奇跡の確率

カザハナ

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 クリスが僕を下へと降ろすのを見届けてから、ルー兄がカーネルへと向き直る。


「そういえば、魔物だ子供〈ガキ〉だと、随分酷い言い様でしたね」


 腕を組みいつもの笑顔で淡々と声を出すルー兄。


「コーディーが魔物なら、コーディーの親戚〈おじ〉である僕も魔物かな?それでいくとケイド様なんて、魔物に気付くどころかその魔物を信用したことになるけど?」

「もしそうなら、俺はとんだ大間抜けだな。それとも、俺は見くびられているのか?魔物、もしくはお前達に」


 ケイド様は僕の横で不快感を顕〈あらわ〉にする。

 こっ……怖い……。この二人に責められるのは嫌すぎる。

 近くにいる僕ですら殺気に近い気配を肌で感じるし、向けられた者はたまったものではないだろうなぁ。まあ、自業自得だろうけれど……。


「仮にコーディーがもし本当に魔物を連れて来たとしても、僕は一向に気にしないよ?彼女に害をなさねば、ね」


 そう言い切るルー兄の瞳は笑ってない。


「まぁコーディーが人に害をなすものを連れ歩くこと自体、ないとは思いますけどね?」


 まるで僕に害をなすなら魔物だろうと人間だろうと、何であれ容赦はしないと聞こえてくるようだ。

 頼もしい……ってか怖いよルー兄……。

「ケイド様、そろそろ戻った方がいいですよ。配達人だけでなく、配達依頼の一般人がこの騒ぎに何事かと集まり出して来ていますから。ここは僕に任せて下さい」


 ルー兄にそう言われて、渋々、嫌々納得するケイド様。


「……解った。俺の分までしっかり言い聞かせとけ」


 言うだけ言って、ケイド様の姿が突然消える。

 それを確認し、大きな溜め息を吐くルー兄。


「間抜けにも程があるというか……大バカ者ですね、君は……」


 カーネルを一瞥したかと思うと、クリスへと話し掛けるルー兄。


「ここでの立ち話は目立ちます。部屋を用意しますのでそちらに。それとその翼、体内に仕舞えるんですよね?出来れば仕舞って頂けますか?」


 え?この大きな翼、仕舞えるの?


「分かった。私の目的は済んだ。これ以上じろじろ見られるのは不快だ」


 その翼が大きく羽ばたくと、みるみる内に小さくなり消える。

 凄い……。本当に消えた。……でも、ちょっともったいないかな?すっごく綺麗な翼だったし……。


「コーディー?どうかしたのか?」

「あっ、ううん。何でもないない」


 クリスの問いに慌てて僕が答える。

 クリスが見られるのを不快に思うなら仕方ないよね。


「恐らく、コーディーは君の翼が仕舞われるのを惜しいと思ったんだよ」


 さすがルー兄。バレてるし……。


「惜しい?」

「隠しちゃうなんてもったいないなぁって……。あの、すっごく綺麗な翼だし……。あっ、でもでも、無理に見せろなんて言わないから安心してね?」


 慌てて弁解していると、クリスが呆れたような顔をする。


「お前は私にとって、特別な存在・・・・・だと理解できていないのか?」

「えっと、でも、他人が嫌がることはしちゃダメだよね、それが好きな人なら尚更でしょ?」

「……」


 あれ?クリスが考え込んじゃった?何で?


「コーディー、僕のことは?」


 ルー兄が笑顔で聞いてくるが、その答えは決まってる。


「もちろん大好き!」
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