49 / 58
変な男の人たち
最後の彼氏
しおりを挟む
30才になった。
彼氏がいなくても平気な私は、仕事をし、自宅ではゲームにいそしみ、ただダラダラと毎日を過ごしていた。
結婚への焦りもなかった。
その頃ブログをやっていて、ゲームのことや洋楽のロック、映画、格闘技など、自分の趣味のことを不定期に投稿していた。決して人気ブログではなく、時折数人からコメントをもらうくらいの完全な趣味ブログだった。
そこで時々コメントをくれる「エビ」というハンネの男の人。エビハラとかそんな名前の人だろうな~と予測されるその人は、格闘技はもちろん、洋楽のロックにも詳しい元バンドマン。何才かは分からないが、イカしたコメントをくれるのでよくコメントのやり取りをしていた。
ある日、そのブログで「エビ」に直メをしないかと誘われた。ずいぶん長いことコメントのやり取りもしたので、まあいいかと自分のメールアドレスを教えた。
「エビ」は27才。こちらが30代だと告げてもさほど気にする様子もなく、しばらくメールのやり取りをした。
「エビ」が会おう、と言い出したのは直メしてから一ヶ月くらい経ってからだった。彼も私も都内在住。簡単に会える距離に住んでいた。
私は「エビ」と会うことはまったく考えていなかった。ただダラダラと同じ趣味のことを話すのが楽しかっただけで、そういう気は毛頭なかった。だから、会おう、と言われた時、正直うろたえた。
お互いどんな見た目なのかはまったく話さなかった。
正直、仲のいい友達になるだろうなという思いだけで「エビ」がブサイクだろうが何だろうが構わなかった。
「エビ」は私の家の最寄り駅に来てくれた。
金髪でライダースを着た若い男が駅前に立っていた。
金髪かよ。これが「エビ」か?
と、思いジロジロ見ると、向こうもこちらをジロジロ見ている。
お互い、この人か、と認識すると「ど、どうも」とぎこちない挨拶をした。
予想より「エビ」はアグレッシブな見た目だった。
顔は至って普通。ブサイクでもない。やんちゃな印象で年より若く見えた。
しかし、何度もネットやメールで話をしたからか、初対面だというのに自然に話ができた。お互い特に緊張もしていなかったと思う。
それから2人で食事に行った。
「エビ」の名前は洋平だった。フルネームをきいたが、「エビ」のエの字もビの字も引っかかっていなかった。だったらなぜ「エビ」なのか、ときいたところ「エビが好きだから」という予想外の答えが返ってきた。
しかし、思えばリッキーも和彦だった。
バンドマンの考えはよく分からない。
「エビ」こと洋平とは話が盛り上がった。その店にずいぶん長いこといた。見た目に反して、抑揚の少ない落ち着いた話し方をする人だった。
人の多い店だったが、洋平はキョロキョロすることなく、じっと私を見つめ、私の他には何も見えていないように視線がまっすぐだった。自分の知っている男の人は、きれいな女の人がいようものならそっちを見て、まるで女の人を物色するようにキョロキョロするが、洋平にはまったくそれがなかった。
そして店を出る時、洋平は「家に行きたい」とド直球で誘ってきた。これにもうろたえてしまった。
まあ…多分これっきりかな…ワンナイトで終わるかもな…まあいいか。
と、私は洋平を家に連れて行った。
彼氏がいなくても平気な私は、仕事をし、自宅ではゲームにいそしみ、ただダラダラと毎日を過ごしていた。
結婚への焦りもなかった。
その頃ブログをやっていて、ゲームのことや洋楽のロック、映画、格闘技など、自分の趣味のことを不定期に投稿していた。決して人気ブログではなく、時折数人からコメントをもらうくらいの完全な趣味ブログだった。
そこで時々コメントをくれる「エビ」というハンネの男の人。エビハラとかそんな名前の人だろうな~と予測されるその人は、格闘技はもちろん、洋楽のロックにも詳しい元バンドマン。何才かは分からないが、イカしたコメントをくれるのでよくコメントのやり取りをしていた。
ある日、そのブログで「エビ」に直メをしないかと誘われた。ずいぶん長いことコメントのやり取りもしたので、まあいいかと自分のメールアドレスを教えた。
「エビ」は27才。こちらが30代だと告げてもさほど気にする様子もなく、しばらくメールのやり取りをした。
「エビ」が会おう、と言い出したのは直メしてから一ヶ月くらい経ってからだった。彼も私も都内在住。簡単に会える距離に住んでいた。
私は「エビ」と会うことはまったく考えていなかった。ただダラダラと同じ趣味のことを話すのが楽しかっただけで、そういう気は毛頭なかった。だから、会おう、と言われた時、正直うろたえた。
お互いどんな見た目なのかはまったく話さなかった。
正直、仲のいい友達になるだろうなという思いだけで「エビ」がブサイクだろうが何だろうが構わなかった。
「エビ」は私の家の最寄り駅に来てくれた。
金髪でライダースを着た若い男が駅前に立っていた。
金髪かよ。これが「エビ」か?
と、思いジロジロ見ると、向こうもこちらをジロジロ見ている。
お互い、この人か、と認識すると「ど、どうも」とぎこちない挨拶をした。
予想より「エビ」はアグレッシブな見た目だった。
顔は至って普通。ブサイクでもない。やんちゃな印象で年より若く見えた。
しかし、何度もネットやメールで話をしたからか、初対面だというのに自然に話ができた。お互い特に緊張もしていなかったと思う。
それから2人で食事に行った。
「エビ」の名前は洋平だった。フルネームをきいたが、「エビ」のエの字もビの字も引っかかっていなかった。だったらなぜ「エビ」なのか、ときいたところ「エビが好きだから」という予想外の答えが返ってきた。
しかし、思えばリッキーも和彦だった。
バンドマンの考えはよく分からない。
「エビ」こと洋平とは話が盛り上がった。その店にずいぶん長いこといた。見た目に反して、抑揚の少ない落ち着いた話し方をする人だった。
人の多い店だったが、洋平はキョロキョロすることなく、じっと私を見つめ、私の他には何も見えていないように視線がまっすぐだった。自分の知っている男の人は、きれいな女の人がいようものならそっちを見て、まるで女の人を物色するようにキョロキョロするが、洋平にはまったくそれがなかった。
そして店を出る時、洋平は「家に行きたい」とド直球で誘ってきた。これにもうろたえてしまった。
まあ…多分これっきりかな…ワンナイトで終わるかもな…まあいいか。
と、私は洋平を家に連れて行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる