英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~トルク領域~

スオウ到着

 サンドワームを退治して、約2ゼティルム(※2時間)。砂漠が途切れ、遠くに王都であり、世界屈指の図書都市であるスオウが見える。

「あれがスオウだよ。ここからは歩いて向かう。アーデン兄さん達とはここでお別れだね」
「ああ、ラファールがいて助かった。これからも良い旅を」
「うん、有難う。機会があればまたね!」
「ああ、またな」

 僕達はアーデン兄さん達と別れ、遠目に見えるスオウを目指す。

「なぁラル、スオウまでどのくらい掛かるんだ?」
「僕達のペースなら、大体今日の夕方には着くと思うよ」

 ライトフォーマー出身の僕達三人だけなら夕方になる前に確実に着けるんだけど、兄さんがいるから多分無理。
 セスは旅自体初めてだけど、歩くのは割りと速い。
 普段僕が先頭に立って歩き、兄さん、セスとアーヤになる事が多いけど、アーヤもセスも、本来の速度より遅い。その理由は兄さんが遅いから。山育ちと都会育ちの差って感じかな?僕も必然的に遅くなるし。
 最初に出会って村に戻る時、何度置いてってやろうかと思った事か。その原因の半分はヘグルス(※重力)変換機器の故障と判明したけど、僕達村の出身者からすれば今でも充分遅い事に変わりはないからね。



 僕の予想通り、夕方にスオウへと着き、簡単な検問を終え、城下街へと入る。

「ラファールが世界屈指とか言うから、入るのにもっと時間が掛かると思ってたのに、何かあっさり入れたね」
「当然だよ。僕達指名手配されてる訳じゃないし、姿を変えてる訳でもない。その上僕はイファデラ大陸で公認された魔物キラーだし」
「姿を変える?」

 セスが首を傾げるのでそれに答える。

「世の中には姿変えの薬ってのがあってね、言葉通り自身が望んだ姿に変える事が出来るんだよ。人だろうと動物だろうとね。見ただけじゃ、その薬が使われているのか全然分からないんだけど、外壁をくぐってくる時、上から霧状の水滴が降ってたのに気付いた?」
「ああ、ちょっと冷たくて気持ち良かった」
「あれね、真実の泉と呼ばれる場所の水で、その水を飲んだり触れたりすると、本来の姿に戻るんだよ。真実の泉は各大陸に点在するんだけど、普通は山奥や森の中とかが多い中で、スオウは街中にあるんだ。まぁ、真実の泉がある場所に街を作ったかららしいけどね。だから、姿変えの薬を使ってても無効になっちゃうし、このスオウに入るにはこの外壁を潜らないといけないから、指名手配犯とかは迂闊に入れないんだよ」
「上空とかからは入れないのか?」

 うん、良い質問だ。上級風使いなら難なく入れる高さだからね。

「スオウの上空には、浸入不可の見えない結界が張ってあるんだ。例外は精霊のみかな?精霊達を浸入不可対象にすれば、空気が淀んだり、水が枯れたり、悪い事にしかならないからね」
「じゃあ、精霊に姿を変えたら中に入れるんじゃないの?」

 今度は兄さんが聞いてきた。けどそれは無理。

「姿変えの薬はあくまで姿を変えれるだけだから、精霊の姿になれても精霊の能力は使えない。それに精霊からすれば、人間が精霊の姿をした所で人間だって気付くよ。彼等は真実の瞳を持つから」

 まぁ、古代種精霊人の僕達も似たような目を持ってるけどね。

「それに精霊からすれば、姿変えの薬を使った所で仮装してるって程度の認識だから。姿変えの薬を使って精霊の振りするぐらいはどうって事ないけど、その姿で悪事を働こう物なら、喧嘩売ってると思われて確実に嫌われるから、するなら一人でやってね」
「やらないよそんな事!ってか、ラファールは僕をどんな目で見てるのさ?!」

 どんな目でって言われても、兄さんの場合だまされてやらされそうだし。

「姿変えの薬自体高価だし作り手少ないしで、入手し辛いけどね。兄さんの場合は騙されやすいから信用ならない」
「ちょっ、ラファール酷くない?!」
「事実でしょ?この前ガラクタを買わされそうになってたのは誰さ」
「いや、だってあれは!」
「たまたま僕が近くにいたけど、わざとぶつかられて売り物が割れた~って、典型的な詐欺でしかないから。弁償しようとした兄さんは騙されやすいとしか言えないよね?」
「いや、でも」
「僕がその割れた売り物とやらのピースを組み立ててこれのどこが売り物?って突っ込んだから買わされずに済んだけど、そもそも道をぼへ~っと歩いてるからそういう目に合うんだよ。皆が皆善人な訳ないんだから、もうちょっと警戒心を持ちなよ」
「ううぅ~……」

 子供にこんな事言わせる兄さんも兄さんだと思うけどね。普通大人が子供に言う事だよね?何で僕がこの兄さんの保護者みたいな事しなきゃなんないのさ。

「あー、頑張れ……」
「……」

 セスが僕を応援し、アーヤが兄さんに呆れた視線を送ってる。

「取り敢えず、宿屋に向かおうか」

 当たり障りのない言葉を僕が言えば、アーヤとセスは頷き、僕達は宿屋に向けて歩き出した。
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