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セリー

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変な男の人たち

キックボクサー その3

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ゲーセンのキックマシンの凡スコアを見た時
そしてアホみたいに興奮気味に喋るところ
健一くんに対して小さな幻滅はたくさんあったが

やはり、どうだ、どうだ、と尻を叩かれたのがどうにも忘れられなかった。思い出すと寒気がするほどだった。

エッチなしで付き合う
そんな都合のいいことはできないと分かっていた。

別れるべきなのか。

しかし、どう言ったらいいのだろう。

私は悩んでいた。


そんな中で健一くんと会った。

私はその日、ついに気になる事をきいてみた。
「キックボクシングの試合っていつあるの?」
すると悲しいほど健一くんは慌てた。
「えっとね、あのね、試合は出られるか分からないんだよね・・なんて言うかさ、ブッキングできなくてさ・・」

健一くんは確かにボクシングジムで働いていた。給与もそこから出ているようだった。
もしかして
ボクシングジムで単なるスタッフとして働いているだけなんじゃないか?いいところボクササイズかなんかのインストラクターかもしれない。体は締まって出来上がっている。しかし、キックマシンではろくな記録が出なかった。それを考えるとその線が強いように思えた。キックボクサーというのは見栄か?こうなるとタイでの修行もいよいよ怪しくなってきた。

いや、もしかしたら本物のキックボクサーだけど、試合も組んでもらえないようなダメダメボクサーなのかもしれない。

健一くんとは知り合って間もないが、職業詐称をするような悪知恵は働かない気がした。ちょっとアホだか悪い人ではなかったからだ。


その日、エッチをしたくなかったので、これから親と会わなければいけないと嘘をついてエッチを回避しようとしていた。健一くんは、いいよ、お父さんお母さんによろしくね、とにっこり笑って言ってくれたので、少しだけ罪悪感を覚えた。

帰り際、人目のない所で健一くんにキスされた。
ライトなキスだったが
健一くんのモノが私に当たった。
ビンビンに勃っていた。
ああ、やりたいんだな・・・と思って更なる罪悪感に襲われた。

しかし、今度は尻を叩くくらいじゃ済まないかもしれない。
どんな恐ろしいプレイが待ち受けているか分からない。変なコスプレさせられたり、最悪、ムチでピシーなんてされるかもしれない。
エッチするのだけは絶対に嫌だった。

ちゃんと別れて欲しいって言おう。
まだ付き合って一ヶ月。
言うなら早い方がいい。
気を持たせたままなのはちょっとかわいそうだ。
しかし、あの肉体は捨てがたい。
エッチなしであの体を鑑賞しながら酒を飲む、なんてできないだろうか。
と、身勝手な事を考えながら帰路についた。


次の日健一くんに電話をした。
付き合ってみたけど、ちょっと違うなって思った。
だから終わりにしたい、本当にごめんね。
と、本当の事は言わずに言葉を濁した。
健一くんは絶句し
「何が悪かったか言って、直すから」
と低く震える声で言った。
「いい人だよ、ただ自分のタイプと違っただけ」 
と、私はただ綺麗事を言うしかなかった。
彼の為を思うなら、本当の事を言うべきだったかもしれないが、私はそこまで彼を恨んではいなかったし傷付けたくないという気持ちの方が強かった。

健一くんはアホだった。エッチはAVの真似、お喋りはいつも必死、嘘をついてもすぐバレる、自分の肉体をアピールしたくてピチピチのTシャツばかり着る。
しかし、彼は決して悪い人ではなかった。いい人、というのは本当だ。


別れるこの瞬間は本当に面倒臭い。
本当に嫌な気持ちになる。
回避はできないものか、うやむやにできないものか、といつも考える。


健一くんは動揺はしていたものの、悪あがきもせず納得してくれた。
その後、一度だけ「どうしてるかなと思って」と、健一くんから電話があったが、他愛のない話をして終わった。

揉めることもなく、後腐れもなく、健一くんとの思い出は笑い話になっただけで嫌な感情は残らなかった。


健一くんが本物のキックボクサーなのかは未だ分からない。本人に真相をきく前に別れてしまったからだ。

ただ
次に会う女の子にも
俺はキックボクシングやっている
と言うんだろうな~というのはなんとなく予測できたが。








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