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祖父の願い
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「私の夢は、亡国の第三王子、ナクラル様の子孫に会う事です!」
サウス=エルクと名乗った南西大陸出身の男は、ラファスの前でそう言った。それが目の前にいる、ラファスに当たるとも知らずに。
ラルが生まれる数年前まで、ラファスの祖父母は生きていた。ラファスは祖母似で、はちゃめちゃでスパルタな父よりも、祖父であるナクラルから、物凄く可愛がられていた記憶がある。曰く、ラルスさんそっくりで可愛い、と。
父は母を溺愛し、母にベッタリなので、村にいる時で訓練とか以外だと、祖父母の側にいる事が多い。何せ父は、ラファスとは正反対と言っても良い程の性格で、そんな父をラファスは苦手としているからだ。基本、剣や武器の扱い方は父のラルファクスから習ったが、その腕前は、簡単に覆す事等到底出来ず、父を亡くした今でも変わらない。
祖父母は五百年程共に生き、寿命で共に息を引き取った。
古代種の精霊人、特に魔力の高い高位精霊を祖先に持つ精霊人の場合は、通常、寿命を伴侶と共に迎える。極稀に、病や事故で伴侶を亡くす事の方が珍しく、その場合は伴侶と共に死ぬか一人で生き残るかの選択をする事になるが、ラファスも小さい上に、ラルを腹に宿していた母は、迷わず生きる事を望んだ。
親子共に、愛称がラファスになるので、父がラファス、ラファスはラスと呼ばれていた為、父を知る知り合い達の大半は未だにラファスをラスと呼ぶ者が多い。
さすがに祖父母はその頃になると村に留まっていた為、祖父母の事を知る者は殆どいないが、南西大陸出身者は、南西に伝わるとある出来事で祖父を知る者が多い。
ナクラルが国を捨てて東大陸に来た後、ナクラルの兄達が王位を争い国を滅ぼしたような物だが、国が滅びたもう一つの理由は、水の愛し子であるナクラルを、そうとは知らずに精霊人と言う理由のみで虐げていたからだ。その為ナクラルが国を出た後に、精霊達が国を呪い、雨が降らず緑は枯れ、水も干上がり大飢饉に陥った。
まぁ、それも祖母であるラファルクスがナクラルに国の現状を教え、どうしたいのかをナクラルに聞き、あの国を愛していた父の為に呪いを解きたいと言うナクラルと共に、南西大陸へと赴き呪いを解いたのだが、人々はナクラルを虐げていた事も忘れ、愛する国を苦渋の末に捨ててまで駆け落ちしたナクラルが、国が滅亡し荒れ果てた大地を見て悲しみ、心を砕き癒したとし、美談めいた話にしていたのだ。
「ナルが、愛する国を苦渋の末に捨ててまで駆け落ち……」
「ラス君?どうしたんですか?いきなり」
「南西でそういわれてた……」
顔をしかめるラファスに、ナクラルは穏やかな顔で答える。
「国を愛した気はありません。私は私を愛してくれた父を愛していただけです。そして、その父が愛した風景を、眠る場所を荒れたままにしたくなかった。ただそれだけです」
「ナルは今、幸せ?」
「ええ、勿論。愛するラルスさんがこうして傍にいてくれますから。それに、息子も孫も。ラルスさんに会う前は、いつか殺されて死ぬんだろうなと思ってましたからね。王位なんて欠片も興味なかったのに、いい迷惑でしたよ」
「心残りは無い?」
「……少しだけ。私では出来ない事ですが、あの地で眠る父が目覚めた時に、私は幸せだったと知って貰いたい。その為に、私に似た子が父をあの眠りから目覚めさせ、最終的にこの村でゆっくり余生を過ごせるよう、連れて来て貰いたいですね。南西に、亡国の王はいらない。だから、私の面影を少しでも残した子孫が、父を連れ出してくれたらとても嬉しいですね」
南西の者達は知らないが、ナクラルの父は今でも南西の誰も入る事の出来ない水の聖域で、一人密かに眠っている。
その彼を目覚めさせるのは、ナクラルとおなじ水の愛し子であるラルが一番相応しいと、ラファスはずっと思っている。
サウス=エルクと名乗った南西大陸出身の男は、ラファスの前でそう言った。それが目の前にいる、ラファスに当たるとも知らずに。
ラルが生まれる数年前まで、ラファスの祖父母は生きていた。ラファスは祖母似で、はちゃめちゃでスパルタな父よりも、祖父であるナクラルから、物凄く可愛がられていた記憶がある。曰く、ラルスさんそっくりで可愛い、と。
父は母を溺愛し、母にベッタリなので、村にいる時で訓練とか以外だと、祖父母の側にいる事が多い。何せ父は、ラファスとは正反対と言っても良い程の性格で、そんな父をラファスは苦手としているからだ。基本、剣や武器の扱い方は父のラルファクスから習ったが、その腕前は、簡単に覆す事等到底出来ず、父を亡くした今でも変わらない。
祖父母は五百年程共に生き、寿命で共に息を引き取った。
古代種の精霊人、特に魔力の高い高位精霊を祖先に持つ精霊人の場合は、通常、寿命を伴侶と共に迎える。極稀に、病や事故で伴侶を亡くす事の方が珍しく、その場合は伴侶と共に死ぬか一人で生き残るかの選択をする事になるが、ラファスも小さい上に、ラルを腹に宿していた母は、迷わず生きる事を望んだ。
親子共に、愛称がラファスになるので、父がラファス、ラファスはラスと呼ばれていた為、父を知る知り合い達の大半は未だにラファスをラスと呼ぶ者が多い。
さすがに祖父母はその頃になると村に留まっていた為、祖父母の事を知る者は殆どいないが、南西大陸出身者は、南西に伝わるとある出来事で祖父を知る者が多い。
ナクラルが国を捨てて東大陸に来た後、ナクラルの兄達が王位を争い国を滅ぼしたような物だが、国が滅びたもう一つの理由は、水の愛し子であるナクラルを、そうとは知らずに精霊人と言う理由のみで虐げていたからだ。その為ナクラルが国を出た後に、精霊達が国を呪い、雨が降らず緑は枯れ、水も干上がり大飢饉に陥った。
まぁ、それも祖母であるラファルクスがナクラルに国の現状を教え、どうしたいのかをナクラルに聞き、あの国を愛していた父の為に呪いを解きたいと言うナクラルと共に、南西大陸へと赴き呪いを解いたのだが、人々はナクラルを虐げていた事も忘れ、愛する国を苦渋の末に捨ててまで駆け落ちしたナクラルが、国が滅亡し荒れ果てた大地を見て悲しみ、心を砕き癒したとし、美談めいた話にしていたのだ。
「ナルが、愛する国を苦渋の末に捨ててまで駆け落ち……」
「ラス君?どうしたんですか?いきなり」
「南西でそういわれてた……」
顔をしかめるラファスに、ナクラルは穏やかな顔で答える。
「国を愛した気はありません。私は私を愛してくれた父を愛していただけです。そして、その父が愛した風景を、眠る場所を荒れたままにしたくなかった。ただそれだけです」
「ナルは今、幸せ?」
「ええ、勿論。愛するラルスさんがこうして傍にいてくれますから。それに、息子も孫も。ラルスさんに会う前は、いつか殺されて死ぬんだろうなと思ってましたからね。王位なんて欠片も興味なかったのに、いい迷惑でしたよ」
「心残りは無い?」
「……少しだけ。私では出来ない事ですが、あの地で眠る父が目覚めた時に、私は幸せだったと知って貰いたい。その為に、私に似た子が父をあの眠りから目覚めさせ、最終的にこの村でゆっくり余生を過ごせるよう、連れて来て貰いたいですね。南西に、亡国の王はいらない。だから、私の面影を少しでも残した子孫が、父を連れ出してくれたらとても嬉しいですね」
南西の者達は知らないが、ナクラルの父は今でも南西の誰も入る事の出来ない水の聖域で、一人密かに眠っている。
その彼を目覚めさせるのは、ナクラルとおなじ水の愛し子であるラルが一番相応しいと、ラファスはずっと思っている。
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