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第二章

雑貨屋でも始めてみないか

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智代梨は毎日のように俺の下半身をなめてくれた。

「毎日、申し訳ないな」

「元気になったら、体で返してもらうからね」

「おう、何発……いや、俺にできることならなんでも言ってくれ」


恭介が作ってくれた車イスで、俺は動き回ることもできるようになった。
魔王討伐の際、俺が身を呈して仲間を救ったことになっており、周囲の目は好意的だった。
俺たちは国王から受勲もされた。

「なあ、俺たちこれからどうする?」

「どうするっていわれても、ここで生きてくんだよね」

「今は、国が面倒を見てくれるけどさ、いつ打ち切られるかわかんねえだろ」

「えーっ、それは困る」

「だからさ、何か生活の基盤を作らねえとダメだと思うんだ」

「仁には何か考えがあるんだな」

「恭介に頼ることになるんだけど、とりあえずなんだけど、ここで雑貨屋でも開かないか」

「雑貨屋ねえ」

「女子たちは、ドレッシングとかお菓子とか開発してさ。
俺も、プリンくらいなら作れるぞ」

「お菓子とかでもいいの?」

「ああ、何でもありだよ。雑貨屋なんだからさ」

「生クリーム作ってクレープ屋さんとかやりたい」

「それもやればいいだろ」

「でも、この世界って、砂糖が高いのよね」

「だったら、ハチミツがあるだろ。
養蜂もやろうぜ。
探せば、メープルなんかもあると思うんだ」

「俺は何をすればいいんだ?」

「爪切り、洋バサミ、リングタイプの耳かき、ピーラー。
俺たちの世界にあったものをどんどん作ってくれよ」

「その態度なら俺でもできるな」


こうして、俺たちは雑貨屋の準備を始めた。

「私たちも手伝いますよ……って、なんですかそれ」

「ああ、竹ペンとインクだよ」

「私たちは普通、羽ペンを使うんですが、竹でそんな細かい文字が書けるなんて……
インクにも秘密があるんですね」

「ああ、カマドの煤と、豚の皮と腱を煮て作ったニカワを混ぜて作ったんだ」

「それ、職人に作らせましょう。
竹ペンと一緒に売り出せば、それだけで一財産できますよ」

こうして、オリジナル商品一号と二号が完成した。

出来上がったインクと、恭介に作ってもらったゴールドのペンを持って王様を尋ねる。

「おお、よく来たな勇者殿」

「お世話になっています。
今回、家のほうで商いを始めようと思いまして、最初の商品ができましたので使っていただければと持参いたしました」

俺は車いすなので、恭介から渡してもらう。

「私たちからも、お妃さまへ」

「まあ、なんでしょう。
……これは?」
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