英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~フィルゼン領域~

アーヤ達との合流

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 様子見の為、僕はもう1ディフェル(※1日)だけ本部にとどまり安静を言い渡される。
 一応軽い休止状態に陥ったけど、アル兄やレノ兄達が力場となってくれた為、早々に休止状態を脱したんだけど、中央デ・トルト大陸は力場となる場所が殆どないからしっかり休めとの事。
 以前、休止状態まではいかなかったものの、他の団員に邪魔されて力場を確保出来ず、倒れ掛けた事があったからなぁ。
 ラファス兄は緊急性のある特部の仕事で、仕方なしに僕を預けたのに、何だこの状況はと怒り、その団員をアル兄とレノ兄のいる前で叱ってくれたんだ。僕はラファス兄が予定よりも早く、仕事を終えて帰って来てくれたから、ラファス兄を力場に休む事が出来たけど、予定通りの日数だったら倒れて大事になってた可能性が高かっただろうね。
 成長して大人になれば、力が安定するらしく、休止状態に陥る事自体少なくなるみたい。実際、昔は力場のない状態で3ディフェル過ごした段階でイライラしまくってたけど、今回はほぼ不眠不休で7ディフェルはさすがにキツかった。5ディフェル辺りでイライラがピークに達したからね。
 僕は一人なのに対し相手は複数。しかも向こうは足になる馬や鳥といった動物やリックルがいる。その為、人海戦術で来られたらどうしようもない。回復薬とかで多少はどうにかなるものの、乱用出来る物でもないからね。

「ラル、明日は私が合流する街の近くまで送って行きますね。本当なら姿を変えてでもちゃんと送りたかったのですが、暫くはウボールに始末書や書類整理をさせるので、次の機会にラルが紹介したいと言っていた同行者の紹介をして下さいね」
「うん。了解!」

 あの兄さんを紹介する気は更々ないけど、アーヤには是非とも会ってもらいたい。何せ僕の自慢の幼馴染みだからね♪



 翌日の朝、数人の騎士団員と共にアル兄が風の魔法で僕達を騒動の起きた街まで送ってくれた。
 僕はアル兄に抱えられた状態でだけど、他の団員の人達は問答無用でそのまま飛ばされたからか、顔色が悪い人達ばっかだ。
 まぁ、掴まる物もなくいきなり飛ばされて、ちょっと気の毒だけど、アル兄からすれば、僕を犯罪者に仕立て上げた事に対するちょっとした仕返しみたいなものかも知れない。
 僕だってアーヤがいきなり犯罪者扱いされてたら、その相手を恐怖のどん底に突き落としてやるぐらいの事は思うだろうし、ある程度は実行するだろうなと思うからね。

「アーヤ、セス、ただいま~。後、兄さんも。取り敢えず誤解は解けたよ。原因は僕の知り合いの兄さんで、誤解を招くような紛らわしい言い方してたみたい。聖騎士団からの正式な謝罪と再発防止を心掛けてくれるって事で纏まったから。一応やらかした兄さん達には、減俸やら説教やら、ちょっとした制裁加えられるそうだけど、まぁ自業自得って事で本人達も納得済みだから」

 僕がそう言って、側にいる騎士団員の兄さん達に目配せする。

「本部の指令とはいえ、犯罪者か否かの確認を怠り、本当に申し訳ありませんでした。今後このような事が無いようきちんと確認作業し、再発防止を心掛けて参ります」

 未だに顔色が悪い為、めちゃくちゃ反省しまくってるように見えるけど、僕が脅してるように見えなくもないから、ちょっと考えて発言して欲しいなぁ。馬鹿丁寧過ぎて周りからの注目が凄いんだけどね?

「いや、何事もなくて良かったんだけど……。ラル、君、何を仕出かしたのさ」

 団員達の態度に、僕を非難するような目線を向ける兄さん。
 へぇ~。兄さん、僕を疑ってんのかよ。僕が何かしたって。

「いえ、この子は何もしていません!寧ろ仕出かしたのは私達の方ですから!」
「僕はこの人達に何もしてないよ。ただ、この人達は本部の隊長、副隊長格の人達にこってりしぼられただけ。大体無実の相手を殺し掛けといて、勘違いでしたで済む話じゃないでしょ?」
「え……、殺し……掛けた?」

 兄さんが固まる。

「普通の人ならね。あの場合、僕が団員達を殺しても、正当防衛。死傷者が出ないよう気を付けてはいたけどね」
「本当に申し訳ない!」
「まぁ、今回は僕の知り合いの兄さんが元凶で、この人達は被害者と言ってもいいからね。でも、多分、次はないよ?僕、あの人達のお気に入りだから」

 僕はにっこりと釘をさしておく。実際、僕を本部から排除しようと企んだ団員がことごとく痛い目みてるらしい。
 前に僕をやっかみ、邪魔者扱いした人達が、僕に本部に来るなと言って来たので行かなかったら、ラファス兄も特部の兄さん達に『ラルを目障りだと言う連中がいるからラルが来ると言わない限り、ラルを本部に来させない。お前等にもラルとの接触を禁じる。但し、お前等はそいつ等をいさめるな。お前等が動けば余計にやっかむだけだ。それに俺は、ラルの価値が解らん阿呆が多くいる場所に、ラルを置いて仕事に向かう気はないからな』と言ったらしく、凄い騒動に発展したっぽい。
 結局、僕を容認してた特部以外の団員達が、僕を邪魔者扱いしてた人達を割り出し、取っ捕まえて特部に連行し、僕の来訪を嘆願したらしい。
 どうも僕が行かなかった間、特部の兄さん達の機嫌が悪化の一途を辿たどって大変な事になってたらしい。
 そんな訳で、本部では僕に対する注意事項があるそうだ。何だかなぁ……。
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