英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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中央〈デ・トルト〉大陸   ~ルカタ近辺~

デ・~の付く領域と精霊達

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 中央デ・トルト大陸デ・フォン領域にあるデ・マームは世界屈指の大きな街で、大昔から国が介入出来ない場所だ。元々領域名がデ・~と付く場所は、大昔からの自治区で国の侵略が不可な場所である。

 因みに中央大陸にデ・~が付くのは、地の魔力が弱い分、風の精霊が多いから。デは古代語で、自由を意味する。風の精霊は気紛れで自由な性質だから姿を現す事が多い為だろう。

 まぁ中には領土を広げたくてデ・~の付く領域を攻め落とそうと考える国もいたけど、結果は国が痛い目にあっただけ。

 そもそも、デ・~と付く場所は精霊達が関与する場所。古代ルファールと比べたら力も数も激減してるけど、いない訳じゃない。

 寧ろ、いなくなって困るのはこの世界の人々だからね。精霊のいない場所なんて、作物の実りも少なけりゃ、作物自体が育ちにくいし、天候だって乱れる。ヘグルスだって狂うだろうから住みやすい世界とは言えなくなるね。

 精霊を蔑ろにして精霊の呪いを受ける馬鹿もいる。個人の場合は自業自得だから、僕達“赤”も関与はしないけど、それが王族辺りだとちょっと違う。

 さすがに国のトップやそれに近い者とかがやると、精霊達は国そのものを見限り兼ねない。実際僕の祖父に当たるナクラルお祖父ちゃんは元々精霊人だった上、南西フォルシィナ大陸の王子だったらしいんだけど、国王を除く国ぐるみで畏怖して暗殺しようとしてたんだって。今はその国はなくナクラルお祖父ちゃんが国を出た後にお祖父ちゃんの兄弟が争って滅んだらしい。僕はそのお祖父ちゃんの色合いを受け継いだんだけど……無知って本当に恐いよね。お祖父ちゃんが普通の精霊人だったら国が精霊の呪いを受けるなんて事なかったかもだけど、お祖父ちゃんは普通の精霊人とはちょっと違った。

 極々小数の人達が知ってる事だけど、僕のこの色合いは、特別な意味合いがある。それは“水の精霊の愛し子”である事。四大精霊の愛し子と呼ばれる人々の中でも、特に敵に回すと厄介なのはこの水の精霊の愛し子だ。精霊の愛し子というのは種族を問わずにいるけど、それが精霊人だと愛され具合が半端ない。

 まぁナクラルお祖父ちゃんの場合、ラファルクスお祖母ちゃんが対処法を教えて呪いも解いて貰ったらしいんだけど、何故か今では美談っぽく伝わってるみたい……。かなりな歳月が経ってるとはいえ、勝手に畏怖対象にしてた癖に都合良いよなぁって僕は思うけどね。

 因みに、水の精霊の愛し子が厄介なのは、他の精霊は愛し子に対して攻撃されても殆ど精霊が動く事はないけど、水の精霊だけは動くからだ。

 というのも、他の属性の精霊達は加減が出来ないから、動けば相手が即死しやすいけど、水の精霊達は加減が出来、死なないようにする事が得意だから、いくらでも関与する、それが呪い。

 水の精霊の呪いはとにかく厄介だ。例えば個人の場合、体内水分を死なない程度まで下げ、渇きを潤そうにも口に含めば蒸発させて、それ以上の摂取を出来なくしたり、触れた物の水分を奪い、枯らせてしまったり、周辺に雨を降らさなくしたり、水に関する物全てを死なない程度に遠ざける徹底振り。愛し子が苦しめば苦しむ程、水の精霊達は相手をやり込める。

 他の精霊の愛し子の場合と違い、水の精霊の愛し子に害意を向け、水の精霊に敵認定されれば、その相手は死ぬまでずっと呪われ続ける。被害者である愛し子が止めるよう説得しない限りはずっと。

 僕も水の精霊の愛し子になるけど、僕は精霊達に手出し無用、必要な時は僕から頼むし、僕は自身でやり込める力があるから大丈夫と、言い聞かせてる。そうでも言わないと、大惨事になっちゃうからね。

 ああ、勿論一方的に突っぱねると精霊が拗ねちゃうから、ちゃんとフォローはするし、感謝の言葉もちゃんと口に出すよ。

 精霊は普段姿を消して、人と関わろうとしないけど、いない訳ではないので怒らせてはいけない。特に水の精霊は。

 だからといって、他の精霊は怒らせても良いって訳じゃないからね。水の精霊は長く引っ張るけど、他の精霊は即死を狙うからね?愛し子に害意向けて、あまりにも酷かったら、八つ裂きとか火攻めとか、生き埋めだからね!

 因みに、愛し子がその立場を悪用しまくった場合は、勿論精霊達がその愛し子に掛けてる祝福を取り下げて、愛し子の特徴も消してしまうのだ。

 精霊達は愛し子をよく見てるから、愛し子の素行もよく分かる。人の考え方と異なる部分は多いが、長年人や他の種族と寄り添って来た彼等に善悪の区別ぐらいはちゃんと付くからね。

 だから愛し子は、愛し子という理由で何をやっても許されるなんて甘い考えを持ってはいけない。まぁ、殆どの愛し子は自身が愛し子だと威張るタイプではないので、そういったトラブルは滅多にないけどね。

 あと、僕は水の精霊の愛し子である前に、“赤”の自覚が強いから、精霊に頼られる存在でいたいんだけどね♪
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