スキル買います

モモん

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第六章

第65話 下着販売

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 レイミは鉄道事業を営んできた担当と共に、線路敷設の計画を建てていた。

「お嬢、ベルナールとゴーランの路線ですが、どこかで川を超さなくてはなりませんね。」

「そうよね。エドは何処がいいと思う?」

 エドワード・レイエール。男爵家4男の彼は総務局の役人だったのだが、ミーレオの町を作る時に、皇太子のレオに引き抜かれて鉄道事業の補佐官として活躍している。

「そうですね。川幅を考えると、一番狭いこの辺りになるんですが、そうするとこの支流にも橋が必要になってしまいます。それならば、高低差の少ないこの辺りに大きな橋を作るのが得策なのかなと思いますけど。」

「そうねぇ、そこもよさそうなんだけど、ほら橋の手前で結構急なカーブが必要にならないかな。それを回避するとなると、こんな感じで橋は2倍の長さが必要になっちゃうのよね。」

「それならば、ここは如何でしょうか?ただ、岸が少し不安定そうだったと記憶していますので、おおがかりな補強工事が必要になると思いますが。」

「うん。岸の補強はするんだけど、ここには吊り橋を建築しようと思うのよね。」

「吊り橋……ですか?あの、山とかで見るロープを使った……」

「あははっ、違うわよ。この長さだと、2箇所に頑丈な塔を建てて、そこからワイヤーで線路を吊るの。」

「えっと……イメージできないんですが……」

「ここは私がやるからいいわ。よく見てどういうものなのか覚えればいいから。」

 レイミの頭には日本のベイブリッジのような吊り橋が浮かんでいた。


 孤児院の子供たちによるレーミョンTシャツの染織は順調に進んでいた。
 アルミのタライに染料を溶かし、子供たちが裸足で踏みつける。
 ムラとかを気にしないで生地に染料を染み込ませ、絞って干すだけである。

「うん、いい感じじゃない。淡い水色とかピンクとか、子供らしい色合いだわ。」

「それでお嬢様がおっしゃるように、乾いたシャツに手形をつけさせたり、筆で絵を書かせたりしてるんですが、試作品とはいえ売り物にこんな事をして……」

「いいのよ。子供らしいカラーリングだし、こんなのを着たら楽しい気持ちになってくるわ。」

「私には、子供がイタズラで汚したようにしか見えませんけど……」

「汚れたものと、意図的に汚したものは一目見て違うって分かるわよ。」

「そんなものでしょうか……」

 レーミン商会では、3つの町に支店を増やし、そこでこの落書きTシャツの販売を開始した。
 試作品ではあったが、色付きなので銀貨1枚の値付けがされた。

「如何ですか?試作品なのでこのお値段なんですけど。」

「あなたの着ているのもこれよね。」

「はい。これは孤児院の子供たちが絵付けしているんですよ。」

「えっ!……そういえば、これって子供の手形よね……」

「はい。ほら、これって見ていて楽しくなってきませんか?」

「そうね。子供たちが頑張っているなら、大人は応援しなくちゃね。これを着て外を歩くのは勇気がいるけど、まあ室内用でもいいかな。多少汚れても気にならなくていいわよね。でも、あなたの着方って……」

「気になります?中にノースリーブの黒いインナーを着て、その上から男性用の一番大きいのを着てるんですよ。これ、オーナーのレイミ様から教わった着こなしなんです。」

「えっ……皇太子妃だった人よね……」

「そうです。気さくで明るい方なんですよ。」

「もしかして、そのパンツも?」

「ええ。シャツと同じレーミョンで作られていて、伸縮性もあって動きやすいんですよ。7分丈なのも足が長く見えるんだって教えてもらいましたけど、どうですか?」

「上のシャツを脱ぐと上下黒なのね。何だか手足が長く見えるし、色の白さが際立つわね。」

「これ一式でも銀貨4枚と銅貨2枚なんですよ。」

「ちょっと待って!下着も黒なの!」

「驚きますよね。パンティーも黒ですし、上もブラっていう新製品で胸帯と違うのは締め付けないのに、ちゃんと胸の形がキレイに協調されるんですよね。」

「た、確かに盛り上がっているわね……」

「何でこんなにキレイなラインが実現できているのか、お分かりになりますか?」

「それって、デザインと、お針子さんの技術ですよね。」

「うふふっ、興味ありますか?」

「な、なによ、その笑いは……」

「ほら、お客様の着られている服って、切ってから縫い合わせる事で仕上げていきますよね。」

「そんなの当たり前じゃない……」

「ところが、レーミョンで作る衣類は、木型に糸を吹き付けて作っているんですよ。だから縫い目がないんです。」

「そんな……」

「ブラの場合、最初から胸の形にあわせて作っていますので、形が崩れないし、特に胸の下の部分は生地を厚くしてあるのでちゃんと胸を持ち上げてくれるんですよ。まあ、流石にコルセットのようには締め付けていないのでああいう不自然な盛り上がりじゃないですけどね。」

「た、確かに自然な形に見えるわね……、ちょっと触ってもいい?」

「どうぞ。下着だから、やっぱり肌触りは気になりますよね。」

「……こっちのシャツよりも柔らかい感じがするけど……」

「はい。ブラとパンティーは、シャツよりも細い糸にしてあるんですよね。だから、シャツよりも少しお高くなってしまいます。」

「いくらなの?」

「白のブラが銀貨2枚で、黒は銀貨2枚と銅貨3枚になります。白いパンティーは銀貨1枚で黒が銅貨2枚高くなっています。どちらも、王妃様ご愛用の品ですよ。」

「えっ!王妃様がっ!

「レイミ様が皇太子妃から降りたとはいえ、お母様は侯爵夫人ですからね。こういうものは、すぐに献上されるんだそうですよ。もちろん、もっとレースを使ったりした豪華なものらしいですけど。」

「それって、貴族の人から注文が殺到しているんじゃないの?」

「総支配人のところに問い合わせが殺到しているらしいんですけど、全部お断りしているみたいですよ。貴族用は当分作らないって。」

「そういうの、断っちゃって大丈夫なのかしら?」

「レイミ様ですから。」

「そ、そうなのね……」

「はい。貴族用の高い商品を作るよりも、町民がムリなく買える商品を優先するというのが商会の基本姿勢ですから。そうは言っても、王妃様やお母様経由で、どうしても断れない注文があるらしくて、貴族向けの商品を作るスタッフが訓練中なんですけどね。」

「そうなのね。そういえば、最近見かけるタマゴだって、他の領地よりも安いって聞いたわよ。」

「最終的には10個で銅貨3枚というのが目標らしいです。今は2個で銅貨1枚ですけどね。」

「そうそう。私も月に2回くらいは買っているわよ。だって、美味しいんだもの。」

「くくくっ、お客様はまだタマゴの本当の価値をご存じないのですよ。」

「何が……」

「今、開店準備中のタマゴ料理専門店。ここのスイーツを食べたら、その認識は間違いなく崩壊します。」

「どういうこと?」

「口に入れた瞬間、優しい甘さが広がって、生きてきて良かったって幸せになるスイーツ。試食品をいただいた時、私はレーミン商会を勤め先に選んで正解だったと自分を褒めましたもの。」

「な、何よソレ……」

「まあ、開店までお待ちくださいな。」

「な、何で買い物に来て、こんな敗北感を感じるのかしれ……。まあ、下着を全種類1枚ずつと、レギンスの黒2枚。ノースリーブの黒を2枚と、一番大きなTシャツ1枚を貰っていくわ。」

「まいど、ありがとうございます。」

 こうしてレーミョンの衣装は、下着を含めて町民に深く根付いていった。
 総支配人の頼みもあって、男用のボクサーパンツも商品化される。
 そして、満を持してタマゴ料理専門店が4町で開店した。


【あとがき】
 レーミン商会の日常
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