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~トルク領域~
知識の宝庫は伊達じゃない
翌日、夜明け前の日課のトレーニングと砂漠の時に出来なかった分の少量をノルマとしてこなし、仮眠を取って皆が起き出す頃に再度起きる。
今日から暫く図書館に入り浸り、本を読み漁る気満々な僕達。兄さんは乗り気しないみたいだけど、昨日の僕の話でちょっとは危機感持ったみたい?その内また忘れそうだけどね。
「ここが……図書館?!図書館って言うより城だよね?ラファールってば王宮と間違えたの?」
誰が間違うか。あんたじゃあるまいし。
「ラルをお兄さんと一緒にしないで」
アーヤが冷ややかな視線を兄さんに向ける。
一緒に旅して気付いたけど、この兄さん方向音痴なんだよね。一人行動の時は人に聞きまくってるから、何とか宿屋に帰って来れてるけど、建物に入って出たら、もうどっちから来たのか分からなくなるらしい。
「正真正銘ここがスオウの図書館だよ。城はこの後ろ。ってか、道を挟んで図書館に半分囲まれてるんだよ」
図書館は増改築を繰り返されてるから徐々に大きくなっていってるんだって。年々書物が増え続けるからだけど、だからと言って本をこれ以上増やさないといった考えは全く出ないらしい。
本の分類も幅広く、他の大陸からの取り寄せもあり、他の図書館と比べると、関連書物を調べるだけでもとんでもない量の本が出てくるのだ。
「うわぁー……」
「……凄い量……」
「えっ……何これ、これ、全部本なの?!!」
「兄さん叫ぶな。周りに迷惑」
「うう……ごめん……」
皆が驚くのも無理はない。所々に机や椅子が置いてあるけど、壁全面は本で埋め尽くされているし、整然と並ぶ本棚も頭上高く積まれてある。
「でもこれ、探すの大変じゃないか?それに、探してる本が上の方にある場合、どうするんだ?」
「大丈夫だよ。先ず受付に行って、腕輪を借りるんだ。付いてきて」
僕が受付で、職員に声を掛ける。
「図書館利用します」
「初めてのご利用ですか?」
「いえ、何度かあります。連れは初めてですが、僕から詳しい説明をするので大丈夫です」
「分かりました。では、人数分の腕輪をどうぞ」
「有難う」
僕が職員から腕輪を受け取り、三人に配る。
「これを付けた状態で板状の石に触れ、探したいジャンルや作者、題名等を言って検索を掛けるんだよ。そしたら、この腕輪がどの場所にそれがあるかを教えてくれるんだ。見本を見せるから見てて。そうだな、“図鑑、魔物、中央、検索”」
僕の声に反応し、腕輪が光る。
「腕を差し出し、腕輪が一方方向にだけ点滅するから、点滅する方に歩くんだ。因みに貸し出されて一冊も該当する物がない場合や貸し出し不可の物は赤く点灯するよ。この場合や他のを検索したい場合は腕輪の板に触れて終了って言えばいいから」
僕が点滅する方に歩き、三人がその後を付いてくる。受付からそれ程遠くない場所で光りが点灯するから、そこで僕は足を止め上を見る。
「ここだね。ほら、あそこ。本が十数冊光ってるでしょ。あれが中央の魔物が載ってる図鑑だよ」
「凄いな。簡単に見付かった。でも、あれってどうやって取るんだ?この辺に梯子とか、全然見当たらないけど……」
僕がセスの疑問に答える。
「床を見て。30ヘーゼ(※30㎝)程の円が書かれてるでしょ。この中央に立ち、足で二回叩く」
円を中心に1メーゼ(※1m)四方が光る。
「アーヤ、この中に入って。セス、隣で同じ事して兄さんを1メーゼの中に入れて」
「あ、ああ。分かった」
セスが足で床を叩き、床が光るのを見届ける。
「動くから気を付けてね。“上昇”」
僕の言葉に床が反応し、ゆっくり宙に浮き上がり、セスも同じように声を出す。
光る本が手で取れる場所にまで上がり、また僕が声を出す。
「“停止”」
セスが同じように声を出して僕の横に止める。
僕が円から出て皆に話す。
「円の中心に立つ人の声に反応するから、二人とかで乗る時は気を付けてね。こうして円から出れば上昇、下降、停止、と言っても反応はしないから喋る時は円から出る方が安全だよ。ここで本を読む事も出来るけど、他の利用者もこの場所の本を取りたい場合があるから、なるべく他の場所で読むのがマナー。所々に机や椅子があるけど、個室や複数で使う部屋もあるから、受付で空きがあるか確認出来るよ。まぁ、部屋だとお金が掛かっちゃうけど、完全防音だから多少騒いでも大丈夫。それから、腕輪や本は図書館出る時に返さないとアラームがなるからね。三回までは見逃してくれるけど、4回目は窃盗犯として突き出されるし、出入り禁止にされるからね。他に質問はある?」
アーヤと兄さんは首を横に振り、セスが返答する。
「今はないな。疑問が出てきたらその都度聞いてもいいか?」
「それでいいよ。ああ、それと、図書館内での死傷は自己責任って事で。たまにいるんだよ、この床板から落ちる奴や、降りてくる床板の下にいて当たる奴が」
床板の下にいられても、上からは見えない。床板が上がってる場所の床は赤く光ってるから一目で分かる為、上空に注意しない奴が悪いという事だ。
「じゃあ、昼の鐘が鳴ったら本を返して受付に一度集合。受付の場合も検索掛ける時と同じやり方だから」
これなら兄さんみたいな方向音痴でも、光りに従えば受付までは戻れるからね。
今日から暫く図書館に入り浸り、本を読み漁る気満々な僕達。兄さんは乗り気しないみたいだけど、昨日の僕の話でちょっとは危機感持ったみたい?その内また忘れそうだけどね。
「ここが……図書館?!図書館って言うより城だよね?ラファールってば王宮と間違えたの?」
誰が間違うか。あんたじゃあるまいし。
「ラルをお兄さんと一緒にしないで」
アーヤが冷ややかな視線を兄さんに向ける。
一緒に旅して気付いたけど、この兄さん方向音痴なんだよね。一人行動の時は人に聞きまくってるから、何とか宿屋に帰って来れてるけど、建物に入って出たら、もうどっちから来たのか分からなくなるらしい。
「正真正銘ここがスオウの図書館だよ。城はこの後ろ。ってか、道を挟んで図書館に半分囲まれてるんだよ」
図書館は増改築を繰り返されてるから徐々に大きくなっていってるんだって。年々書物が増え続けるからだけど、だからと言って本をこれ以上増やさないといった考えは全く出ないらしい。
本の分類も幅広く、他の大陸からの取り寄せもあり、他の図書館と比べると、関連書物を調べるだけでもとんでもない量の本が出てくるのだ。
「うわぁー……」
「……凄い量……」
「えっ……何これ、これ、全部本なの?!!」
「兄さん叫ぶな。周りに迷惑」
「うう……ごめん……」
皆が驚くのも無理はない。所々に机や椅子が置いてあるけど、壁全面は本で埋め尽くされているし、整然と並ぶ本棚も頭上高く積まれてある。
「でもこれ、探すの大変じゃないか?それに、探してる本が上の方にある場合、どうするんだ?」
「大丈夫だよ。先ず受付に行って、腕輪を借りるんだ。付いてきて」
僕が受付で、職員に声を掛ける。
「図書館利用します」
「初めてのご利用ですか?」
「いえ、何度かあります。連れは初めてですが、僕から詳しい説明をするので大丈夫です」
「分かりました。では、人数分の腕輪をどうぞ」
「有難う」
僕が職員から腕輪を受け取り、三人に配る。
「これを付けた状態で板状の石に触れ、探したいジャンルや作者、題名等を言って検索を掛けるんだよ。そしたら、この腕輪がどの場所にそれがあるかを教えてくれるんだ。見本を見せるから見てて。そうだな、“図鑑、魔物、中央、検索”」
僕の声に反応し、腕輪が光る。
「腕を差し出し、腕輪が一方方向にだけ点滅するから、点滅する方に歩くんだ。因みに貸し出されて一冊も該当する物がない場合や貸し出し不可の物は赤く点灯するよ。この場合や他のを検索したい場合は腕輪の板に触れて終了って言えばいいから」
僕が点滅する方に歩き、三人がその後を付いてくる。受付からそれ程遠くない場所で光りが点灯するから、そこで僕は足を止め上を見る。
「ここだね。ほら、あそこ。本が十数冊光ってるでしょ。あれが中央の魔物が載ってる図鑑だよ」
「凄いな。簡単に見付かった。でも、あれってどうやって取るんだ?この辺に梯子とか、全然見当たらないけど……」
僕がセスの疑問に答える。
「床を見て。30ヘーゼ(※30㎝)程の円が書かれてるでしょ。この中央に立ち、足で二回叩く」
円を中心に1メーゼ(※1m)四方が光る。
「アーヤ、この中に入って。セス、隣で同じ事して兄さんを1メーゼの中に入れて」
「あ、ああ。分かった」
セスが足で床を叩き、床が光るのを見届ける。
「動くから気を付けてね。“上昇”」
僕の言葉に床が反応し、ゆっくり宙に浮き上がり、セスも同じように声を出す。
光る本が手で取れる場所にまで上がり、また僕が声を出す。
「“停止”」
セスが同じように声を出して僕の横に止める。
僕が円から出て皆に話す。
「円の中心に立つ人の声に反応するから、二人とかで乗る時は気を付けてね。こうして円から出れば上昇、下降、停止、と言っても反応はしないから喋る時は円から出る方が安全だよ。ここで本を読む事も出来るけど、他の利用者もこの場所の本を取りたい場合があるから、なるべく他の場所で読むのがマナー。所々に机や椅子があるけど、個室や複数で使う部屋もあるから、受付で空きがあるか確認出来るよ。まぁ、部屋だとお金が掛かっちゃうけど、完全防音だから多少騒いでも大丈夫。それから、腕輪や本は図書館出る時に返さないとアラームがなるからね。三回までは見逃してくれるけど、4回目は窃盗犯として突き出されるし、出入り禁止にされるからね。他に質問はある?」
アーヤと兄さんは首を横に振り、セスが返答する。
「今はないな。疑問が出てきたらその都度聞いてもいいか?」
「それでいいよ。ああ、それと、図書館内での死傷は自己責任って事で。たまにいるんだよ、この床板から落ちる奴や、降りてくる床板の下にいて当たる奴が」
床板の下にいられても、上からは見えない。床板が上がってる場所の床は赤く光ってるから一目で分かる為、上空に注意しない奴が悪いという事だ。
「じゃあ、昼の鐘が鳴ったら本を返して受付に一度集合。受付の場合も検索掛ける時と同じやり方だから」
これなら兄さんみたいな方向音痴でも、光りに従えば受付までは戻れるからね。
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