英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
40 / 113
~港町エルト・デ・ルム~

いざ中央〈デ・トルト〉大陸へ

 翌日の朝にいつもの時間にここで集まり出港する事にして、僕とジムじいちゃんは別れた。明日からは中央デ・トルト大陸に向けての船旅だ。通常一番近い港までは大体5ディフェル(※5日)程。ジムじいちゃんの船なら2~3ディフェルで着くんじゃないかな?
 とにかく、夕方まではまだまだ時間があるので久しぶりにエルト・デ・ルムの中を散策する。
 港町とだけあって、様々な魚介類を取り扱う店や屋台を巡り、ちょっと買い食い♪うん。やっぱ新鮮で美味しい!
 いつでもこの大陸に、帰って来ようと思えば帰って来れるけど、暫くは帰って来ないだろうから、今日ぐらいは満喫しないとね♪



 翌朝、皆と一緒にジムじいちゃんの船へと向かった。そして、ジムじいちゃんの船を見て驚いてる。

「修理って、こんな大きな船だったの?!」

 いや、船の規模で言えばこれは小回りの利く中型船。まぁ中型船でもかなり大きいタイプだけど、兄さんにそれが分かる気はしない。

「うわ~、俺ここに来て色んな船見たけど、格好良いなぁ。この船に乗るのか?」
「そうだよ。あれが僕とジムじいちゃんで修理した船。もう直ぐ来ると……あ、来た来たジムじいちゃん。ジロウムって名前のじいちゃんで、前にも見たでしょ。あの人」

 僕がジムじいちゃんに見えるように片手を挙げれば、ジムじいちゃんも僕に合わせて片手を挙げる。

「あの人、この大陸じゃああんまり知られてないけど、乗り物とか船専門のかなり有名な技師だよ。まさかこんな所で会うなんて思ってもみなかったけどね」
「何でそんな人知ってるのさ……。君、この大陸出身者でしょ」
「何度も言わせんな。僕は兄さんより旅は長いっての」
「はあ?!ラファールって僕より旅が長いの?!」

 僕は兄さんの旅してる月日の短さに吃驚したけどね。実質でいっても僕の方が上だよ。僕は5ファルレ(※5才)の時から1ティファルム(※1年間)の内半年以上は旅に出てる。つまり、僕は2ティファル半以上旅してるから、2ティファルの兄さんよりも半年以上は長いんだよね。

「僕はまだ子供だけど、一応兄さんよりは長いよ。だからこそ、兄さんの方が異常だって事、分かってるの?」

 僕は兄さんに冷たい視線を向ける。とその時、ジムじいちゃんが到着。

「どうしたんじゃ?」
「ジムじいちゃん、聞いてよ、この兄さんジムじいちゃんと同じ中央大陸出身者なんだけど――」

 ジムじいちゃんにこれまでの事を簡単に説明する。

「――あー……儂もラルと同意見じゃし、ラルの言い分の方が正しいな。儂は30ティファル以上前からちょくちょく旅をしとるが、そんな儂でもイファデラ大陸は今回が初めてじゃ。冒険者ではない儂でも東は狂暴な魔物が多く危険と知っておるし、ヘグルス(※重力)変換機器を壊す馬鹿は初めて見たわ。儂からすれば、中央の恥と言っていいぐらいじゃぞ……」
「そ……そこまで?!」
「当然じゃ!ヘグルス変換機器のような頑丈で壊れ難い物を壊すなんぞ、設計者と制作者に謝らんか!これは市販の物の中でも長年使われとる画期的な機器じゃ。普通の使い方をすれば壊れたりせんわ!」

 あ、ジムじいちゃんも同じ事思ってたや。だよね~♪機械扱う立場からしたら設計者と制作者に謝れって思うよね~。まぁそれはともかく。

「ジムじいちゃん、説教は後で存分にしてあげて。僕はこの二人に船の中とか色々見せたいんだよね♪何せこの二人は船旅初めてなんだよ~!アーヤ、このアキーシィヤはエルト・デ・ルムは数回来た事あるけど、セス、セレヴィスは旅自体が初めてで、船の上に乗る事自体初めてだから、早く乗せさせてあげてよ」
「おお、そうか!初めてか!よしよし、色々見せてやろう。船は良いぞ~♪」

 よし。ジムじいちゃんを船に誘導出来た♪セスは船を間近で見たくてウズウズしてたから、これで良し!ずっとここに居ても仕方ないもんね。船に乗って出港しなくちゃ冒険は始まらないからね!

「ジムじいちゃん、僕はこの船の性能が見たい!強化した部分とか、すっごく気になる!」
「そうじゃな、儂も気になるからこの二人に中を案内したら、直ぐにでも出そう!どこまで上がったか楽しみじゃ♪」
「二人って、あの、僕は……」
「兄さんはあちこち触るの禁止!」
「ちょっ、ラファール?!」
「当たり前じゃ!ヘグルス変換機器のような物を壊すような奴なんぞ、本来乗せたくないわ!」
「いや、僕は機械音痴じゃないよ?!」
「「信用出来るか!」」

 ジムじいちゃんと僕の声が見事にハモったけど、当然だと思う。前科が前科だし、全く信用ないから。それと、ジムじいちゃんの説教は多分後でたっぷりあると思うから、頑張れ。



 僕達はこの日、船に乗り込み出港した。そして、揺れを軽減する事も強化したから、僕達は快適な船旅を満喫しながら、僕の想定内の日数で中央大陸に着く事になった。
感想 3

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。 同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。 16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。 そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。 カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。 死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。 エブリスタにも掲載しています。

公爵家の養女は静かに爪を研ぐ 〜元々私のものですので、全て返していただきます〜

しましまにゃんこ
恋愛
リヴィエール公爵家に養女として引き取られた少女、アリサ・リヴィエール。 彼女は華やかな公爵家の嫡子マリアとは対照的に、家でも学園でもひっそりと息を潜めて生きていた。 養女とは言っても、成人と同時に修道院へ入ることが決まっており、アリサに残された時間は僅かだった。 アリサはただ静かに耐えていた。 ——すべてを取り戻す、その時まで。 実は彼女こそが、前公爵が遺した真の娘であり、水の加護を持つリヴィエール公爵家の正統なる後継者だった。不当に奪い取られた地位と立場。 アリサは静かに時を待つ。 一方、王太子リュシアン・ルミエールは、傲慢な婚約者マリアに違和感を抱きつつ、公爵家に隠された不正の匂いを嗅ぎ取っていく。 やがて二人の思惑は重なり、運命の卒業パーティーが幕を開ける。 奪われた名前も、地位も、誇りも—— 元々、私のものなので。まとめて返してもらいます。 静かに爪を研いできた養女の、逆転ざまぁと溺愛ロマンス。 完結保証&毎日2話もしくは3話更新。 最終話まで予約投稿済み。

婚約破棄をしてみたい

あんど もあ
ファンタジー
公爵令嬢アイリアナは、13歳というのに婚約者がいない。周りがハイスペック男子ばかりなので、縁談を申し込んでも「畏れ多い」と断られてしまうのだ。 「あなたたちのせいよ!」「そう言われても……」 そうだ、王子と婚約して卒業パーティーで婚約破棄を宣言してもらおう! そうすれば……。 果たしてアイリアナの計画通りに行くか?

神様が怒っています、と理系聖女は言った

あんど もあ
ファンタジー
瘴気が発生したある国が、異世界から聖女を召喚した。現れたのは、不機嫌な顔をした眼鏡をかけて薄汚い白衣を着た女性。『聖女のイメージと違う……』内心がっかりの人たちに、聖女は言った。「神様が怒っています」