英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
8 / 113
~ライトフォーマー周辺~

チェリク村

 僕の村からチェリクまでは、大体丸一日掛かる。ただし、この日数はライトフォーマー出身者限定だ。何故ならチェリクの村を出て直ぐ北から、精霊の結界があるフォルゼ領域になり、フォルゼ領域はヘグルス(※重力)が10に変わるから。チェリクはヘグルスが9だから、ヘグルス変換機器を持たない村人は、急激に身体が重くなるし、フォルゼ領域に無断侵入すれば、精霊に方向感覚狂わされた上さんざん迷わせられた挙げ句、フォルゼ領域から追い出されるという踏んだり蹴ったりな事になるから。ただ、フォルゼ領域は山が多く標高も高い為、ヘグルスが変わったと気付く人は案外少なかったりする。
 ヘグルスは1~10まであり、数字が少ない方が軽く、多い方が重い。
 旅人や、大陸を行き来する人達は、ヘグルス変換の機器を買って持ち歩く。大体は各大陸によって違うんだけど、同じ大陸でもフォルゼ領域みたいにヘグルスが違う場所もあるからね。


 日が傾き夕方になる頃、僕達は歩みを止めて道路上にテントを張る。山は日が落ちるのが早く直ぐに真っ暗になるし、森の中でテントを張ると、ここらの魔物や野生動物が来ちゃったりするからね。野生動物をあなどる事なかれ。ここら辺の野生動物は他の大陸の魔物と同等か、下手すりゃそれより強かったりする。ヘグルスが強いとそこに棲む魔物や野生動物も強い。
 野生動物とリックルと呼ばれる魔物の違いは、魔力を使えるか使えないかの違い。自分の魔力を自在に操る物=魔物で、ディールと呼ばれる魔物の場合は物に憑依した魔物って事だ。ここらの魔物や野生動物は、熟練の冒険者や騎士が一匹に対し複数人で挑んでも、勝利出来るかどうか。最低五人以上いる事をお奨めする。
 火を起こして食事をし、アーヤと雑談してたら大分夜も更けてきた。アーヤが眠そうな顔をしている。

「眠い?」
「ちょっとだけ。大丈夫、起きてられるよ」
「無理しなくていいよ。アーヤは先に休んでて。僕はまだ全然眠くないから。大丈夫、眠くなったらちゃんと寝るよ」
「ん、じゃあ……先に寝るね」
「外は寒いから、テントの中で寝なよ」

 勿論僕は何かあった時の為に外で寝る。

「ありがとうラル、そうするね」

 女の子は冷やしちゃいけない。まぁ僕も性別学的上は女だけど、そもそも僕の場合は人間じゃないからね。


 翌朝、アーヤが起きる前に日課のトレーニングをして、アーヤと共に食事。火の始末をしてからチェリクに向けて出発!
 昼頃にチェリクの村が見えてきた~♪

「着いたや。さて、薬屋に用事用事!」

 早速チェリクの薬屋へと向かう僕達。早く用事を済ませて帰らなきゃ!
 チェリクの薬屋は顔馴染みのおばあちゃん。

「こんにちは~、おばあちゃんいるぅ?」
「おや、あんた達、隣村の子じゃないか!二人で来たのかい?大変だっただろうに、よくここまで来れたね」

 おばあちゃんが吃驚してる。いつもはラファス兄と一緒だからだろう。

「この頃は凶悪な魔物が多くなってきてるけど、魔物には会わなかったかい?」
「大丈夫。出会ったけどこのラルが倒してくれたからちゃんと来れた」

 アーヤの言葉に驚き、訝しげな表情を見せるが話は合わせてくれるようだ。

「まあ!あんた達、凄いのねぇ」

 感心したと言葉では言うが、全く心が籠ってない。

「おばあちゃん、それより薬ちょうだい、薬!」
「ああ、そうねぇ。はい、いつもの薬よ。これだけ有れば大丈夫でしょう」
「ありがとう!」

 代金と引き換えに薬を貰う。
(知らない気配だ。誰だろう?こっちに来る……)

「すみません」
「おや、旅の方。もう行くのかい?」
「ええ。色々とお世話になりました。――おや?この子達は?」

(今頃気付いたのか?この兄さん。気付くの遅いしこの辺彷徨うろつくには全然実力足りなさそうなんだけど……)

「「……」」

僕とアーヤは無言で兄さんを観察する。

「隣村の子達だよ。これが切れたらしくてわざわざ足を運んでくれたんだよ」
「へぇ~……」
「そうだ!あんた、この子達を村まで送ってってくれないかい?」
「ああ、構いませんよ。特に急いだ旅でもありませんし、この辺は強い魔物が出ると聞きます。子供二人じゃ危ないですからね」

(どう見ても実力は僕より遥かに下。ってか、一人でここらの魔物と遭遇したら、多分この兄さんじゃ勝てないと思うけど。まぁ僕には関係ない事だから、勝手にして)
 僕は小声でアーヤに囁く。

「アーヤ、今のうちに行くよ」
「うん」

 僕はアーヤを連れて薬屋を出る。

「あのおばあちゃん、信じてなかったね」

「んー……。ま、仕方ないよ。あれが普通の反応だろうし。折角チェリクまで来たんだし、換金屋に寄ってから帰ろうか」
「そうね。私達の村には換金屋はないもんね」

 僕の村の人達は、フォーゼ家以外村の外に出る人は少ない。というか限られてる。殆どが村の中で遣り繰り出来るし外は危険が一杯だからね。だから村人には換金屋自体必要ない。利用するならチェリクに行くしかないのだ。
感想 3

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

​『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』

月神世一
ファンタジー
マンションの5階でカレーを作っていたら、なぜかトラックが突っ込んできた件。 ​外科医を目指す医学生・中村優太(24)は、特製の絶品バターチキンカレーを食べる寸前、マンションの「5階」に突撃してきた理不尽なトラックによって命を落としてしまう。 ​目を覚ますと、そこはコタツでカップ麺を啜るジャージ姿の駄女神・ルチアナの部屋だった。 「飲み会があるから定時で帰りたい」と適当な理由で異世界転移をさせられそうになる優太だったが、怒りのガラポン抽選でユニークスキル【地球ショッピング】と【女神ルチアナこき使い権】を引き当てる! ​かくして、ポンコツ女神を強制連行して剣と魔法の世界『アナステシア』に降り立った優太。 しかし、彼にはただのチートスキルだけではない、元SEALs直伝の「CQB(近接戦闘術)」、有段者の「薙刀術」、そして何より「現代医療の知識」があった――! ​降り立った辺境のポポロ村で彼を待っていたのは、クセが強すぎる住人たち。 ​キャルル: マッハの飛び蹴りを放つ、ファミレス大好きなウサ耳村長。 ​リーザ: タダ飯とポイ活に命を懸ける、図太すぎる地下アイドル人魚。 ​ルナ: 善意で市場や生態系を破壊する、歩く大災害の天然エルフ。 ​ルチアナ: 優太のポイントでソシャゲ課金と酒を目論む、労働拒否の駄女神。 ​優太は【地球ショッピング】で召喚した現代物資と、自身のサバイバル能力&薙刀術で野盗や魔物を無双! さらには特製のスパイスカレーで異世界人の胃袋を完全に掌握していく。 ​そして、村人に危機が迫った時。 優太の「絶対に命を救う」という善意の心が、奇跡の黄金ガチャを引き起こす……! ​「俺は医者だ。この村の命も、平和な日常も、俺の戦術(スキル)で全部守り抜く!」 ​現代の【医療・戦術・料理】×【理不尽ギャグ】×【異世界サバイバル】! 凶悪な「ワスプ薙刀」を振るい、ヤバすぎる仲間たちと送る、最強医学生のドタバタ辺境防衛ライフが今始まる!

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

阿里
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。 同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。 16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。 そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。 カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。 死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。 エブリスタにも掲載しています。

婚約破棄をしてみたい

あんど もあ
ファンタジー
公爵令嬢アイリアナは、13歳というのに婚約者がいない。周りがハイスペック男子ばかりなので、縁談を申し込んでも「畏れ多い」と断られてしまうのだ。 「あなたたちのせいよ!」「そう言われても……」 そうだ、王子と婚約して卒業パーティーで婚約破棄を宣言してもらおう! そうすれば……。 果たしてアイリアナの計画通りに行くか?

公爵家の養女は静かに爪を研ぐ 〜元々私のものですので、全て返していただきます〜

しましまにゃんこ
恋愛
リヴィエール公爵家に養女として引き取られた少女、アリサ・リヴィエール。 彼女は華やかな公爵家の嫡子マリアとは対照的に、家でも学園でもひっそりと息を潜めて生きていた。 養女とは言っても、成人と同時に修道院へ入ることが決まっており、アリサに残された時間は僅かだった。 アリサはただ静かに耐えていた。 ——すべてを取り戻す、その時まで。 実は彼女こそが、前公爵が遺した真の娘であり、水の加護を持つリヴィエール公爵家の正統なる後継者だった。不当に奪い取られた地位と立場。 アリサは静かに時を待つ。 一方、王太子リュシアン・ルミエールは、傲慢な婚約者マリアに違和感を抱きつつ、公爵家に隠された不正の匂いを嗅ぎ取っていく。 やがて二人の思惑は重なり、運命の卒業パーティーが幕を開ける。 奪われた名前も、地位も、誇りも—— 元々、私のものなので。まとめて返してもらいます。 静かに爪を研いできた養女の、逆転ざまぁと溺愛ロマンス。 完結保証&毎日2話もしくは3話更新。 最終話まで予約投稿済み。