英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~フィルゼン領域~

自業自得というものです。

 つまり、この子達はこれを落として壊れたと思った訳か。ドラゴンが踏みつけても壊れないって言われてる程のドワーフ製品が、落としたぐらいで壊れる訳ないのになぁ。
 まぁ、知らなかったんだから仕方ないけど、物を粗雑に扱われるのは嫌なので、勿論僕は黙っとく。

「おっ、おじいさまは気にするなって言ってくれたけど、でも、でも……」

 この双子は地主……要はこの街の街長の子供達で、上の子は街長を補佐する人の子供。双子達の遊び相手で兄弟のように育ったそうだ。

「ねぇ、君達の両親やおじいちゃんは、君達がこうして出歩いてる事知ってるの?」

 泣いてる子を慰める、なんて僕はしない。僕の役目じゃないしね。

「……知ってる。僕がちゃんと面倒見るって言ってあるから」

 上の子が言うけど、最初に目が泳いでたから、全然信用出来ないよ?宿屋付近を子供達だけで行かせる街長がどこにいるのさ。後ろから護衛が隠れて付いてきてるなら未だしも、そういった気配はこの辺りで感じないからね。

「それは家の周辺の話じゃないの?僕が聞きたいのは、宿屋付近の事だけど。ああ、一応この辺りも入るかな?」
「そんな事、お前に関係ないだろ」
「まぁね。でも、目的はこれか、それとも君達の誘拐か。僕的には後者だと思うけど?」
「何言ってるんだ?」
「治安が良いからって犯罪者がいないとは限らないって事だよ。そうだよね?おじさん達!」

 僕が周りにも聞こえるような声を出す。と、少し離れた場所から十人近くの破落戸ごろつきっぽい男達が出てきた。

「?!」

 三人の子供達は驚き、僕と破落戸達を見比べる。
 そして上の子が、双子を庇い、僕からも距離を取ろうと後退る。……って、僕はあれの仲間じゃないよ。
 勿論いたのは知ってたけどね。
 ずっと二人でこの子達を付け回し、人気のないここで立ち話してる間に一人が仲間を呼びに行き、仲間が集まってくるのを待ってたなんて事はさ。
 宿屋の窓からこの子達を見てた時に気付いたし、仲間が集まってくるのを待ってたのはそっちの見張りだけじゃないからね。
 まぁ、宿で面白話が聞けたから、通報じゃなく、後を追って話し掛ける事にしたんだけど。
 破落戸達を見回し、取り敢えず真っ赤な偽者がいない事を確認する。
(たま~にいるんだよなぁ。ラファス兄の偽者が。いたら勿論容赦なく、二度と武器なんて持てないようにしてやるけどね。ラファス兄の名をかたる奴に優しさなんてやる気は一切いっさいない)

「悪いね、おじさん達。僕はこの子達を見捨てる気はないんだ。一応聞くけど、諦める気はないよね?」
「諦める?何をだ?小僧」

 ニヤニヤ嘲笑う破落戸達に僕は笑顔で返す。

「まぁ無理っぽいね。いいよ。相手してあげる。恨むんなら、自分達の運の無さを恨んでね?」

 僕の言葉にキョトンとする破落戸達。

「「「グハハハハッ!オレ達を相手にするってか?!」」」
「良い度胸だな、小僧!」
「運が無いのはお前だよ!」

 まぁ、恨んできたって痛くも怖くもないけどね。
 僕が背中に担いだ両手持ち剣を抜き、構える。
 やっと僕の本気に気付いたのか、警戒しながら破落戸達も武器を出し、僕に向かってくる。



 結果は当然僕の完全圧勝。勿論一人も逃さず時間も掛けず、殺しちゃないけど死屍累々って感じだね。
 その光景に、三人の子供達がガタガタ震えてびびってたけど、本来狙われてたのは君達だからね?って忠告してやったら、僕に『疑ってごめんなさい。有難うございました!!』って頭下げてきた。顔色は悪いままだけど、良しとしよう。
 破落戸達をこのまま放置する訳にもいかないけど、この場を離れるのもなぁ。と思ってたら、上空に風の精霊が通り掛かったので、声を掛けて聖騎士団の団員の人を呼んできて欲しいと頼んだ。風の精霊は気まぐれだけど、僕は精霊人だし、風の長の契約者でもあるアル兄とも仲が良いから、快く頼まれてくれた。
 風の精霊が僕の事を色々喋ったのか、団員の人達の僕に対する対応がすこぶる良かった。多分、ウル兄がやらかした事やアル兄と仲が良い事も話したんだと思う。冤罪対策として、風の精霊達にも協力してもらうって言ってたからね。
 破落戸達は、襲ってきたから返り討ちにした。とだけ言って置いた。嘘じゃないしね。
 団員のお兄さん達が、破落戸達を縛り上げて支部に連行して行ったのを見送りながら、子供達に話し掛ける。

「さてと、邪魔者はいなくなったし、交渉の再開としようか」
「はっ、はい」

 そんな怯えなくても、取って食う訳じゃないのになぁ。

「おまっ……あなたは何者なんですか?」
「普通に喋ってもいいよ。言ったよね、メカエンジニアだって」
「そっ、そんな訳ないだろ!あんな大勢の大人相手にメカも使わず剣でやっつけるなんて、どこがメカエンジニアなんだよ?!」
「僕は闘うメカエンジニアだからね。剣士でありメカエンジニアでもあるんだよ」
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