スキル買います

モモん

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第九章

第132話 レイミ獣化

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「何という事だ。精霊様がこのようなお姿で我々の前に現れ、お力添えをいただけるとは……」

『あら、お礼ならレイミちゃんに言ったらいいのよ。それで、バーサクを魔石に巻き出せばいいのよね。』

「うん、よろしくね。」

「おお!まさかお言葉までいただけるとは……」

『これだからケモノビトはイヤなのよね。……はい、終わったわよ。』

「じゃあ、獣化してみてください。」

「本当に暴走はしないのですね?」

『私がやったのに、信用しないっていうのね!』

「そ、そのような事は……」

 長は、灰色の山猫に変身した。

「念のため、その姿で外を走り回ってきていただけるかしら。私もこれで2人なんだけど、何か不都合があるといけませんから。」

「承知した。」

 灰色の山猫は外へ出ていった。

「あとは、この中で……ああ、あなたもバーサクがあるのね。シルフィちゃん、この人もお願いね。」

『了解よ。』

「あとは明日にしましょう。」

 その後、レイミは里の墓地にて、調香師と獣化のスキルを手に入れ、残りはシルフィに魔石化してもらった。

『ねえ、レイミちゃん。』

「どうしたの?」

『これ、レイミちゃんの中にはないスキルよ。”咆哮”』

「へえ。獣化した時に使う感じかしら。面白そうね貰っておくわね。」

『そういえば、レイミちゃんが獣化すると何になるのかしら?』

「えっ?ここの人と同じように山猫になるんじゃないの?」

『もしそうなら、獣化スキルに何かしらのステータスが出てるハズでしょ。』

「言われてみればそうね。……もしかして、自分の持つイメージとか影響するのかしら。もしそうなら……違う違う!白い龍なんて可愛くないわよ。」

『龍?クスッ。確かに大きければいいかもしれないけど、その大きさで龍って中途半端よね。』

 精霊はレイミの考えている事も共有できるため、龍のイメージも伝わっているのだ。

『ちょっとお、フクロモモンガって何よ。小さければカワイイかもしれないけど、その大きさでソレはないわよ。』

「くっ……勝手に頭の中見ないでよ!」

『自然と分かっちゃうんだからしょうがないでしょ。リスとかもそのサイズだと不気味よ。ヤマネっていうのも見た感じ可愛いけど、小さいからカワイイだけよ。』

「それなら、妖狐よ。白い身体に3本の尾。これなら文句ないでしょ。」

『まあ合格ラインね。』

「よし、じゃあこのイメージを保持したまま”獣化!”」

『きゃあ、可愛いわよ。レイミちゃん最高!もう、モフモフだし、言うことないわね。』 

「フフフッ、どうよ……あれ?モフモフって……私はモフモフしたいんだけど、何でモフモフされてるの?」

『細かいこと気にしないの。ほら、どれくらい身体能力があがったか試してみなさいよ。』

「えっと、服は収納にしまって……。四つ足ってやっぱり違和感があるわね。」

『大丈夫大丈夫、すぐに慣れるわよ。』

「えいっと!普通に走って時速40km以上ってところかしら、身体強化!ひゃあ、時速100kmくらい出てるんじゃない、コレ。」

『重力制御を使えばそのまま飛べるはずよ。障壁を忘れないでね。』

 障壁を張って宙を飛ぶ白い狐は、避けきれない木々をなぎ倒して飛んでいく。

「ヤバい、楽しいわよコレ!あっ……」

 レイミは岩山に激突し、そのまま反対側から飛び出した。
 気付けば眼下には海が広がっている。

 突然海から跳び出してきた魔物がレイミを呑み込むが、レイミは速度を緩めずその背中を突き破って獲物を仕留める。
 反転して、着水間際の魔物を収納に保存する。
 何しろ、地竜の世話が必要だから、肉はいくらあってもいいのだ。

 追加で10m級の魔物を3体仕留め、レイミは縮地+で移動要塞の屋上に帰還した。
 そこで獣化を解き、素早く服を着る。

「収納から直接着た状態で服を取り出せないかしら。」

『イメージ次第じゃないの。』

「そうなのかなあ。じゃあ、一旦、収納に戻してから、着た状態をイメージして……なんだ、簡単にできるのね。」

 翌朝、夕べ仕留めた海の魔物を捌いて、移動要塞の前で焼き、地竜たちに与える。

「なんだか、食欲がないみたいね。」

「地竜は満腹まで食べると3日から4日はエサを食べんのじゃよ。」

「へえ、そうなんですね。昨日の食べっぷりを見たから狩ってきたのになぁ。」

「いやいや、狩ってきたって、これほどのキングオルガをどうやって?」

「どうって言われても、こうバーンと体当たりで……」

「いや、意味がわからんって。それよりも、焼いた肉は分けてもらっていいのかね?」

「あっ、どんどん焼くんで、みんな呼んでください。切り分けた肉も持って行ってもらっていいですよ。」

 長の呼びかけで、家々から人が出てくる。
 ついでに里の地竜達も集まってきた。

『ギャウ!』

『ギャギャウ!』

 レックスが言い聞かせて、ちゃんと並んで肉を待つのがカワイイ。
 里の地竜は18匹いて、そのうち3匹はまだ小さかった。

「なあ、手綱も使わずに、何で地竜たちはちゃんと並んでるんだ?」

「いやいや、俺たちの地竜もある程度は聞き分けるが、そこまで言葉を理解できるわけじゃねえよ。」

「それは、スキルのチカラなんですよ。」

「スキルだと?そんなの聞いたことがないぞ!」

「えっと、レーミリアンの南にあるガルーダっていう国には、飛竜っていう鳥に近い竜がいるんですけど、そこで生まれた飛竜騎士っていうスキルなんですよ。」

「ここにいるのは飛竜じゃねえ、地竜だぞ。」

「おいおいレンダ、その嬢ちゃんはラッシングの王女様なんだ。もっと敬う言葉を使わんか!バカ者め。」

「すまねえ。そういうのは苦手なんだ……です。」

「そんな気にしないでいいですよ。私なんて21才ですけど、レンダさんは100才超えているでしょ。」

「ああ。俺たちは50才を超えると大人とされるんだが、そっから先は数えねえんだ。能力が優れていれば敬われるってやつだね。」

「それでですね。その飛竜騎士っていうスキルは、魔物との間に魔力で繋がりをもたせてあげると、相手の考えている事が分かるんですよ。」

「それで、お前の地竜が腕につけているのは何だ?」

「ああ、あれは魔道具です。」

「魔道具だと?」

「身体強化や障壁なんかを発動できるんですよ。」

「そんな魔道具は聞いたことがないぞ!」

「まあ私が作ったものですし、販売はしてないですからね。こんなものを軍が使ったら大変な事になりますから。」

「どれだけ効果があるのか分からないが、それを地竜に装着させて何をするつもりなんだ?」

「ホントは最初に手に入れた1匹だけだったんですけど、みんなが欲しいっていうからつけてあげただけですよ。そうしたら皆はしゃいじゃって。」

「だが、地竜っていうのは荷車を曳かせたり乗ったりするもので、そんな余計なスキルは必要ないだろ!」

「えっ?戦闘とかしないんですか?」

「なにぃ?」

「昨日見た野生の地竜は、連携してクマ型の魔物を倒してましたよ。あれだけの知能や連携できる協調性があったら、戦力としても十分だと思いますけど。」

「だから、そんな細かい指示なんて……できないんだよ。普通は……」

「そうなんですか。じゃあ、あの子達がどんな活躍をしてくれるか楽しみですね。」

「だが、こいつらの攻撃は噛みつくだけだろう……」

「どうですかね。確かに前脚はちょっと短くて細いですけど、あの強力そうな後ろ脚とシッポがあるじゃないですか。身体強化と障壁を使った攻撃がどれほどの威力か楽しみですよね。」

「いや、お前……」

「あっ、氷魔法も習得させたんですよ。」

「な、何を考えているんだお前は!」


【あとがき】
 次回、強化した地竜。
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