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お気に入り50人突破記念♪感謝のSS ~セレヴィスの願い~
「セレヴィス」
俺の名前には、闇と死の意味が含まれている。
だから嬉しかったんだ。何の気負いもなく普通に話し掛けられた事が。ラルが旅に出る前、一緒に来る気なら準備して来いと言ってくれた事、なにより、村の門で本当に待っていてくれた事。ラルにとっては大した事ではないのだろうけど、村で疫病神扱いだった俺を、あっさり受け入れてくれた事も。
俺の母親は、俺を産んで直ぐに死んだ。だから、俺は母親の顔を知らないし、父も姉も、俺の事を疎んじていた。
姉は、何かあると直ぐ俺の所為にし、父も極力俺と関わらない。
“関わると不幸になる”“呪われる”“近付くと災難が”“口を聞くな”“気を付けろ”と、村の西側の方では皆、俺を避けては囁いていた。だから、自ら好んでなんて、誰も俺に話し掛けてくる奴なんかいない。
シヤンは俺の噂を聞き、嫌悪感丸出しで、『誰もあいつに近寄るな。近寄った奴とは口聞かねぇ』と、俺に聞こえるようにそう言った。実際、そんな事を態々言わなくても、誰も俺になんか近寄らないのに。
そんな中、学校でラルの噂をする人間がたくさんいた。友達のいない俺にまで聞こえるラルの噂は、驚くような物ばかりだった。だから、そんなラルが、俺なんかに声を掛けるとは、夢にも思わなかった。
「よぉ!お前さ、あんま自分を追い込むなよな。ああいうのは気にしてたら切りがないぞ」
ラルの横を通った時に声を掛けられ、自分の耳を疑った。
「――俺に……言ってるのか?」
「おいおい、この距離で、あんた以外の誰に言うってんだよ」
俺の問いに、呆れたような声を出しながらも答えてくれる。
「えっ、いや、えっと……?……お前、恐くないのか?」
普通は嫌がる。闇と死の意味を持つ奴なんか。それとも、噂を知らない?
「恐いって……シヤンの事か?悪いけど僕、あいつの天敵らしいから。まぁ、こっちはあんなのどうでもいいけど。それとも、お前に関する噂の事か?どっちにしろ、恐くはないな。噂なんぞ気にしない。事実だろうと問題ない」
そう言って、俺と普通に話すラル。
変わった奴だとその時は思ったけど、どういう奴なのか気になった。噂自体は知ってるけど、ラル自身はどういう奴か、知りたくて、確かめたくて家を出て、会いに行った。
なのに、旅に出ると言われ、ラルの事をもっと知りたい、話したいと思った。友達になりたい、入れてもらいたいって。“無理だ”って、”迷惑だ”って、嫌がられるかも知れない、断られるかも知れない。それでも言いたかったんだ。一緒に行っていいかって。
それなのに、あっさりOKしやがるし、隣村に着いた夜、ラルもアーヤも略式名で呼んできた。
「セス」
誰も呼ばない略式名。親しい友人扱いしてくれた事も、俺にとっては初めての体験だったんだ。
だから、どうかこの二人には、幸せになってほしい。不幸になんてならないでほしい。
俺は祈る。噂が真実にならないように。俺は願う。二人に不幸が降りかからないように。
俺の名前には、闇と死の意味が含まれている。
だから嬉しかったんだ。何の気負いもなく普通に話し掛けられた事が。ラルが旅に出る前、一緒に来る気なら準備して来いと言ってくれた事、なにより、村の門で本当に待っていてくれた事。ラルにとっては大した事ではないのだろうけど、村で疫病神扱いだった俺を、あっさり受け入れてくれた事も。
俺の母親は、俺を産んで直ぐに死んだ。だから、俺は母親の顔を知らないし、父も姉も、俺の事を疎んじていた。
姉は、何かあると直ぐ俺の所為にし、父も極力俺と関わらない。
“関わると不幸になる”“呪われる”“近付くと災難が”“口を聞くな”“気を付けろ”と、村の西側の方では皆、俺を避けては囁いていた。だから、自ら好んでなんて、誰も俺に話し掛けてくる奴なんかいない。
シヤンは俺の噂を聞き、嫌悪感丸出しで、『誰もあいつに近寄るな。近寄った奴とは口聞かねぇ』と、俺に聞こえるようにそう言った。実際、そんな事を態々言わなくても、誰も俺になんか近寄らないのに。
そんな中、学校でラルの噂をする人間がたくさんいた。友達のいない俺にまで聞こえるラルの噂は、驚くような物ばかりだった。だから、そんなラルが、俺なんかに声を掛けるとは、夢にも思わなかった。
「よぉ!お前さ、あんま自分を追い込むなよな。ああいうのは気にしてたら切りがないぞ」
ラルの横を通った時に声を掛けられ、自分の耳を疑った。
「――俺に……言ってるのか?」
「おいおい、この距離で、あんた以外の誰に言うってんだよ」
俺の問いに、呆れたような声を出しながらも答えてくれる。
「えっ、いや、えっと……?……お前、恐くないのか?」
普通は嫌がる。闇と死の意味を持つ奴なんか。それとも、噂を知らない?
「恐いって……シヤンの事か?悪いけど僕、あいつの天敵らしいから。まぁ、こっちはあんなのどうでもいいけど。それとも、お前に関する噂の事か?どっちにしろ、恐くはないな。噂なんぞ気にしない。事実だろうと問題ない」
そう言って、俺と普通に話すラル。
変わった奴だとその時は思ったけど、どういう奴なのか気になった。噂自体は知ってるけど、ラル自身はどういう奴か、知りたくて、確かめたくて家を出て、会いに行った。
なのに、旅に出ると言われ、ラルの事をもっと知りたい、話したいと思った。友達になりたい、入れてもらいたいって。“無理だ”って、”迷惑だ”って、嫌がられるかも知れない、断られるかも知れない。それでも言いたかったんだ。一緒に行っていいかって。
それなのに、あっさりOKしやがるし、隣村に着いた夜、ラルもアーヤも略式名で呼んできた。
「セス」
誰も呼ばない略式名。親しい友人扱いしてくれた事も、俺にとっては初めての体験だったんだ。
だから、どうかこの二人には、幸せになってほしい。不幸になんてならないでほしい。
俺は祈る。噂が真実にならないように。俺は願う。二人に不幸が降りかからないように。
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