奇跡の確率

カザハナ

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「ルーは加護を欲しがらないんだ?」


 アンバーの問いにルー兄が頷く。


「僕は翼人の加護なんていりませんよ。そもそも、クリス君……ああ、コーディーに惚れた翼人ですが、そのクリス君が言うには、相手の居場所が分かるのと、クリス君の風の魔力で多少は守られるって事ぐらいらしいですよ?仮に伝承通りだとしても、欲しいとは思いませんね。僕は翼人の加護よりもコーディーの方が大切ですから」

「まぁ、ルーならそうだよね。翼人って精霊族じゃないのに何であんな幸運とか望みの物がとか言われてるんだろ?それでいったら地霊族の愛し子に当たる森人〈エルフ〉だっけ?が何も言われてないのっておかしくない?」

「そもそも森人って本当にいるのか?これまでの配達人達でも今まで一度も目撃されて無いんだろ?滅んだ種族じゃないのか?」


 いる……にはいるらしいけど、僕も会ったことないからなぁ。

 僕がルー兄の方を見る。もしかしたらルー兄は見たことあるかも?


「滅んではいないそうですが、僕も見た事無いですね。彼等は姿を隠すのが上手いし、地霊族の方々とすらあまり接触しないそうですから」

「愛し子なのにか?」

「愛し子だからこそみたいですよ?地霊族の方々は森人が一ヶ所に縛られる事を望みませんし、森人も今以上の加護を望まない為、森を転々としているそうです」


 実は、僕のお母さんは森人と出会ってる。というか、一時一緒に森で暮らしていたそうだ。

 僕のお母さんが子供の頃にお母さんの両親が魔力持ちと知り、お母さんを殺そうとしていることに気付いたお母さんは家を出て、森人に出会ったそうだ。

 勿論偶然ではなく、お母さんが魔力を使い捜し当てたらしいけど。

 人間の魔力持ちは四大属性ではなく、三つの魔力に分類できる、そのどれか一つを持っている。その属性は、時の魔力。過去、現在、未来、そのどれか一つに当てはまり、過去の魔力持ちは触れた物や人の過去見を、現在の魔力持ちは触れたことのある場所や人の現在の場所や見たい人を、未来の魔力持ちは触れた物や人の未来見を見ることができる。

 魔力が強ければ強い程、過去なら過去を遡〈さかのぼ〉り、現在なら遠距離を、未来なら未来を先に見ることができる。

 僕のお母さんは過去の魔力持ちでとても強く、触れただけで人や物の産み落とされた時間から触れた瞬間までの時間を一瞬で遡り、どういった生を送ってきたのかを見せ付けられると言っていた。

 だから、お母さんの両親がお母さんを殺そうと話し合っていたのを知り、殺される前に逃げ出すことができたのだ。

 その後は、人に見付からないよう森をさ迷い、木に触れ過去を見、たまたま近くを数年前に通り過ぎた森人の存在を知り、辿〈たど〉り、出会ったそうだ。

 森人は一度拠点にした場所は、数十年から数百年程いることが多く、辿り付ける可能性が高いと考えてのことらしい。

 ただ、最初は物凄く警戒されたらしいけど、事情を話せば成人まで匿〈かくま〉ってくれると約束してくれたそうだ。そして彼等はお母さんが成人するまで、魔力の制御や護身術、森人の生活の知恵等々色々教えてくれたんだそうだ。

 だから、僕はお母さんから森人のことは聞いてるけど、お母さんに人には誰にも言っては駄目よと言われてるから、ここで話すわけにはいかないのだ。
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