英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~デ・フォン領域~

今後の話し合い

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「一般人でもかよ……」
「だって東の魔物はこことは比べ物にならないからね。一般人が闘う弱い魔物でも、相当たちの悪い魔物ばっかだから」

 道沿いは基本、強い魔物が嫌がるよう、工夫されてるから、魔物避けと併合すればかなりの確率で回避出来るんだよね。
 そうは言っても0ではないから、ある程度は身体を鍛えて、街から街へ移動する場合は、冒険者を雇うなり騎士団の乗り合い馬車を利用するようにはしてるらしいけどね。



 数日を経た夜、僕はアーヤとセス、それに一応あの兄さんも加えて、今後の話し合いをする。

「聖騎士団依頼の仕事にやっと目処めどが立ったよ。今週中に旅に出るから、準備をよろしく~!で、聞きたいんだけど、どこに行きたい?大陸名でも良いよ」
「ここからだとクヴェアが一番近かったよね?」
「はい、却下」
「え、何で?!」

 本当、学習しないなこの兄さん……。

「ヘグルス(※重力)考えろって言ったよね?またヘグルス変換機器を壊す気?」
「あ、そうか。でも、砂漠も行ってるし、イファデラじゃないから大丈夫じゃないの?」

 砂漠や山脈と言った場所だと地の魔力が強くなるから、そう言った場所は大陸のヘグルスより1上がるけど、それでもいきなり北に行くような愚行を起こす者は殆どいない。この兄さんを除いては。

「北は東の次にヘグルスが重い場所だっての!あんたはここの砂漠の2までは行ったけど、2でも6が限度なのに、6を越えていきなり8に行こうとすんな!」
「じょっ、冗談だよ~!」
「「嘘だね、絶対」」

 きっぱりはっきり言い切る僕とアーヤ。
 アーヤとハモったけど、やっぱそう思うよね。こいつに冗談なんて上等な考えはないよ、きっと。

「僕達だけなら北でもどこでも行けるんだけどね。で、アーヤとセスはどこ行きたい?」

 僕は兄さんに嫌みを言って、アーヤとセスに話を振る。

「ファジスタに行って、このお兄さんを捨ててくる?」
「ちょっ、アキーシィヤ?!」
「良いね、それ。ついでにこの兄さんの親の顔でも見る?何なら、兄さんのやらかした事を全部教えるのも良いんじゃない?」
「ラファールまで?!駄目だよ!僕は暫くファジスタには帰らないからね!」

 ぼくとアーヤがチッと舌打ちする。さすがアーヤ、息ピッタリ♪
 そもそもこんな馬鹿に、一人旅させようとする親もどうかと思う。自分の息子の馬鹿さ加減を把握しろ。それか、せめて供を付けろ。

「あー、ここの次のヘグルスってなると、北西トゥルトゥス大陸なんだよな?」
「うん。でも時期的に避けた方が良いかな。元々閉鎖的な大陸だし、他の大陸から来る旅人は制限されるんだ。春か夏なら緩和されてるから、滞在するならその時期が良いんだよ」

 まぁ、僕の場合はレン兄と言う強い味方がいるから話を通せば大丈夫だけどね。
 とは言え、セスも兄さんも僕が北西の王子と仲が良いなんて知らないから、説明が面倒だし、本人を紹介する機会があればその場で言えば良いだけだからね。

「じゃあ、次は……」
南東ルエナだね。じゃあ南東にする?」
「アーヤはそれでも良いかな?」

 セスの問いにアーヤは頷く。
 因みに南東はイル兄の出身地で、国に属さない大陸だ。キスト兄もだけど、イル兄は本島、キスト兄は小島になる。

「じゃあ、リストワから船が出てるだろうから、リストワに向かおうか」
「リストワって来た時の?他の港からじゃ駄目なの?」
「行けない事もないけど、他の港からだと乗り継がなきゃだし、かなりな日数を船で過ごす事になるよ?」

 東と違い、定期船の船も運航数も多いから、歩きとかと比べれば、短い日数で着くだろうけど、身体を動かす事が極端に減る。海の色が変わっていく様は面白いけど、それは海沿いを行けばリストワまでなら同じ事だしなぁ。

「急ぐ訳でもないし、僕としては陸路でリストワまで行く方が良いかな?途中好きな街で滞在延長とかも出来るし」
「え?また同じ道を通るんでしょ?それなのに滞在延長とかするの?」

 いや、道は一つじゃないからな?何でルート限定すんだよ。歩きなんだから好きな方向に行けるっての。

「やっぱりファジスタ行って、このお兄さんを捨てた方が良いと思うの」
「僕も賛成~。遠回りだけど急がないから問題ないね」
「嫌だってば!ってか、何で捨てるになるの?!」
「え?売っても買い取り手がないからだよ?その辺だと迷惑にしかならないじゃん」

 僕の言葉にアーヤも頷く。

「アキーシィヤまで?!何でいつもラファールの味方なの?!」

 そんなの当たり前だよ。そもそも何で兄さんにアーヤが付くと思ってんのさ?アーヤは僕の相棒だっての。

「ファジスタなら捨てても家の者が拾えるよね?ってか、僕的に金払ってでも引き渡したいんだけど」
「そう言うな、また同じ事をやらかされるだけだぞ」
「「本当、親の顔が見てみたい」」
「まぁ、分からなくもないけど、今はリストワに行く道を決めるんだろ?」
「セレヴィスは僕の味方なんだね!ありがとう~!」
「いや、そう言う訳じゃ……」

 兄さんにキラキラした目で見られて困惑するセス。まぁ村ではそんな目で見てくる奴はいなかったからかな?でもあんまその兄さん庇うと図に乗るよ?セスは優しいから仕方ないんだけど。

「リストワに行く道はどうするんだ?どうせなら東の砂漠も見てみたいな」
「あそこなら、僕の知り合いの兄さんがそこの砂漠に詳しいよ。今丁度このデ・マームにいるから案内して貰う?」

 トゥー兄がそこの砂漠の出身だから、途中まで一緒に旅するのも楽しそう♪

「え、大丈夫なのか?そんな急に決めて」
「そろそろ帰るって言ってたから大丈夫だと思うよ?」

 僕が出てからって言ってたけど、問題ないと思う。僕が来るからデ・マームに来たって言ってたから。

「……じゃあ、頼んでもいいかな?」
「勿論♪」

 多分、セスは辞典類いであの辺の固有種の花や動物に興味が湧いたんだと思う。
 旅に出てから知った事だけど、セスは絵を描くのが好きみたい。たまにスケッチする姿を見るからね。
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