衛大臣が大仲でなければ……!!!!」
数秒の沈黙が重鎮の思考を感じさせる。
「大仲か。ふむ嫌いではなかったが」
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神災から30日が経過した。
埼玉側シェルター内の救出部隊待機室。
部下を15人も失った隊長の足立 昭介は、あの日のガーゴイルとの戦いの映像を寝る間もなく凝視していた。
そこへ副隊長の仲原香三佐がやってきた。
仲原は純粋に驚いた。足立の一人反省会は24時間の不眠のはずなのに、いまだ続いていた。
「隊長。まだ見てるんですか?交戦時間はたったの180秒ですよ。そんなに見直しても死んだ隊員は返ってきませんよ」
「わかってる。だが15人も失ったんだ。この180秒からできる限りヤツらの情報を入手するんだ」
目が座って、クマができた足立の表情。だが目の奥には怒りにも似た何か執念のようなものが輝いていた。
「しかし、180秒の映像ではほとんど何も分からないと分析チームも言ってますが……」
足立は仲原の方を振り返るとモニターを指さした。
足立の分析はこうだ。
1.ガーゴイルの敵認識の能力
「では三佐。ガーゴイルは対岸いた。我々の発砲音に気が付いて上空に上がって視認したあと、一直線に襲っている。これをどう見る?」
「音に反応して、飛び上がり、即座に我々を認識する視力を持っている。つまり、音が聞こえる。離陸能力が高い。視力もよい。こんなところでしょうか?」
足立はため息をつくと、慣れた手つきでガーゴイルの映像を拡大した。
「まず、敵は未知の生物だ。そこから弱点を探さねばならない。このシーンで分かるやつらの弱点は、目視しないと敵の位置を把握できないということだ。
当たり前のようだが、コウモリのように視覚以外の空間把握器官がないことがわかる」
⇒【つまり、ヤツラも目に頼っている】
2.ガーゴイルの飛行性能
「それだけではない。飛び上がった時の高度にも疑問がある。荒川の周囲一帯を見渡すために上昇したとしても高度が高すぎる。高度を上げすぎれば我々からも発見しやすく
我々との直線距離も伸びてしまう。なのになぜ、ここまで上昇した?」
「知性がないからですか?」
「かもしれん、三佐はタカを知っているか?タカという鳥は、高速で獲物を狩るイメージがあるが、じつは水平飛行は80km/hくらいなんだ。だが、急降下飛行になると
300km/hを超える。奴らは並行飛行が苦手で急降下したかったというのが私の仮説だ」
「確かに……こうしてみると上昇時の映像がなく、憶測にはなりますが我々を視認してから急降下しているように見えます。この速度が異常に早く我々の陣形を崩しました」
⇒【水平飛行は苦手。急降下することで速度を得る】
3.ガーゴイルの陣形
「このシーンではまだわかることがあるぞ」
「まだあるんですか?」
「ああ、これは偵察の情報との合わせ技なんだが、ヤツラは荒川の対岸付近にいた。そして作戦前の偵察情報をもとにした観測地点の地図がこれだ」
「!!見事に荒川を挟んで埼玉側に1匹もいませんね」
「そうだ。人間の軍隊なら渡河の問題があるだろうが、飛行できるヤツらがなぜ荒川を超えない?」
「縄張りですかね?」
「かもしれん。だが我々を発見したら躊躇なく超えてきた。これは縄張りというより防衛線。つまり指揮系統が存在すると見て取れないか?」
⇒【荒川を境界線とした防衛陣形】
4.ガーゴイルの知的レベル
「そうなると、ヤツラの知性は相当高いことになりますよ?」
「そうだ、でだ、次に我々が強襲されているシーンだ。2体のガーゴイルに蹂躙された形だが、二体の位置取りと向きを見て何か感じないか?」
「……これは、互いに背中を守りながら機動的に、連携して戦っている???」
「ああ、訓練されたものではないが、味方を認識し背後を互いにカバーしている。少なくとも霊長類クラス。もしくはライオンのような高度な集団戦闘技術が必要だ。」
「加えて、この戦闘でヤツラは一度も炎を吐いていない。これも同士討ちを警戒したとみれば妥当な行動だと思わないか?」
「そうですね。私も格闘技の経験がありますが、味方との協力戦闘は瞬発的な判断能力や相手の行動予測などの知性が問われます」
⇒【霊長類クラスの知性。もしくは集団戦に長けた戦闘技術を持っている】
5.導き出した答え
「だとすれば、どうだ。指揮官、もしくは群れのリーダーがどこかにいて、これを叩けばーー」
「そうだ。統制を失い瓦解する可能性もある!」
仲原は興奮した面持ちで、立ち上がる。
「すぐにこの情報を大仲大臣に!」
だが、足立はそれを静止した。
「まだだ、まだ情報が得られるはずだ。もっと決定的な何かを探すんだ!」
二人の分析は明け方まで続くのであった。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
その頃、帝都復権党本部。
極秘に引かれた光ファイバーを使用し私設のシェルターと党本部で話し合いが行われた。
帝都復権党からは舞岡氏。シェルター側の代表は、日本有数の実力者、大荻山 剛三郎である。
大荻山は、淡々と話を進めた。
「昨日の救出作戦。これはどういうことですか?池袋に最短でくるルートと聞いていますが、荒川も渡れず撤退したそうですが?」
大荻山は帝都復権党の資金源として、大きな影響力があり、舞岡の議員バッジを取り上げることなど簡単にできる。
それゆえに、舞岡は対応に苦しんでいる。
「そのことですが、防衛省の大仲議員が一般の避難民の安全を優先するので、救出部隊の規模が小さく、この件は本日の国会で追及いたします」
「一般人ねぇ。その一般人の生活を支えているのは誰ですか?経済を回して衣食住を提供しているのは誰ですか?守るべき対象を間違えていると思わないかね?」
「そうなんです!あの、大仲議員は大衆ウケばかりで、救うべき人々を間違っている。私は何度も国会で提言しましたが、全く聞く耳を持たず。ですから
救出作戦の失敗も大仲議員の失策でして、私は帝都復権党として大荻山さんを一番に助けられるように計画を作っているのですが、大仲議員が邪魔をするので
進まないのです!」
大荻山はやや低いトーンで舞岡に迫る。
「1日に3億だ。私が動かしていたカネだ。このカネが動かせない状況を賢い君ならわかるだろう。舞岡君。きみが最優先にすべきことは何かね?」
怯えた様子の舞岡は苦し紛れに答えを返す。
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