スキル買います

モモん

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第九章

第138話 3匹の……

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「お母様!よく考えてくださいと申し上げたばかりじゃないですか!」

 妖狐姿のレイミがレイチェルに対して大声をあげた。
 そのソファには、見事な毛並みのヒョウが気怠そうに寝そべっていた。

「そういうの面倒じゃない。そんなのよりも、自分の深層心理に何があるのか見た方が面白いでしょ。えっと、この手はヒョウかしら。」

「ええ、そうです。あまりにもイメージ通りで驚きましたわ。」

「そうすると、この姿は私の望む姿なのか、ヒトが私に求める姿なのか悩むところね。」

「多分、両方だと思います。」

「イブとマリアは何に変身したのかしら?」

「まだですけど、マリアはともかくイブはまだそんな動物を見たことないもの、もっと色々見させてからの方がいいと思ってるんだけど……」

「いいから、ジョディ二人を呼んできて。」

「はい。」

「あっ、タジンとレーニャもいたら来てもらってね。」

 少しして4人がやってきた。

「えっ、これって……」

「ママとお母様?」

「まさか、ケモノビトの変身能力ですか?」

「ああ、そういう事ですか。ガーランドでスキルを見つけてきたんですね。」

「スキルで変身できるの?」

「いまからスキルを覚えさせてあげるけど、やっぱり身体能力があがるし、こんなふうに部分的に変身する事も可能なのよ。」

 レイミはキツネ耳シッポ娘になった。

「カ、カワイイです。」

「へえ、そんな事もできるんだ。どれ……こうか。」

 一応服は着たままなので、エッチな事はおきないのだが、タジンは顔を赤くしている。

「お母様は、その姿も威厳があります。」

「ネコ科って事は、爪も出し入れできるんだね。ふむ。これは便利そうだ。」

「それでね。私たちはケモノビトではないので、決まった変身の姿っていうのがないの。つまり、最初にイメージしたものに変身できるのよ。」

「どんな動物でも変身できるんですか?」

「私のコレは、実在の獣ではないわ。想像上の生物なのよね。ほら、シッポが3本なんておかしいでしょ。」

「それって、ドラゴンとかでも大丈夫なんですかね?」

「多分大丈夫だと思うけど、何しろヒトがこのスキルを覚えたのって私とお母様だけだから正確な事は分からないのよね。」

「いつまでに決めればいいんですか?」

「いつでもいいし、別に決めなくても構わないわ。」

「楽しいような、怖いような……」

「ほら、図書館の本とかを見て決めてもいいし、童話のさし絵とかでもいいのよ。」

「ママと同じでもいいの?」

「いいけど、イブだったらもっとカワイイ動物もいると思うよ。」

「いいの!ママと同じになるの!」

 ポフンと音がしてイブは白い子狐に変身した。

「ほう。変身しても年齢が現れるんだな。」

「ホント。可愛いわよイブ。」

「なんか、左手が痒いの……」

「あっ、獣の姿になってこの竜香を吸い込むと再生能力があがるって言ってたわ。その義手を外してみて。」

「うん……少し痛いけど、痒い……」

「そっか。骨が伸びてくるのが痛いのかな。ちょっと治癒をかけてみようか。」

「うん。」

 レイミはイブの左腕に治癒+をかけた。

「あっ……」

 再生の速度があがって、肉が内側から盛り上がって腕……いや前脚を形作っていった。
 およそ、1分で1cm程だが、それでも目の前で再生されていくのが分かる。

 30分ほどかかって、前脚は完全な形を取り戻していた。

「め、目の奥もちょっと痒い……」

「えっ、目も再生するの!」

「わかんない……けど、何だかチクチクする……」

「目にも治癒をかけておこうか。」

 レイミは目にも治癒を施した。

「そんなにすぐに治るっていう訳でもなさそうね。イブのベッドはこの部屋に移して、獣の姿で過ごすようにしなさい。竜香は絶やさないようにするわ。」

 レイミは商会に行き、船の手配や店長・工房長の調整を行った。
 そしてラッシングに移動して女王に竜香を差し出す。

「それで、ケモノビトが変身するのはスキルによるものと分かり、そのスキルを魔石にしてきましたけど、これ、お使いになられます?」

「えっ?普通の人間でも変身できるってこと?」

「そういう事です。ただ、ケモノビトと違って種族というものがありませんから、最初の変身の時にイメージしたものに限定されますけどね。」

「そういう事なら早くセットしてちょうだい。小さい時から憧れていた獣がいるのよね。」

「はあ、イヤな予感しかありませんけど……」

「何言ってるの。3日後にレイチェルとお茶するんだから、その時に驚かせてやるんだから。」

 こうして、二人目のヒョウが誕生した。

 そしてレイミは西の里に戻り、工房や店の準備に追われる。

 そんな中で、デカルトのアンヘラ王妃から遠隔通話が入る。

『レイミちゃん、今、あなたのお屋敷でお茶会をしているところなの。』

『はあ。』

『ちょっと来られないかしら。そんなに時間はかからないわ。』

『はあ……』

 レイミは縮地+で家に帰る。

「いらっしゃいませ。」

「ごめんなさいね。新しい国造りで大変なんでしょ。大変よね、分かるわぁ。」

「はあ。」

「まあ、その話は後でするとして、変身のスキルをセットしていただけるかしら。まさか、二人目の母である私の分がないとか言わないわよね。」

「図々しいヒトね。レオ皇子との離縁が成立した時点で貴女との親子関係は消滅しれるのよ。」

「レオは関係ないわ。私とレイミちゃんの母娘関係は解消されていないわよね。」

「は、はあ。じゃあ、スキルをセットしちゃいますね。」

「まったく、この子ったらお人よしなんだから。」

「何とでもいいなさいレイチェル。まさか、私への恩は忘れてないわよね。」

「恩?」

「そうよ。私が陛下を引き受けてあげなかったら、レイミちゃんだって産まれてないんだからね。」

「あっ、お父様が帝国に忍び込んだ時の…………はい、セット終わりました。」

「アリガト。これでイメージして変身すればいいのね。じゃあ、やりましょうか。」

「やる?」

「そうよ。二人とも何に変身するか明かしていないのよ。自信があるみたいだから、三人で一斉に変身してみせる事にしたのよ。」

「じゃあ、やりましょ。せーの!」

「あっ、ダメ……」

 次の瞬間、部屋に気怠そうな3匹のヒョウが出現した。
 興味深げに様子をうかがっていたメイドが、堪えきれずにプッと吹き出した。

「何でヒョウなのよ!」

「私は特に意識したワケじゃないわ。神様が決めたのよ。」

「私は子供のころから憧れていたのよ!」

「私だって同じよ。小さい頃に読んだ『エルザとヒョウのピンク』っていう絵本を毎日読んでいたのよ……」

「「あっ……」」

 どうやら、3人共同じ絵本の影響を受けていたようだ。

「ま、まあ仕方ないわ。本題の竜香について話しましょう。」

「あっ、少しでしたら用意できますけど。」

「もったいないからほんの少しでいいわよ。」

「いらないわ。」

「「「えっ?」」」

 3人の驚きがシンクロし、アンヘラの顔をまじまじと見た。
 どう考えてもあり得ない発言だったからだ。

「何を驚いているのかしら?」

「だって……」

「ケモノビトの国、山猫国だったかしら。私が治めてあげるわ・」

「「「えっ!」」」

 また3人の声が重なる。

「ネコ系の部族が勝手にまとまる訳ないでしょ。私なら統治できるわよ。」

「皇帝陛下はどうされるんですか?」

「あの人は放っておいてもいいわよ。」

「悪くはないわね。この女なら、竜香の増産は確実だろうし、ガーランドも呑み込めそうよね。」


【あとがき】
 高市首相が米空母「ジョージワシントン」でスピーチしたときの服装が、トップガンでヒロインを演じた女優と同じ服装だった。
 マジですか!
https://www.youtube.com/shorts/O__LJAblp0g

 トップガンの正式名称は、「アメリカ海軍戦闘機兵器学校」。
 もしかして、拳を突き上げて一回転してみせたのもそれをアピールしたかった?
 本家であるジョージワシントンの船員がこれを知ったら、ぶっ飛びそうw。
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