英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~王都への道中と王都エルム~

王城

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 翌日、剣と荷物袋を持ったまま、王城にウィルヴァルおじさんと共に行く。
 先に知り合いの騎士達に会いに行こうとしたけど、門の所で国王陛下の側近が僕達を待ち構えていた。

「サウザレンさんだ、久しぶり~♪」
「いらっしゃいラファール。今回ラルファンス殿はいらっしゃらないんですね」
「うん。今回は僕の旅だからね」

 サウザレンさんは陛下、ウルファナル=エルム陛下の従兄弟にして国の中枢を担う中心人物の一人。陛下と同じ金茶色の髪と紫の瞳を持つ。本来ならこんな場所で人を待ち構えているような人物では決してない。筈なんだけど?

「サウザレンさんがこんな場所にいるって珍しいね。僕、何かしたっけ?」
「いえいえ、ラファールがというよりは、馬鹿な貴族や騎士、兵士等に足止めさせない為にです。今回はウィルヴァル隊長が昨日の夜に報せを下さったので、ウルファが早朝から五月蝿くて……」

 苦笑をするサウザレンさん。
 陛下が待っているから話をしながら行こうとサウザレンさんに言われて、王城内の陛下の執務室へと歩き出す僕達。
 陛下は僕やラファス兄の旅話を聞きたがり、王都に来てるって知ると直ぐ城を抜け出そうとする行動派な人だから、サウザレンさん達側近からすると、僕達が王城に来てくれる方が有り難いそうだ。
 まぁ僕達は捕まる確率が低いからね。僕達を知る人からの情報が入っても、探索したら既に王都を出てたって事も一度や二度じゃない!と言われた事があるぐらいだから。
 とはいえ、僕達も急ぐ時もあるし、時期的に忙しそうで遠慮したり、あとサウザレンさんの言う足止め連中に嫌気がさしてスルーした、とかかな?
 因みに最後の足止め連中云々は、陛下に散々嫌味言われたり陛下の機嫌を損ねたりで、側近周りからも冷遇されたそうだ。
 陛下からしたら、わざわざ王城まで来てる英雄王の末裔である僕達を、門前払いしたり城内で無下にして帰らせるなんて、そんな臣下、本当は切り捨てたいのだろう。王家が何としてでも切りたくない繋がりを断ち切るような真似してるんだからね。
 まぁ僕達はそんな事を一々気にしてないから、そんな馬鹿やらかした臣下も首が繋がってるんだけどね。

「あはは。ウルファナル陛下、相変わらずだね」
「ええ、もう少し落ち着きを持てと言ってはいるんですが」
「あれはもう無理じゃない?」
「結婚でもしたら変わりますかねぇ?」
「どうかな~?ウィルヴァルおじさんはどう思う?」
「あの陛下が結婚~?年齢的にはおかしかねぇが、そんな話あんのか?」
「今はまだありません。あっても興味ないの一点張りです。話の来る縁談女性の殆どが、ウルファのタイプではないので……。ラファール、何処かにウルファに似合いの女性は知りませんか?」
「うぅ~ん?理想は賢い女性だっけ?」

 聖騎士団特殊部隊の人達って何人か身内に独身女性がいたような?ああ、その内の何人かと僕会ってるや。

「……心当たりが?」
「ラファス兄の同僚の兄さん達に、身内で独身女性がいた筈。多分陛下と歳が近かったかな?一応聞いてみようか?」

 結婚したとは聞いてないから多分大丈夫だと思うけど。

「それは是非!!」

 聖騎士団の特殊部隊にいる兄さん達ってハイスペックなんだよね~。しかも身内も高い事が多い。その為かどうかは知らないけど、あまり男性に好まれないって言ってた。勿体無いよね、何人かと偶然会った事あるけど綺麗で賢い人達だったし。

「じゃあ一応聞いてみるけど、陛下には内緒ね?」

 期待だけさせてダメでした、じゃ可哀想だからね。向こうにだって理想はあるだろうし。
(陛下には内緒で記録石作動させて、会った時に姉さんに見~せよっと♪誰か一人ぐらいは良い反応見せてくれるといいなぁ)
 
「分かりました。陛下には内緒です」

 クスクス笑うサウザレンさん。よし、言質取った!勿論ウィルヴァルおじさんにも口止めしておいたさ♪



 城内にある陛下の執務室前に着くと、僕が扉を叩いて中からの返事を待つ。
 今回はサウザレンさんが一緒にいたから、呼び止めや行く手を遮られる事もなかった。

「――入れ」

 執務室の扉を開けて、僕が顔だけ覗かせる。

「ウルファナル陛下久しぶり~♪」
「ラファール!よく来た、さあ入れ!」
「おっ邪魔っしま~す♪」

 そこには満面の笑みで僕を出迎える国王陛下がいた。
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