3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第四章

伝説の不死鳥

次の瞬間、姫は慌てて服を抱えて部屋を出ていった。
いや、外には人がいっぱい……
ギャーと叫んで、戻ってくる。
そのまま部屋の隅に行くと、ライムとコライムがついたてになった。

「モア、嬉しそうだね」

「そりゃあ、直接言葉を交わしたのは１０００年ぶりかな。
世界中のモンスター……今の精霊をまとめ上げた、私の姉さん。
マーメイドクイーンのニケよ」

「ニケって、今のテイマーの仕組みを作った人？」

「そうよ。分裂したライムを数秒でテイムしてリンクまで持っていったでしょ」

「あれって、やっぱりテイムだったんだ」

「数百年ぶりだっていうのに、アユタカとのラインを一瞬でつなげて、呼び出すなんてできると思う？」

「アユタカって？」

「精霊よ。不死鳥なの」

「それが、マグマの中からやってくるの５時間で……
どこかの火山から飛び出してくるのかな？
オリハルコンを１０トン抱えて」

「あっ……」

ゴゴゴッと不気味な地鳴りが始まる。

「グランドが真っ赤です！」

「全員であそこに結界を！」

グランドの中央が爆発。そこから溶岩の塊みたいなものが飛び出し、結界に衝突して落下していく。

「全員で冷却して！
ファイとコライムもお願い！」

冷却して近づくと、鳥のような物体が頭から地面に突き刺さっている。

「死んだの？」

「不死鳥だから平気よ」

『再生！』

「……ひどいよニケ……
あれ？ニケじゃない……けど、ニケだ……
モア！お久～！」

再生で生気を取り戻した鳥が、少女の姿に変わった。

「お久しぶりですね。アユタカ。
相変わらずですけど」

「アユでいいよ。
だって、ボク収納持ってないんだから仕方ないじゃないか」

「だからって、グランドの真ん中に火山を作るつもりですか？」

「ボクだってそこまでバカじゃないよ。
途中で冷却しながら進んできたから、３０ｍ分くらいだよ。
これで１０トンくらいあるでしょ」

「そうね、オリハルコンだけ収納して、埋め戻しておきましょう」

「久しぶりにソフトクリーム食べたいな」

「はいはい。食堂へ行きましょうか」

残された俺達は、あっけにとられるしかなかった。

「あれが……伝説の不死鳥」

「精霊種の中でも、永久顧問として登録されています」

「そして、モンスタークイーンでもある、ニケの再来。何が始まるんだろうか……」