59 / 113
~トルク領域~
向かうフィルゼン領域の領主はアル兄です。
しおりを挟む
スオウで本を堪能し、そろそろ次に行こうとなって、一番喜んだのは本に飽き飽きしてた兄さんで、そんな兄さんを僕とアーヤは冷めた目で見る。
この兄さん、本当、運だけで生きてやしないか?これで僕達より5才上……。5才上っていえば、アル兄と同い年じゃん。ってか、これで5才も年上って、先が思いやられるんだけど……。
「取り敢えず明日から、北に進んでフィルゼン領域へと向かうからね」
フィルゼンは、アル兄が領主をしてる場所で、普段、聖騎士として本部にいる事も多いけど、領主としても有名だったりする。
僕がアル兄と初めて会ったのは5才の時で、ラファス兄がアル兄と初めて出会った1ティファルス(※1年後)に、ラファス兄が僕を連れてアル兄の本拠地、フィルゼン領域中央都市のデ・ティームを訪れ知り合ったんだ。
その時アル兄に手合わせ申し込んだら、アル兄は快諾してくれたんだけど、近くにいた騎士の二人が猛反対したから、その二人と手合わせして二人に勝てたらアル兄と手合わせしても良いよねって話に持っていき、二対一の勝負であっさり勝ってアル兄に手合わせしてもらえる事になったんだ。
二人の時は余裕で勝てるから審判無しでしたけど、アル兄の時はラファス兄が審判してくれたんだ。
二人の時は加減しまくってたけど、アル兄の時は全力でさせてもらった。だからアル兄も凄く吃驚してたし、いい線まで行ったんだよ。
ただし、あれは僕の腕前を知らないから油断をさせる事の出来た戦法で、一度しか通用しない手ではあるけどね。
ラファス兄が審判してくれたのだって、両方の腕前を把握出来てる分、相手に怪我をさせる寸前のギリギリで、タイミング良く止める事が出来る為だし、僕が負けてもいない段階で敗者にされるのを避ける為でもあったんだ。
その後に僕がラファス兄の妹だと知り、更に吃驚してたけど、何がどうしてそうなったのか、アル兄が僕相手に求婚してきたんだよね……。さすがに僕も吃驚しちゃったけど、あれは僕より周りの人達の衝撃が凄かったと思う。
ただ、そのお陰で僕は冷静にお断りの返事をしようとしたら、返事は今じゃなく、10ティファルか15ティファルスで良いからじっくり考えていて。それまでは兄さんと見なしても良いから、今直ぐ断るのは無しだよ。って先手打たれちゃったんだよね~。
まぁアル兄が本気だって事も、僕自身アル兄が嫌いって訳じゃない事もあるから、一応保留中なんだよね。
他の特部の兄さんも似たような事を言う人がいるけど、その兄さんは誰にでも似たような事を言いそうだから、僕の兄さんはラファス兄って解ってる?って突っ込むと、顔を青ざめさせてたけどね。
だって、ラファス兄が義兄だよ?自他共に認める兄バカだよ?
僕はラファス兄が大好きだからいいけど、他からするとラファス兄を義兄にしたいって考える人なんて、物好きとしか言い様がないからね。そして、その物好き筆頭がアル兄だから。
「フィルゼンか……。フィルゼンは僕の憧れる人がいるんだよね」
あー……、アル兄の事かな。中央大陸の人達はアル兄に憧れる人が多いからね。アル兄は普段温厚だし、人受けは凄く良い人だからね。
「ふぅ~ん」
僕は軽くスルーしようとしたのに、兄さんがわざわざ話を振ってきた。
「ラファールは知らないかな?アーヴェル=デフォルト様といって、フィルゼンの領主様なんだけど、全大陸一の腕前を子供の頃から持ってる有名人なんだよ!」
知ってるし。しかも全大陸一の腕前はラファス兄だからね、知られてないだけで。しかも、僕の場合は兄さんと違って仲の良い本当の知り合いだからね。そしてそれを知ってるアーヤが、可哀想な人を見る目で兄さんを見てるって事に兄さんはいつになったら気付くんだろうか。
「ラル、もしかして、図書館の本に載りまくってる、あのフィルゼンの領主と知り合い?」
セスがこそっと僕に聞いてくる。アーヤの視線にセスが気付いたようだ。
「ああ、うん。僕の兄さんの親友だからね。一応僕自身も仲良いよ」
「……言わないのか?それと、村で噂になってたけど、全大陸一の腕前ってお前の兄さんの方だよな?」
「うん。それも含めて言うと、確実に五月蝿い。紹介しろなんて言われたらウザいしね」
アル兄と知り合いだって知られるのは別にいいけど、親しいなんて知ったら、絶対しつこく聞いてくるだろうからね。多分僕の兄さんにも興味を示すだろうけど、ラファス兄は兄さんみたいなタイプを嫌うからね、出来れば近付けたくない。僕もこの兄さんみたいなタイプは嫌いだからたったと別れたいけど、このまま放置すると何か面倒臭い事が起きそうな気がするんだよね~。
精霊人の勘は人と違い、外れない。この兄さん一人が死ぬ程度の問題なら良いんだけど、そんな感じにはならない気がするんだよね。
ラファス兄だとこの兄さん殺して最小限ってしそうだから、さすがにそれは、ねぇ……。
この兄さん、本当、運だけで生きてやしないか?これで僕達より5才上……。5才上っていえば、アル兄と同い年じゃん。ってか、これで5才も年上って、先が思いやられるんだけど……。
「取り敢えず明日から、北に進んでフィルゼン領域へと向かうからね」
フィルゼンは、アル兄が領主をしてる場所で、普段、聖騎士として本部にいる事も多いけど、領主としても有名だったりする。
僕がアル兄と初めて会ったのは5才の時で、ラファス兄がアル兄と初めて出会った1ティファルス(※1年後)に、ラファス兄が僕を連れてアル兄の本拠地、フィルゼン領域中央都市のデ・ティームを訪れ知り合ったんだ。
その時アル兄に手合わせ申し込んだら、アル兄は快諾してくれたんだけど、近くにいた騎士の二人が猛反対したから、その二人と手合わせして二人に勝てたらアル兄と手合わせしても良いよねって話に持っていき、二対一の勝負であっさり勝ってアル兄に手合わせしてもらえる事になったんだ。
二人の時は余裕で勝てるから審判無しでしたけど、アル兄の時はラファス兄が審判してくれたんだ。
二人の時は加減しまくってたけど、アル兄の時は全力でさせてもらった。だからアル兄も凄く吃驚してたし、いい線まで行ったんだよ。
ただし、あれは僕の腕前を知らないから油断をさせる事の出来た戦法で、一度しか通用しない手ではあるけどね。
ラファス兄が審判してくれたのだって、両方の腕前を把握出来てる分、相手に怪我をさせる寸前のギリギリで、タイミング良く止める事が出来る為だし、僕が負けてもいない段階で敗者にされるのを避ける為でもあったんだ。
その後に僕がラファス兄の妹だと知り、更に吃驚してたけど、何がどうしてそうなったのか、アル兄が僕相手に求婚してきたんだよね……。さすがに僕も吃驚しちゃったけど、あれは僕より周りの人達の衝撃が凄かったと思う。
ただ、そのお陰で僕は冷静にお断りの返事をしようとしたら、返事は今じゃなく、10ティファルか15ティファルスで良いからじっくり考えていて。それまでは兄さんと見なしても良いから、今直ぐ断るのは無しだよ。って先手打たれちゃったんだよね~。
まぁアル兄が本気だって事も、僕自身アル兄が嫌いって訳じゃない事もあるから、一応保留中なんだよね。
他の特部の兄さんも似たような事を言う人がいるけど、その兄さんは誰にでも似たような事を言いそうだから、僕の兄さんはラファス兄って解ってる?って突っ込むと、顔を青ざめさせてたけどね。
だって、ラファス兄が義兄だよ?自他共に認める兄バカだよ?
僕はラファス兄が大好きだからいいけど、他からするとラファス兄を義兄にしたいって考える人なんて、物好きとしか言い様がないからね。そして、その物好き筆頭がアル兄だから。
「フィルゼンか……。フィルゼンは僕の憧れる人がいるんだよね」
あー……、アル兄の事かな。中央大陸の人達はアル兄に憧れる人が多いからね。アル兄は普段温厚だし、人受けは凄く良い人だからね。
「ふぅ~ん」
僕は軽くスルーしようとしたのに、兄さんがわざわざ話を振ってきた。
「ラファールは知らないかな?アーヴェル=デフォルト様といって、フィルゼンの領主様なんだけど、全大陸一の腕前を子供の頃から持ってる有名人なんだよ!」
知ってるし。しかも全大陸一の腕前はラファス兄だからね、知られてないだけで。しかも、僕の場合は兄さんと違って仲の良い本当の知り合いだからね。そしてそれを知ってるアーヤが、可哀想な人を見る目で兄さんを見てるって事に兄さんはいつになったら気付くんだろうか。
「ラル、もしかして、図書館の本に載りまくってる、あのフィルゼンの領主と知り合い?」
セスがこそっと僕に聞いてくる。アーヤの視線にセスが気付いたようだ。
「ああ、うん。僕の兄さんの親友だからね。一応僕自身も仲良いよ」
「……言わないのか?それと、村で噂になってたけど、全大陸一の腕前ってお前の兄さんの方だよな?」
「うん。それも含めて言うと、確実に五月蝿い。紹介しろなんて言われたらウザいしね」
アル兄と知り合いだって知られるのは別にいいけど、親しいなんて知ったら、絶対しつこく聞いてくるだろうからね。多分僕の兄さんにも興味を示すだろうけど、ラファス兄は兄さんみたいなタイプを嫌うからね、出来れば近付けたくない。僕もこの兄さんみたいなタイプは嫌いだからたったと別れたいけど、このまま放置すると何か面倒臭い事が起きそうな気がするんだよね~。
精霊人の勘は人と違い、外れない。この兄さん一人が死ぬ程度の問題なら良いんだけど、そんな感じにはならない気がするんだよね。
ラファス兄だとこの兄さん殺して最小限ってしそうだから、さすがにそれは、ねぇ……。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる