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~フィルゼン領域~
からくり屋敷復活!
僕は約束の日にからくり屋敷に向かい子供達と会い、一度書庫に入れてもらって関連資料を一通り確認する。
「……なぁ、何してんだ?」
「何って読んでるよ」
速読で読んでるんだけど、読んでる風には見えなかったようだ。
「そっ、その速さで?!」
そう言われてもなぁ。僕なんて、ラファス兄と比べたらまだ遅い方だし、ラファス兄程完璧に覚える訳でもないんだけどなぁ。
取り敢えず一通り目を通せたので元の位置に戻し、念のため確認する。
「それはそうと、誰にも言ってないよね?」
「「うん!」」
「大丈夫だけど、僕達だけで大人達を外に出すのは無理だよ」
「ちょっとの間でいいよ。その間に僕は見付からないように隠れるから。だけど、ここの部屋にはあまり人を寄せ付けないようにしてね。でないと修理出来なくなっちゃうから」
「分かった。お前は帰った事にして、ここには近付けないように協力する。……本当に、直せるんだな?」
「勿論。これを懐中時計を置いてる場所に置いといて。精巧に作った偽物だから」
僕が作った偽物を見て三人共物凄く驚いた。
「「スゴ~い!」」
「本物と変わらない……。重さまで同じだ……」
蓋を開け閉めして確認までされるけど、僕は精巧に作ったって言ったからには当然見える部分や重さは完璧同じに作ったさ。
懐中時計ってだけなら作れない事はないけど、中を見なきゃ同じ物を再現出来ないし、複製品を作りたい訳じゃないからね。見た目や重さは精巧でも、動かないから中には部品を入れてない。直した後は動く本物と交換すれば問題ないしね。
僕は子供達を追い出し隠し部屋を探り当て、記憶石を使ってドワーフ製品と入れ換える。
因みに記録石と記憶石の違いは、記録石は音を含めた映像を、記憶石は物の映像だけを、どちらも立体的に写し撮る事が出来る。但しどちらも立体化したものには触れないから、手を伸ばされると気付かれてしまうし、石の純度によりその精度が左右され、純度が低ければ立体感も低くなる。
懐中時計は触られる可能性が高いから記憶石ではなく偽物を作ったのだ。
(さて、それでは修理に取り掛かろうか♪)
その日の夕暮れ時、突如アルタの街に時報の鐘が鳴り響く。
それは美しい音楽を奏で、年老いた者達には懐かしい思い出を、この音色を知らない世代には感嘆の思いを、それぞれの胸に感動を呼び起こし、数日間、街はお祭り騒ぎとなった。
(あー。やらかしたのは僕だけど、ここまでお祭り騒ぎになるとは思ってなかったや……)
街はからくり屋敷復活記念と称し、どこの店も格安で販売提供してるのはいいんだけど、修理した奴は誰だと噂になってる。
まぁ、子供達に屋敷以外の人には口外するなと口止めしといたし、宿を捜すなとも言っといたから、剣を担いだ僕がからくり屋敷を修理したメカエンジニアだなんて、普通誰も思うまい。
早々立ち去る事も一応は考えたけど、兄さんが怪しむだろうしコソコソするのもなぁ。アーヤは勿論気付いたよ。ドワーフ製品って情報も流れてたからね。
因みに聖騎士団のレノ兄やアル兄には事後報告済みだ。なので、アルタの聖騎士団支部は特部の指令で街の治安維持と僕に対する情報秘匿を指示したみたい。
まぁ、悪い事した訳じゃないから街の人にバレてもいいけど、後々が面倒だからなぁ。
ドワーフの残したからくり屋敷の時報の鐘は、朝昼夕の三回が特に美しい曲を奏でる。
昔は朝の時報で仕事の開始、昼の時報で昼食、夕方の時報で仕事を終える目安にしてたそうだ。だから、時が経つと共に時報が聞けなくなり、時報を聞いてた世代の人達はとてもガッカリしてたらしい。
1ゼティルム(※1時間)毎に時報は鳴るけど、夜は音量を落とし、良い眠りを誘うような音色だった。
からくり屋敷の時報が復活した事により、多くの人達がからくり屋敷に押し寄せ、からくり屋敷その物が復活した事が知れ渡るようになり、街は思った以上に大騒ぎ。
殆どの人が街長に修理した人間の事を聞いたらしいけど、街長が『修理条件に口止めされた。言えばきっと、その者は二度と修理を受けてくれなくなるぞ』と言って、質問者の口を噤ませたそうだ。
因みにあの兄さんは、僕が修理したかもなんて疑問はこれっぽっちも持ち合わせてなく、『ドワーフ製品を修理した人間がいるんだって!凄いよね、どんな人だろうね』と僕に言ってきたから、僕は『ドワーフ製品を修理出来る人がいるなら会ってみたい』と答えて置いた。
……勿論嘘じゃないよ。僕は人間じゃないけど、僕以外でドワーフ製品を直せる人がいるなら会ってみたいしね。
まぁ会える可能性は0に近いけど。
アルタも満喫したし、そろそろデ・マームに向けて出発するとしよう。
僕は皆に声を掛け、次の日にデ・フォン領域へと入った。
「……なぁ、何してんだ?」
「何って読んでるよ」
速読で読んでるんだけど、読んでる風には見えなかったようだ。
「そっ、その速さで?!」
そう言われてもなぁ。僕なんて、ラファス兄と比べたらまだ遅い方だし、ラファス兄程完璧に覚える訳でもないんだけどなぁ。
取り敢えず一通り目を通せたので元の位置に戻し、念のため確認する。
「それはそうと、誰にも言ってないよね?」
「「うん!」」
「大丈夫だけど、僕達だけで大人達を外に出すのは無理だよ」
「ちょっとの間でいいよ。その間に僕は見付からないように隠れるから。だけど、ここの部屋にはあまり人を寄せ付けないようにしてね。でないと修理出来なくなっちゃうから」
「分かった。お前は帰った事にして、ここには近付けないように協力する。……本当に、直せるんだな?」
「勿論。これを懐中時計を置いてる場所に置いといて。精巧に作った偽物だから」
僕が作った偽物を見て三人共物凄く驚いた。
「「スゴ~い!」」
「本物と変わらない……。重さまで同じだ……」
蓋を開け閉めして確認までされるけど、僕は精巧に作ったって言ったからには当然見える部分や重さは完璧同じに作ったさ。
懐中時計ってだけなら作れない事はないけど、中を見なきゃ同じ物を再現出来ないし、複製品を作りたい訳じゃないからね。見た目や重さは精巧でも、動かないから中には部品を入れてない。直した後は動く本物と交換すれば問題ないしね。
僕は子供達を追い出し隠し部屋を探り当て、記憶石を使ってドワーフ製品と入れ換える。
因みに記録石と記憶石の違いは、記録石は音を含めた映像を、記憶石は物の映像だけを、どちらも立体的に写し撮る事が出来る。但しどちらも立体化したものには触れないから、手を伸ばされると気付かれてしまうし、石の純度によりその精度が左右され、純度が低ければ立体感も低くなる。
懐中時計は触られる可能性が高いから記憶石ではなく偽物を作ったのだ。
(さて、それでは修理に取り掛かろうか♪)
その日の夕暮れ時、突如アルタの街に時報の鐘が鳴り響く。
それは美しい音楽を奏で、年老いた者達には懐かしい思い出を、この音色を知らない世代には感嘆の思いを、それぞれの胸に感動を呼び起こし、数日間、街はお祭り騒ぎとなった。
(あー。やらかしたのは僕だけど、ここまでお祭り騒ぎになるとは思ってなかったや……)
街はからくり屋敷復活記念と称し、どこの店も格安で販売提供してるのはいいんだけど、修理した奴は誰だと噂になってる。
まぁ、子供達に屋敷以外の人には口外するなと口止めしといたし、宿を捜すなとも言っといたから、剣を担いだ僕がからくり屋敷を修理したメカエンジニアだなんて、普通誰も思うまい。
早々立ち去る事も一応は考えたけど、兄さんが怪しむだろうしコソコソするのもなぁ。アーヤは勿論気付いたよ。ドワーフ製品って情報も流れてたからね。
因みに聖騎士団のレノ兄やアル兄には事後報告済みだ。なので、アルタの聖騎士団支部は特部の指令で街の治安維持と僕に対する情報秘匿を指示したみたい。
まぁ、悪い事した訳じゃないから街の人にバレてもいいけど、後々が面倒だからなぁ。
ドワーフの残したからくり屋敷の時報の鐘は、朝昼夕の三回が特に美しい曲を奏でる。
昔は朝の時報で仕事の開始、昼の時報で昼食、夕方の時報で仕事を終える目安にしてたそうだ。だから、時が経つと共に時報が聞けなくなり、時報を聞いてた世代の人達はとてもガッカリしてたらしい。
1ゼティルム(※1時間)毎に時報は鳴るけど、夜は音量を落とし、良い眠りを誘うような音色だった。
からくり屋敷の時報が復活した事により、多くの人達がからくり屋敷に押し寄せ、からくり屋敷その物が復活した事が知れ渡るようになり、街は思った以上に大騒ぎ。
殆どの人が街長に修理した人間の事を聞いたらしいけど、街長が『修理条件に口止めされた。言えばきっと、その者は二度と修理を受けてくれなくなるぞ』と言って、質問者の口を噤ませたそうだ。
因みにあの兄さんは、僕が修理したかもなんて疑問はこれっぽっちも持ち合わせてなく、『ドワーフ製品を修理した人間がいるんだって!凄いよね、どんな人だろうね』と僕に言ってきたから、僕は『ドワーフ製品を修理出来る人がいるなら会ってみたい』と答えて置いた。
……勿論嘘じゃないよ。僕は人間じゃないけど、僕以外でドワーフ製品を直せる人がいるなら会ってみたいしね。
まぁ会える可能性は0に近いけど。
アルタも満喫したし、そろそろデ・マームに向けて出発するとしよう。
僕は皆に声を掛け、次の日にデ・フォン領域へと入った。
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