英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

文字の大きさ
48 / 113
~トルク領域~

砂漠の町エコーム

 砂漠の町、エコームに到着。早速宿屋に向かい部屋を取る。着いたのは昼過ぎだから、宿で昼食を取り、思い思い過ごす事に。
 夜にバザーを開催してるから、夜は皆でバザーに行こうと言っておいた。エコームは色んな場所から物が集まるから、結構大きな市場になる。当然人も多く、スリやぼったくり、犯罪者もいたりするから、兄さんを野放しにすると全財産なくなったって事になりかねないからね。兄さんは自業自得って言ってやるけど、セスは慣れてないし、僕の近くが一番安全だから、一緒の方がどうとでもなるしね。
 こういったバザーは掘り出し物が多数存在するし、価値を知らない人からすれば、吃驚する程の安価で手に入る事も少なくない。ただし、目利きの出来る人がいないと逆に大損食らう事もあるから分からない物は買わずにいるか、損を覚悟で買うかだね。
 僕はある程度の物は判別可能だし、偽物かどうかも区別出来るから、得する事が殆どだけどね。正規価格も知ってるのが殆どだし、ラファス兄程じゃないにしても、他の目利き人よりかは上だと思う。物の見る分野も幅広いしね。


 そんな訳で、夜のバザーへとやってきた僕達。
 夜は夜で昼とは違う空気をまとう。

「昼と雰囲気が全然違う……。何だ?あれ」

 セスが視線を向けた先にあるのは変わった形をした御守り。

「ああ、あれはこの辺りに伝わる精獣の形をした御守りだよ。この砂漠のどこかには古代ルファール遺跡があって、その遺跡の奥深くに精獣が眠ってるって言い伝えられてるんだよ。ただし、遺跡は砂漠に埋もれて出入り出来ないし、入り口が見付かったとしても多分魔物がうじゃうじゃいるだろうねぇ。古代からある遺跡だと、魔力が今とは桁外れに強いから、魔物も規格外の強さを持ってる可能性が高いんだよね。だから万一見付けても、絶対一人で踏み込まない事。ディールは基本行動範囲が決まってるけど、種によって行動範囲が違うから要注意」

 古代の遺跡の最深部には誰も踏み入れてない所が多いんだよね。だから、未だに最深部に宝や遺跡を守る精獣がいたり、遺跡の主がいたりするんだって。
 ラファス兄も聖騎士団の仕事の依頼で古代語ルファールルヴェネ専門の学者……と呼ばれてるけど、僕達古代種精霊人からすれば、紛い物まが  ものと言いたくなる程お粗末な専門家……まぁ、古代関連の専門家なんて、そんな人ばっかだから今更だけどね。その学者さんがその遺跡のお宝に触れて、古代精獣が出てきたらしく、仕方なしに打ち負かしたんだって。
 その遺跡のお宝はラファス兄が打ち負かした精獣を封じ込めた物で、使役しえき出来る物だったみたいだけど、精獣封じ込めて意のままにって考え方自体気に食わないラファス兄はそのお宝を破壊したんだけど、その行動が精獣に気に入られて主認定されたっぽい。
 その話を聞いてた時、ラファス兄は不本意丸出しだったから、ラファス兄からすれば、学者さんの所為で傍迷惑はためいわくこうむったって思っているんだと思う。
 因みにその学者さんは、ラファス兄の脅しと聖騎士団の隊長であるレヴァーノ=ハイレス様、レノ兄に学者の問題行動を報告して聖騎士団を出禁にさせたらしい。
 あの学者さん、割りと色々やらかしてくれてたからなぁ。

「分かった、気を付けるよ」

 セスは兄さんと違い、素直に僕の言葉を聞いてくれるから本当楽だ。
 兄さんは何でもかんでも聞いてくるけどセスの場合は自分で考えてくれる。考えずに何でも聞いてくるのと考えても分からないから聞いてくるのとは全くの別物だからね。

「御守りは気に入ったのがあれば買うと良いよ。魔物避けとか幸運とか、ちょっとした付加が付いてたりするからね」
「付加?」
「鉄とかの金属系は付加を付けるのが難しいけど、御守りとかは魔力や想いを通し易い物を使ってるんだよ。作る時に魔物と遭遇しません様に~とか、幸せであります様に~とか、そんな感じで念じながら彫ったりすると作り手の魔力や想いで効果が付くんだって。物によっては壊れちゃうけど、壊れるって事は効果が出た後って事だから壊れる前提で買った方が良いよ。値段が高い物はそれなりの付加が付いてたり、壊れ難かったりだから、そこは買う本人次第って所かな?」
「なるほど……じゃあ、少し見てきて良いか?」
「うん、僕も行くよ。アーヤもおいで。値段は気にせず2個でも3個でも好きなの選んで。これは必要経費で僕が出す」

 お金は魔物退治の後に換金したお金を分けてるけど、セスはあまり受け取ろうとしないので、必要経費は全部持つからと言っている。一応万一に備えてある程度のお金は渡してある。まぁ大金にはなるかもだけど、僕の渡した収納ボックスはセスしか取り出せない設定にしたからって言ったら何とか受け取ってくれた。
 大丈夫だとは思うけど、道中はぐれたりしたら大変だからね。目的地は前もって言いはするけど、それでも合流に時間が掛かる場合もあるからね。
 一番はぐれ易いのは戦闘員である僕や兄さんだから、僕が一人で持つとバランスが悪いから、アーヤにも半分近くのお金を持ってもらってる。
 僕はお金を稼ごうと思えばいくらでも稼げるからね♪無一文でも生きていけるぐらいはラファス兄に仕込まれてるからね。
感想 3

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】瑠璃色の薬草師

シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。 絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。 持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。 しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。 これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。 同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。 16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。 そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。 カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。 死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。 エブリスタにも掲載しています。

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……