3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第二章 養成所

モンスターの定義

「いや、本人が嬉しそうに触れ回ってるぞ。
何しろ、お前は有名人だからな」

「まあ、いいか。それでレモンちゃん……先生」

「はあ、いいですよレモンちゃんで」

「魔物使いって、どういう特性があるんですか？装備とかどうしたらいいかなって」

「装備ですか。普通の探査系と同じくらいでしょうかね」

「鞭とか手袋、鎖とかは要らないんですか？」

「そこは個人差とか、個体差がありますね」

「使役するモンスターによってと考えていいですか？」

「そういう事です」

キーンコンカンコーン

「ちょうど午後の授業ですね。
じゃあ、モンスターの基本からいきましょうか。
モンスターにも種類があります。
大きく分けて３種類になりますが、迷宮から発生するものと、何らかの原因で体内に魔法回路を持った動物類。
それから、その中でも知性を持ったものがおり、人間と意思の疎通が可能な者たちを精霊と呼んできました」

「先生、意思の疎通が可能で、かつ人間と敵対しているモンスターがいますよね。それも精霊なんですか？」

「おっ、ハカセ君じゃなかった、タガ君、いい質問ですね。
約1０００年前、旧世紀から新世紀への移行時期なんですが、人間と敵対するモンスターの一族がいました」

「セイレーンですね」

「そうです。
それを、一部の人間と勇気あるモンスターが協力して討伐します。
その後、モンスター達はMRS・ミスティーという国を立ち上げ、そこの住人を精霊と呼びました。
有名なところでは、サキ＆ヨーコ財団のサキ様ですね。
サキ様はＭＲＳの初代代表を務め、優れたカウンセラーとしても活躍しつつ、親友のヨーコ様と一緒に子供を保護する財団を設立しました。
ちなみに、私のマトリクスもサキ様なんですよ」

「えっ、サキさんって、そんな子供みたいな姿だったんですか？」

「スガイ君、後で面談しましょうね。
その後も、人間に敵対するモンスターは現れましたが、教会や財団・精霊の協力で対処してきました。
このような、人間に敵対するモンスターを、悪しき精霊とか魔物と呼ぶこともあります。
まとめてみましょう。
Ａ，迷宮発生型モンスター
Ｂ，動物型モンスター
Ｃ，精霊
Ｄ，悪しき精霊・魔物
先ほど３種類といいましたが、今はこの４種類と認識したほうがいいですね」

「先生、発生形態でいくと、Ｂはさらに分かれますよね」

「はい。さすがハカセ君ですね。
魔法回路があればモンスターと言えるなら、動物に魔法回路を作ってしまえばモンスターになるんじゃないか。
ちょっと頭のいい人なら気が付きますよね」

「ないです」「ありえません」「バカじゃないですか」

「はい、みなさんは否定しましたね。
ヒメちゃんはどうですか？」

「その……わたしは、そのために、ここにきましたから」

「はい。ハカセ君は知っていますよね」

「もちろん」

「ノアちゃんも知っています。
タケル君はどうですか？」

「……可能なのか分からないけど……」

「はい」