英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~王都への道中と王都エルム~

王都エルム

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 王都であるエルムには昼頃に着く。さすが王都と呼ばれるだけあって人の多さも店も賑わいも、今まで通って来た街より凄いから、何もかも初めてのセスは驚きの連続だろう。口開きっぱなだし。そんなセスを見て、ウィルヴァルおじさん含む護衛の騎士の兄さん達は嬉しそうだ。

「やっぱ子供はこうでなきゃあな!」

 それって僕が子供っぽくないって言いたいのかな?猫被りならいくらでもやってやるよ?
 僕が無言で笑顔を見せてるとウィルヴァルおじさんが失言だったと慌てて話題を替える。

「ラファール、お前等今日は王都泊まりだろ?!なら、俺ん家泊まれや!次いでに二、三デェフィル(※2、3日)泊めてやる。俺等も今日は解散して身体を休める。明日ぐらいは馴染みの騎士共にも会ってやれ!喜ぶからさ♪」

 つまり王城に顔出せって事か。

「いえ、あの、そこまでお世話になる訳には……」

 兄さんが横から口を挟む。わざわざ理由までこじつけてんだから、割って入んな。

「兄さんさ、ウィルヴァルおじさんはこう見えて貴族だよ?」
「おいラファール、こう見えてってのは余計じゃねぇか?」

 普通に見ても、その言葉遣いじゃ貴族には見えないから、合ってる筈だよ?現にセスや兄さんは吃驚してるし。

「事実だよね?」
「まぁな~♪部屋はあちこち空いてんだ。好きなだけ使えや」

 いつも通りのやりとりをする僕達。そして、僕は言いたかった続きを兄さんに言う。

「どうでもいい貴族なら未だしも、仲の良い貴族の誘いを断る方が、失礼に当たると思うんだけど?それに僕、何度かウィルヴァルおじさんの家に行った事あるし、奥さんとも普通に仲良いよ。明日会いに行くの?仲の良い騎士達は用がなくても来いって言うけど、たまに威張り散らした貴族もいるよね」
「俺ぁ威張り捲ってる貴族は嫌いだからな。ラファール連れてくと、色々面白い事になるんだよ♪」
「僕は絡まれんのウザいんだけど?まぁ、ウィルヴァルおじさんの期待通り、子供の立場を存分に利用してやり込めるけど」
「やり込めるって?!」

 兄さんが驚いた声を出すけど、言葉通りだよ?

「例えば、頭でっかちな人には僕の兄さんが教えてくれた、学者でも難しいかなって問題出して、頭悩ませてる所、僕これ解けるから、勿論貴方も解けるよね?って聞くの。大概皆逃げ出すよ?挑戦してみる?」

 なんて事ない古代語解読問題だ。今の学者って、間違った解釈する人多いから、簡単な古代語でも時間が掛かるし、不正解率高いんだよね~。

「けっ、結構です……」

 兄さんが青い顔してそっぽ向く。まぁ兄さん勉強嫌いそうだもんなぁ~。ヘグルスに関してもよく知らずにいたみたいだし。普通じゃあり得ないけどね。

「脳筋とは体力勝負するよなぁ。ラファールと勝負した奴等は息切れ起こしてんのに、ラファールはいつも息も切らさずケロッとしてるぞ」
「僕は山育ちだから、簡単には負けないよ」

 それに僕は、ラファス兄に鍛えて貰ったから、そこら辺の人間に負けるような鍛え方はされてない。凶悪ディール魔物ですら勝てるんだからね。
 今日はこれからウィルヴァルおじさんの家に行って、馬車旅の疲れを癒す♪
 僕は夜、騎士の兄さん達と身体動かしてたけどアーヤ達はあまり身体を動かす事はなかったから、身体がカチコチに固まっててもおかしくない。何せ移動中はずっと馬車内で過ごして来たからね。特にセスは旅が初めてだから、もっと大変かもね。今回の旅で野宿も初めてなら馬車も初めて。
 何せライトフォーマーは村の中なら車はあっても馬車はない。子供達の移動手段は歩きか自転車。車や自転車は村にいるドワーフのおじいちゃんが作ってる。
 因みに王都でも車は見ない。車はドワーフか凄腕のメカエンジニアがいないと走らせられない物だからだ。
 そして、ドワーフは人間の村や街にいる事は殆どない。いても一人か二人だ。ドワーフは独自の村や街を地下に作るからね。
 ただ、時々地上を旅して気に入った人間と同行したり、人間の村や街に留まる事が時々ある。
 そういった村や街は他の村や街より発展する事が多いのだ。だからドワーフに留まって貰いたがる国は多い。

「セスは身体大丈夫?ウィルヴァルおじさん家はゆっくり出来るからちゃんと身体をほぐしなよ。初めてばっかで知らない間に随分疲れが溜まってるだろうから」
「おう、そういや旅その物が初めてだったんだよな。気ぃ抜いたらドッと疲れが来るだろうから、早く帰るか!街の観光は明後日にでもに連れて行ってやらぁ♪」
「ウィルヴァルおじさんは世話好きだから好きにさせたげる方がいいよ」
 兄さんが何か言う前に僕が釘をさしておく。
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