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第一章

プロローグ

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「萌、準備はまだか」

「できた」

「よし、来い」

『憑依!』Overwrite

「「いっけー!」」

魔王宮最下層で、俺と萌は魔王に向かって跳んだ。



--◇--◇--◇--


高校一年の7月
俺、犬神 仁と悪友大神恭介は通学路の途中にいた。

「ああ、やっとテストも終わるな。これでやっと部活に専念できる」

「部活って、お前帰宅部だろうが」

「一応、美術部に所属してんだぜ」

「はあ、気楽でいいよな。生徒会の方は、文化祭の準備なんだと……
面倒だな、まったく」

「自分で立候補しといて面倒はねえだろう」

ガンッ!

「うん?」

ガラガラ

見上げた俺の目に映ったのは、落下してくる鉄骨が5・6本。
H鋼とかいうやつだなと呑気に……いや、やばい……鉄骨に呑まれる瞬間、何かが光ったような気がした。

「「うわっ」」  「「キャーッ」」

次の瞬間、俺たちは見慣れない石造りの部屋にいた。
4人とも、鉄骨を避けようと、片手を顔の上にした間抜けな姿で……

「あれっ?」 「鉄骨は?」 「なに?」

「おお、4人も同時に召喚できるとは!」

「やりましたね陛下!」

「あん?」

「聞いてくれ、諸君らはここアルガラードに召喚させてもらった」

「アルガラード?」 「召喚?」 「えっ?」 「なんで?」

「冷静になって聞いてほしい。
術式には、生命の終わりを迎えるものと記したため、諸君らは何らかの事故などで死を迎える直前だったはず」

「い、言われてみれば……」 「マジ、死んだと思った」 「「うん」」

「その条件で、なおかつ、この世界を救うことのできる勇者を召喚させてもらった」

「それって、異世界転移ってやつ……」 「ラノベ読みすぎだろ」 「「うん、そう思う」」

「諸君らの将来は、国をあげて保証する。
その代わり、魔王を倒してほしいのだ」

「将来って……帰れないってこと」 「だな」 「いやよ」 「ムリ!」

「召喚というのは、一方通行で、申し訳ないが帰る方法はない。
ただ、帰ることができたとしても、諸君らは死を迎える、違うか?」

「まあ、そうなるか」 「ぐちゃぐちゃだよな」 「それも嫌」 「理想の死に方と違う……」

「古文書によれば、召喚により、諸君らの体と知識は、既にこの世界にあわせて改変されているはず」

「言われてみれば……」 「言葉もわかるな」 「胸のサイズは……」 「スマホが圏外……」

「頼む、諸君らで魔王を倒してくれ」
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