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第三章
第25話 スーザンは私を師匠と呼んで慕ってくれるようになりました
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「魔法士養成所が設立から200年を迎えたときに、私も養成所にいたんです。」
「うん、7才から希望者は無償で入れるようにしたからね。」
「それで、記念式典の時に、所長さんが話してくれたんです。」
「まあ、知り合いはもう生きていないでしょうけどね。」
「養成所は、一人の魔法研究者がスタートさせたんだって。」
「あの当時は、何でこの大陸にだけ魔法士が存在するのかとか、何で大人になると魔法が使えなくなるのか、まったく分かっていませんでしたからね。」
「それでも、性的な行為がきっかけで魔法が使えなくなるという事を突き止めて、魔力の喪失を防ぐために養成所を立ち上げて魔法の訓練方法まで教えるようになった。」
「私自身が魔法を使えなかったから、土地の人に聞きまわったんですけどね。」
「そして翌年、竜人の里へ自分から出向いて謎を解明して、報告してもらった事で、ジャルディア国としての魔力に対する研究が始まりました。」
「報告書を提出して養成所は辞めちゃいましたけどね。」
「その報告書が存在したおかげで、結婚後も魔力を失わない人が数人ですが存在しているんですよ。」
「へえ、そうなんですか。」
「はい。私も昨年結婚しました。」
「あははっ、処女じゃなかったのね。ごめんごめん。」
少なくとも、自分のやってきた事は無駄ではなかった。
なんとなく嬉しかったです。
「でも、使える魔法は大した事なくって……。」
「じゃあ、サービスしちゃおっかな。」
「えっ?」
私は商店街の外れに飛空艇をおろして、後部座席に移動します。
「ちょっと触りますよ。」
「えっ?」
スーザンさんの服をまくりあげて、下腹部に手をあてます。
「なっ、何を……。」
「いいから、身体の力を抜いて楽にしてください。」
まずは魔力を共生的に循環させます。
「あっ!」
「こうやって、魔力を身体全体に循環させます。」
「こ、こんなに早くなんて……。」
「毎日やれば、すぐにできますよ。こうする事で、魔力の通路が広がって魔力量が増えます。」
「……はい。」
「魔力の質もあがるので、魔法の威力もおおきくなるんですよ。」
「魔力の質なんて……考えてもみませんでした。」
「さてと、この魔力量で有効なのは、シールド。」
「あっ!」
「それから、身体強化。」
「魔力の流れがよく分かります!」
「あとは、相手の表面を凍らせて行動不能にするフリーズ。」
「あっ……ん。」
「魔力と性的欲求って近い感覚なんですよ。乳首が立ってしまったのもその影響なんです。」
「ああ……。」
「これが、魔力トレーニングと初期魔法の使い方ですね。」
「あっ、ありがとうございます。やりかたが分かったので、毎日トレーニングを続けます。」
私たち3人は飛空艇から降りて商店街を見てまわります。
「野菜は新鮮さがないし、肉は腐っているんじゃないかしら。」
「そりゃあ、UNNAから見たら農家は少ないので、半分以上は他の町から運んでいますからね。」
「UNNAだってお粗末なものよ。だからうちの商会が人気なんだけど。」
「小量の新鮮なものは、王族や上位貴族が独占していますからね。」
「そんな体制を受け入れてしまっている住民の覇気のなさよね、問題は。」
「そこに来て、今回の追悼税ですから、町民はこんな食材すら入手できない有様でして……。」
「それでも、貴族と一部の軍属が幅を利かせていると。最悪ね。」
反対方向から10人ほどの兵士に囲まれて歩いてくる派では派手な服装の男がいました。
「リ、リズ様、道を譲りましょう。」
「何故ですか?」
「あれ、貴族による市中巡回です。」
「そんなの関係ないでしょ。」
「しかも、あれは宰相の3男。最悪の相手ですよ。」
「宰相?」
「ええ。ドドンパ宰相の息子です。」
「うーん、詐欺師の一族ですか。それを聞いちゃったら、ますます引けませんね。」
そんな事を話しているうちに、鎧の集団がガチャガチャと音をたてて私の正面までやってきました。
そして、手にした槍を私に向けて突き出してきます。
「退け、さもなくば捕える。」
「へえ、ジャルディ家の私に槍を向けるとはいい度胸ですね。」
「ジャ、ジャルディ家だと!」
兵士の間に、緊張が走ります。
「何やってんだよ!さっさと進め!」
奥から金髪の男が前に出てきました。
明らかに軍人ではない、チャラチャラした男です。
腰には、見かけだけで役に立ちそうにない金色の剣をぶら下げています。
鞘と柄の金色はメッキですよね……。
「ですが小隊長、この者が王族だと……。」
「王族?こんな貧相な女が王族の訳ないだろ。見たこともないわ!」
貧相……。
危ないです。
何かが切れそうです。
「おい女、王族を騙るとは見過ごす訳にはいかんな。おい、この女を捕えて、ひん剝いてみろ。」
ひん剥く?
言葉の意味を理解するのに時間がかかります。
理解すると同時に、怒りがシュンと静まり、不快感に変わります。
押し寄せる兵士も、嫌らしい笑みを浮かべています。
「スーザン、身体強化による戦い方を教えるわ。」
「は、はい!」
「拳なんて使うと、大振りになっちゃうし、骨折しやすいの。」
「はい。」
「だから、手のひらを使うの。ココよ。」
具体的に掌底を示して理解させます。
「相手の懐に飛び込んで、最短距離で打ち抜く!」
ガシャーン、ガシャーンと、後ろの鎧姿を巻き込んで5mほど吹き飛んでいきます。
「もう一度見せるわね。……相手の懐に潜り込んで打ち抜く!」
ガシャーンと、同じように音をたてて鎧が吹き飛んでいきます。
「分かった?」
「は、はい!」
「じゃ、やってみて。」
「はい?」
「さっき、身体強化とシールドは展開してあるから大丈夫よ。」
「えっ……。」
鎧を2体吹き飛ばした事で、相手も躊躇しています。
「何をしている。さっさと捕えろ。」
「ほら、迎え撃つのよ。」
「えっ!」
スーザンの背中を押してあげます。
よろけるようにして鎧の前に押し出されたスーザンは、大声をあげて実践します。
「いやーっ!」
掌底ではなく両手で突き飛ばす感じでしたがまずまずの成果です。
スーザンは信じられないというように、自分の手のひらを見ています。
「はい、次!」
「は、はい。」
ガシャーン!
「次!」
「ハイ!」
ガシャーン!
「お、おのれ!」
残った兵士3名が剣を抜きます。
「どうする?」
「やってみます。」
「頑張って!」
身体強化は、概ね術者の能力を5倍に引き上げます。
スーザンの突き飛ばす力が30kgなら、強化された今は150kg。
走る速度が秒速3mなら、今は15m。
兵士が剣を振り下ろす速度よりも早く駆け寄り、勢いを乗せて掌底を突き出すと、兵士は10mほど吹っ飛んでいきました。
残る2名は、貴族の元に駆け寄ります。
「お、お前ら、このイジン・ドドンパに手を出したらどうなるか……。」
言い終わるよりも早く3人を魔法でマヒさせます。
「師匠、この魔法は?」
「ああ、マヒも教えておこうか。」
スーザンのお腹に手を入れて、マヒを再現してあげます。
「わ、分かりました!」
人前で下腹部を晒したことは気にしていないようです。
うん、毛の生え際で止めたおかげでしょう。
こうして、私たちは市中巡回の貴族を制圧してしまいました。
もう、後にはひけないかな?
【あとがき】
覚醒前にも王都へ来ているのですが、あの時は城へ直接乗り込んでいます。
「うん、7才から希望者は無償で入れるようにしたからね。」
「それで、記念式典の時に、所長さんが話してくれたんです。」
「まあ、知り合いはもう生きていないでしょうけどね。」
「養成所は、一人の魔法研究者がスタートさせたんだって。」
「あの当時は、何でこの大陸にだけ魔法士が存在するのかとか、何で大人になると魔法が使えなくなるのか、まったく分かっていませんでしたからね。」
「それでも、性的な行為がきっかけで魔法が使えなくなるという事を突き止めて、魔力の喪失を防ぐために養成所を立ち上げて魔法の訓練方法まで教えるようになった。」
「私自身が魔法を使えなかったから、土地の人に聞きまわったんですけどね。」
「そして翌年、竜人の里へ自分から出向いて謎を解明して、報告してもらった事で、ジャルディア国としての魔力に対する研究が始まりました。」
「報告書を提出して養成所は辞めちゃいましたけどね。」
「その報告書が存在したおかげで、結婚後も魔力を失わない人が数人ですが存在しているんですよ。」
「へえ、そうなんですか。」
「はい。私も昨年結婚しました。」
「あははっ、処女じゃなかったのね。ごめんごめん。」
少なくとも、自分のやってきた事は無駄ではなかった。
なんとなく嬉しかったです。
「でも、使える魔法は大した事なくって……。」
「じゃあ、サービスしちゃおっかな。」
「えっ?」
私は商店街の外れに飛空艇をおろして、後部座席に移動します。
「ちょっと触りますよ。」
「えっ?」
スーザンさんの服をまくりあげて、下腹部に手をあてます。
「なっ、何を……。」
「いいから、身体の力を抜いて楽にしてください。」
まずは魔力を共生的に循環させます。
「あっ!」
「こうやって、魔力を身体全体に循環させます。」
「こ、こんなに早くなんて……。」
「毎日やれば、すぐにできますよ。こうする事で、魔力の通路が広がって魔力量が増えます。」
「……はい。」
「魔力の質もあがるので、魔法の威力もおおきくなるんですよ。」
「魔力の質なんて……考えてもみませんでした。」
「さてと、この魔力量で有効なのは、シールド。」
「あっ!」
「それから、身体強化。」
「魔力の流れがよく分かります!」
「あとは、相手の表面を凍らせて行動不能にするフリーズ。」
「あっ……ん。」
「魔力と性的欲求って近い感覚なんですよ。乳首が立ってしまったのもその影響なんです。」
「ああ……。」
「これが、魔力トレーニングと初期魔法の使い方ですね。」
「あっ、ありがとうございます。やりかたが分かったので、毎日トレーニングを続けます。」
私たち3人は飛空艇から降りて商店街を見てまわります。
「野菜は新鮮さがないし、肉は腐っているんじゃないかしら。」
「そりゃあ、UNNAから見たら農家は少ないので、半分以上は他の町から運んでいますからね。」
「UNNAだってお粗末なものよ。だからうちの商会が人気なんだけど。」
「小量の新鮮なものは、王族や上位貴族が独占していますからね。」
「そんな体制を受け入れてしまっている住民の覇気のなさよね、問題は。」
「そこに来て、今回の追悼税ですから、町民はこんな食材すら入手できない有様でして……。」
「それでも、貴族と一部の軍属が幅を利かせていると。最悪ね。」
反対方向から10人ほどの兵士に囲まれて歩いてくる派では派手な服装の男がいました。
「リ、リズ様、道を譲りましょう。」
「何故ですか?」
「あれ、貴族による市中巡回です。」
「そんなの関係ないでしょ。」
「しかも、あれは宰相の3男。最悪の相手ですよ。」
「宰相?」
「ええ。ドドンパ宰相の息子です。」
「うーん、詐欺師の一族ですか。それを聞いちゃったら、ますます引けませんね。」
そんな事を話しているうちに、鎧の集団がガチャガチャと音をたてて私の正面までやってきました。
そして、手にした槍を私に向けて突き出してきます。
「退け、さもなくば捕える。」
「へえ、ジャルディ家の私に槍を向けるとはいい度胸ですね。」
「ジャ、ジャルディ家だと!」
兵士の間に、緊張が走ります。
「何やってんだよ!さっさと進め!」
奥から金髪の男が前に出てきました。
明らかに軍人ではない、チャラチャラした男です。
腰には、見かけだけで役に立ちそうにない金色の剣をぶら下げています。
鞘と柄の金色はメッキですよね……。
「ですが小隊長、この者が王族だと……。」
「王族?こんな貧相な女が王族の訳ないだろ。見たこともないわ!」
貧相……。
危ないです。
何かが切れそうです。
「おい女、王族を騙るとは見過ごす訳にはいかんな。おい、この女を捕えて、ひん剝いてみろ。」
ひん剥く?
言葉の意味を理解するのに時間がかかります。
理解すると同時に、怒りがシュンと静まり、不快感に変わります。
押し寄せる兵士も、嫌らしい笑みを浮かべています。
「スーザン、身体強化による戦い方を教えるわ。」
「は、はい!」
「拳なんて使うと、大振りになっちゃうし、骨折しやすいの。」
「はい。」
「だから、手のひらを使うの。ココよ。」
具体的に掌底を示して理解させます。
「相手の懐に飛び込んで、最短距離で打ち抜く!」
ガシャーン、ガシャーンと、後ろの鎧姿を巻き込んで5mほど吹き飛んでいきます。
「もう一度見せるわね。……相手の懐に潜り込んで打ち抜く!」
ガシャーンと、同じように音をたてて鎧が吹き飛んでいきます。
「分かった?」
「は、はい!」
「じゃ、やってみて。」
「はい?」
「さっき、身体強化とシールドは展開してあるから大丈夫よ。」
「えっ……。」
鎧を2体吹き飛ばした事で、相手も躊躇しています。
「何をしている。さっさと捕えろ。」
「ほら、迎え撃つのよ。」
「えっ!」
スーザンの背中を押してあげます。
よろけるようにして鎧の前に押し出されたスーザンは、大声をあげて実践します。
「いやーっ!」
掌底ではなく両手で突き飛ばす感じでしたがまずまずの成果です。
スーザンは信じられないというように、自分の手のひらを見ています。
「はい、次!」
「は、はい。」
ガシャーン!
「次!」
「ハイ!」
ガシャーン!
「お、おのれ!」
残った兵士3名が剣を抜きます。
「どうする?」
「やってみます。」
「頑張って!」
身体強化は、概ね術者の能力を5倍に引き上げます。
スーザンの突き飛ばす力が30kgなら、強化された今は150kg。
走る速度が秒速3mなら、今は15m。
兵士が剣を振り下ろす速度よりも早く駆け寄り、勢いを乗せて掌底を突き出すと、兵士は10mほど吹っ飛んでいきました。
残る2名は、貴族の元に駆け寄ります。
「お、お前ら、このイジン・ドドンパに手を出したらどうなるか……。」
言い終わるよりも早く3人を魔法でマヒさせます。
「師匠、この魔法は?」
「ああ、マヒも教えておこうか。」
スーザンのお腹に手を入れて、マヒを再現してあげます。
「わ、分かりました!」
人前で下腹部を晒したことは気にしていないようです。
うん、毛の生え際で止めたおかげでしょう。
こうして、私たちは市中巡回の貴族を制圧してしまいました。
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