Aセクシャルの人

変な男の人たち

B型 その3

淳さんは反省の電話が好きだ。
また会った後に電話があった。

内容は「結婚してたのを隠していた訳じゃない」というものだった。ホテルに泊まっていたのも、次の日朝早くスタジオに行くから滞在しようと思っただけで、下心はなかったとのこと。

めんどくせえな、と思いながら
「いいですよ、私もそういうつもりなかったんで」
と返した。

さっさと電話を切ろうと思ったが、また始まってしまった。
淳さんの俺の話が。

なんでも愛のない結婚をしているそうで、ご両親が政界に密に繋がりのある方で、政略結婚みたいな形で結婚をした、とのこと。本当に愛しているのは元カノで、今でも彼女が一番好きなのだそうだ。

いち公務員がなぜ政略結婚なんかするのか。
と、怪しさ満点の話のうえ、さりげなく自分は名家の出、みたいな自慢まで挟んできた。

しかも、元カノとどれだけ愛し合っていたか、まるでドラマのように劇的に語り出した。運命だった、と言っていたが、こちらにしてみたら、そんなもん知るか、である。

ツッコミどころ満載だったが、話を膨らますとまた長くなりそうだったので、何も言わなかった。

そして最悪な事に
「もう25才なんだよね？彼氏いないんでしょ？これからどうするの？先のこと考えてる？俺、その年には結婚してたよ」
と、結婚しているとバレた途端に独身彼氏なしの私にマウントを取ってきたのだ。

はっきり言う。
こいつは今まで出会った男の人の中で、ワーストワンだ。

そして散々俺の話をした後、淳さんはこう言った。
「俺さ、みんなに典型的なB型だって言われるんだよね。自由奔放すぎてさ」

お前はB型である以前に、単に身勝手なだけだろう。全人類のB型に謝れ。

そう言ってやりたかった。

しかし、ここまで自分中心、しかも愛のない結婚をしていて元カノを一番愛している、とのうのうと言ってのけるとは、奥さん気の毒、としか言いようがない。

いや、もしかしたら愛がないのは奥さんの方ではないのか？

淳さんとの電話を切った後、もう会うのはもちろん電話をするのさえ止めようと思った。非常に胸クソが悪かった。

その後、電話をナンバーディスプレイに替え、淳さんからの電話は徹底的に無視した。

とは言え、下心がないと言い張っていたが、エッチなことをせずとも「俺の話を聞いてくれ」と、次なるターゲットを虎視眈々と狙っているに違いなかった。なぜなら、自分の身勝手さをすべて血液型のせいにしていたからだ。つまり反省は口だけで本当にしてはいないだろう。

こういう人がいるから、世間はB型の人を疎ましがるのではないだろうか。
淳さんの罪は重い。