3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第5章

ファイ

「すごいな。どうやって・・・」

「レダはオリハルコンの糸を使っています。
それよりも、そのドアの先みたいです」

ドアを切り裂いて中に入ると、兵士が４人立ち、その前に四肢を拘束された獣が３体倒れている。

「ん、こんな場所に侵入者とは面白い。何者だ？」

「その３人の友人です。こちらで引き取りますから」

「あはは。不思議なことを言う。
こいつらはＭＲＳの者だ。誰の許しを得て連れていくつもりだ？」

「初代クイーンであるニケの意思です」

「ふふっ、ますます可笑しなことを言う。
そんな故人の指示があるはず無かろう。
不審者だ、捕らえろ！」

「Ｋ、Ｉ、Ｒ、その3人を連れて行ってください。
タケル、その赤髪の女に注意して！
おかしなオモチャを使うみたいだから！」

「この女神のビームソードをオモチャとな。
その身で確認するといいわ。オモチャかどうかね！」

「気を付けて！物質はすり抜けてくるはずよ。
光系の魔法で防いで！」

俺の後ろには、カーリーたちがいる。
避けるという選択肢はなかった……が。

「ひ・・・光系の魔法なんて・・・しら・・・ミズカガ・・・」

上段から振り下ろされる光の筋を、水鏡で跳ね返そうとしたが、俺の前に飛び出した何かが遮った。
それは妖精の姿をしていた。

ビームソードが半ばまで食い込みながら、振り下ろされるのを食い止めるファイとスライム君……
たたき落されたファイとスライム君に駆け寄り手に取る。

「バカ……なんで……ん？……俺は大丈夫だ。ファイが止めてくれたから……うん、分かった」
『融合』

ファイとスライム君は俺の一部になった。
俺は、ファイの吸い込まれた両手をしばらくぼうっと見ていた。

「何をボケっと……、うっ光が……ソードが出ない……何をした」

やつの魔力は、強奪とパラメータ吸収でゼロになっており、すでにビームは消えている。
兵士３人も、無力化済みだった。
俺はやつの腕を切り落とし、ビームソードをポーチに放り込み、そのうえで、兵士４人の精神を破壊した。

「よし、ガンマに戻るぞ」

来るときにガンマの中で聞いたところでは、精霊絶対主義派によるクーデターが起こったらしい。
コアさんたちも呼び戻され、精霊絶対主義派への忠誠を求められている最中だったようだ。
忠誠を拒むものには、制裁による死以外の選択肢はない。

それを聞いて、俺は意思を固めた。

”魔王になってやるよ”

ガンマはすでに数十人の兵士に囲まれていた。
俺は兵士たちの前に出て責任者を呼んだ。

「おとなしく投降せよ。
これ以上の騒ぎは、ＭＲＳに対する宣戦布告とみなす」

「上等だよ。
俺はアマゾン大ホールの魔王だ。
いつでも相手してやるから、かかってこいや！」