英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~デ・フォン領域~

会わせたい連れと会わせたくない兄さん達

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 何度も送り迎えに関して、話題にしたくはないけど、ちゃんと理解し解ってもらわなきゃ。僕が心底兄さん達とあれを会わせたくないって事を。

「送り迎えの事だけど……さっき話した兄さん、僕の知り合いは普通の聖騎士団員だって思ってるっぽいし、僕の大好きな兄さん達を、あんな常識外れの兄さんに紹介し会わせたくないんだよね。正直ウザいし」
 
 僕の嫌々ながらの言葉に、兄さん達が僕を見て、トゥー兄が首を傾げながら僕に聞く。

「それだけ嫌ってるのによく同行を許したね?」
「まぁ、一応僕等を本気で心配してくれてたからね。僕だけならとっくに切り捨ててたよ。だって本来、死のうが何しようが自業自得だし。連れの子が心配するし、巻き込まれそうだから仕方なくって感じかな」

 僕なら多少巻き込まれようが何されようがどうって事ないけど、アーヤとセスはそうはいかない。特にセス。
 アーヤは僕の作ったメカがあるし、実は護身として棒術が使える。勿論対人用として、ラファス兄が基礎を教えたんだ。当然僕も教えてもらってるけどね。
 元々アーヤは僕と旅をする予定だったから、道中は問題ないけど、街中で単独行動の時に、ある程度身を守るすべを持ってないと、何かに巻き込まれた時大変だからね。
 イファデラ大陸の場合、余所者は少ないし、殆どが東出身者か熟練の旅人だから、人拐いとかの金儲けは考えない。そんな事して金稼ぎするよりも、魔物を倒した方がドロップアイテムで金儲け出来るし、犯罪者として街を追い出されたら死亡率が半端ない。なので、東の犯罪率は極端に低いけど、他の大陸、特に中央デ・トルト大陸やヘグルス(※重力)の低い大陸は人の犯罪率が高かったりするんだ。
 東出身者は一般人でもヘグルスの関係上強い人が多いけど、見た目では東出身者だと分からないし、犯罪に巻き込まれるのは女性や子供が特に多いから、酔っ払いや破落戸ごろつき程度は倒せる方が危機回避出来るだろうとラファス兄がちょっとした護身術を指導してくれてたんだ。
 なので僕は、暗器としても使える伸縮する棒をアーヤにプレゼントしたさ♪
 僕は剣があるし暗器としては使わないから、伸縮する棒は収納ボックスに入れてるけど、アーヤはちゃんと隠し持ってる。暗器として使うのに、身に付けないなんて暗器にならないからね。
 アーヤの棒術の腕前は、一般評価で中の下から中の中って所かな?あの常識外れな兄さんよりかは下になるけど、護身としてなら充分な腕前だ。
 セスは村を出た事もなければ旅立つ予定もなかったから、武器を持った事自体がない。性格的にも人を傷付ける行為は無理っぽいからそこは期待してない。名前からして攻撃性から離れてるしね。

「他の二人は機会さえあれば紹介したいんだけど、いいかなぁ?」
「勿論」
「ああ、会うのが楽しみだ」
「アル兄とレノ兄は今回無理っぽいねぇ。ウル兄を制裁中だし、デ・マームだと騒ぎになる可能性が高いから」

 アル兄とレノ兄は知名度が高い有名人だからね。アル兄は全大陸一の腕を持つ者として、レノ兄は各大陸の国王をも裁く事が出来る神殿最神官として。

「そうだな。本部ここに連れて来ても構わない、と言いたい所だが、一般人は立ち入りを制限しているからな。ラルの連れに嫌な思いをさせたくはないし、暫くは中央にいるとしても、各大陸を廻る予定だろう?なら俺は、クヴェア大陸に来た時に会う事にしよう」
「ウボールが余計な事をしたばかりに……。やはりウボールにはもう少しきちんと反省させなくてはいけませんね。書類仕事も中々進んでいないようですし、身体を動かした方が良さそうですね」

 アル兄は姿変えの魔法とかが使えるから、隠密行動もお手の物なのに、ウル兄の見張りや逃がさない為の結界を使用してるから、本部から出られないっぽい。相手がウル兄でなければ同等の魔法を使用し放置しても全く問題はないが、ウル兄相手だとそうはいかないらしい。あんなんでも一応特部の聖騎士だからね。
 ただ、いつもアル兄に負担が掛かるから、アル兄はもっとウル兄に八つ当たりしても良いと思うよ。ウル兄の場合は自業自得なんだし。

「……程々にな」

 レノ兄も反論はしない。
 ウル兄ざまぁ♪日頃のおこないが悪いからそうなるんだよ。ウル兄は嫌いじゃないけど、僕を当然のように巻き込もうとするからね。
 そして、ウル兄もあの二人にはあんま会わせたくない。ある意味あの兄さんと同類だからね。
 さて、そろそろ図書棟に行こうかな。

「とりあえず僕、スーヴェンさん所行くね。あっ、もしかしたらお手伝いもしてくるかもだから、時間掛かっちゃうかもだけど、終わったらまたここに顔出しに来るね」

 この部屋は、深夜の時間帯以外は大概特部の誰かがいる。近くには個人用の部屋も個々にあるけど、個人部屋は主にプライバシーな空間で、執務用と寝室用の二部屋。
 ラファス兄は執務用の部屋は殆ど使わないけど、アル兄達はそれぞれ領主やら王族やらの仕事もあるからそっちの仕事をする為の部屋だ。
 勿論アル兄とレノ兄は隊長、副隊長の部屋が別であるけど、この部屋は大体、誰がどこにいるかも判るようにしてるから、先に来る方が手間を省けるんだよね。
 僕は団員じゃないから、僕にその要素はいらないんだけど、何でか僕のまで作られてるんだよね~。そんな事するから本部での僕の扱いに、注意事項なんかが出来るんだよ。
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