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第十章
第173話 探査の魔道具
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レイミは夜になって一人で抜け出し、イエティブを見つけ出してそれを認識した。
そして瞬間移動で戻り、レイミは半径3kmを探査する魔法陣を書き出した。
探査対象はイエティブで、範囲内に対象がいれば2枚の金属板を振動させてビービーという音を発生させる。
翌朝、レイミはカグラに説明する。
「まず、スキル”共有”で、知識を共有しましょう。…………完了です。」
「スキル魔石っていうのも便利なものですね。」
「ついでに魔法陣を覚えてください。魔法言語の知識と魔法陣の構成が分かれば、夕べ作ったこの魔道具だっていくらでも量産できますから。」
「……うっ、こんな方法で魔法を発現できるなんて……」
「今回は”探査”という魔法を魔法陣に書き起こし、誰でも使えるようにしてあります。」
「……なるほど。魔法を言語化して、対象や探査結果をこうやって表現したのですね。」
「クズ魔石をセットして、自動で3分起きに発動させますので、特に村の外へ出る時に持ち歩いてもらえれば、イエティブに不意打ちされることはなくなるハズです。」
「素晴らしいです。早速数を作って、羊飼いや猟師に持たせましょう。
「それと、こちらも一緒に持ち歩いて貰ってください。」
「こっちの方は何でしょう……あっ、このボタンを押して探査を10度の角度で発動するんですね。」
「ええ。イエティブが3kmの範囲にいる事が分かっても、どっちにいるのか分からないと困ってしまうでしょうから。」
「凄い、そこまで考えていただけるなんて!」
「あとは、これが氷の矢を射出する魔道具で、これは遠くを明るく照らすライトという魔道具です。」
レイミはアイスショットを試射して見せ、ライトを照らしてみせた。
「これを夜警にあたる人に持たせてください。」
「確かにこれがあれば、少人数でもイエティブを撃退できますね。」
「イエティブの行動も分からないでもないんですよ。」
「えっ?」
「滅んでしまった太古の世界でも、資源の乏しい地域では、持っているモノから奪う事が正当化されていた時期があったんです。」
「そんな……それでは、リターの残虐な行為を認めるというのですか!」
「そうは言っていません。太古の日本という国では、食料が豊富な環境にありました。そこでは、戦いは起こらなかったんです。」
「食料が豊富ならば……ですか。」
「イエティブや竜人たちが、冬の間でも食料を確保できればこのような事は起きないハズなのよ。イエティブに社会性や知性があるのかは知らないけど。」
「集団で行動しておるのじゃから、社会性はあるのだろう。夜になると村に戻ってくる事を学習しているなら、まあ、それなりの知性も持っておるん」じゃろうな。」
「もしそこに期待できるのなら、何とかしてあげたいんだけどね。」
「とはいっても、冬の間は獲物もへりますしね。」
「秋になる木の実を保存できるように教えてあげればいいと思うんだけどね。」
「確かにイエティブは雑食性みたいですし、可能ならばそれに超した事はないのですが……」
「ただ、安定した食料の確保が可能になると、今度は数が増えちゃうのよね。」
「えっ?」
「食料が確保できれば、子供の死亡率も減るでしょ。」
「うっ、確かに……」
「知性があったとしても、自分たちの将来を予測できるかどうかよね。」
「子供が増えれば、食料を増産する必要があるでしょ。例えば栗やクルミなどの植樹を行って収穫量を増やすとかよね。本当なら、麦とかの穀物を扱って欲しいんですけどね。」
「麦ですか。あれは結構手間がかかりますからね。」
「種まきに雑草対策。肥料をやって刈り取って殻を取って粉にする。イエティブにはムリだと思いますけどね。」
「お主たち、何を言っておるのじゃ。そのイエティブとやらが、そのような存在とは考えられんじゃろう。」
「ああ、俺も同感だな。集団……というか群れだな。群れで羊を追いかけまわすようなサルが農業なんぞするか!そもそも、そこまで言語が発達しているようには思えん。」
「そうなると、イエティブの生き残る道は断たれてしまいますね。」
「そんな奴等、絶滅しても問題なかろう。」
「うーん、可能性の一つなんですけどね。もしかしたらイエティブの中から理から外れた存在が誕生するかもしれない。トカゲの国を壊滅させなかったのも同じ理由なんですけど。」
「それはムリがあると思います。ヒノミコ様が以前おっしゃっていましたが、世の理を超えるには高い知能が必要だそうです。」
「でもね、仮に1000年という時間があったら、十分に知能が発達する可能性があるじゃないですか。」
「1000年先の事なんて考えられませんよ。」
「そうかな、シーさんだってババ様だって多分生きているし、私だって多分生きていると思うわ。カグラさんだって、その素質があるみたいだし、何千年……もしかしたら何万年後かもしれないじゃない。その”悪意”というのがやってくるまで。」
【あとがき】
何万年……。1億年先だと、天の川銀河とこの銀河が衝突しちゃいますよね。
さあ、どうしよう。
そして瞬間移動で戻り、レイミは半径3kmを探査する魔法陣を書き出した。
探査対象はイエティブで、範囲内に対象がいれば2枚の金属板を振動させてビービーという音を発生させる。
翌朝、レイミはカグラに説明する。
「まず、スキル”共有”で、知識を共有しましょう。…………完了です。」
「スキル魔石っていうのも便利なものですね。」
「ついでに魔法陣を覚えてください。魔法言語の知識と魔法陣の構成が分かれば、夕べ作ったこの魔道具だっていくらでも量産できますから。」
「……うっ、こんな方法で魔法を発現できるなんて……」
「今回は”探査”という魔法を魔法陣に書き起こし、誰でも使えるようにしてあります。」
「……なるほど。魔法を言語化して、対象や探査結果をこうやって表現したのですね。」
「クズ魔石をセットして、自動で3分起きに発動させますので、特に村の外へ出る時に持ち歩いてもらえれば、イエティブに不意打ちされることはなくなるハズです。」
「素晴らしいです。早速数を作って、羊飼いや猟師に持たせましょう。
「それと、こちらも一緒に持ち歩いて貰ってください。」
「こっちの方は何でしょう……あっ、このボタンを押して探査を10度の角度で発動するんですね。」
「ええ。イエティブが3kmの範囲にいる事が分かっても、どっちにいるのか分からないと困ってしまうでしょうから。」
「凄い、そこまで考えていただけるなんて!」
「あとは、これが氷の矢を射出する魔道具で、これは遠くを明るく照らすライトという魔道具です。」
レイミはアイスショットを試射して見せ、ライトを照らしてみせた。
「これを夜警にあたる人に持たせてください。」
「確かにこれがあれば、少人数でもイエティブを撃退できますね。」
「イエティブの行動も分からないでもないんですよ。」
「えっ?」
「滅んでしまった太古の世界でも、資源の乏しい地域では、持っているモノから奪う事が正当化されていた時期があったんです。」
「そんな……それでは、リターの残虐な行為を認めるというのですか!」
「そうは言っていません。太古の日本という国では、食料が豊富な環境にありました。そこでは、戦いは起こらなかったんです。」
「食料が豊富ならば……ですか。」
「イエティブや竜人たちが、冬の間でも食料を確保できればこのような事は起きないハズなのよ。イエティブに社会性や知性があるのかは知らないけど。」
「集団で行動しておるのじゃから、社会性はあるのだろう。夜になると村に戻ってくる事を学習しているなら、まあ、それなりの知性も持っておるん」じゃろうな。」
「もしそこに期待できるのなら、何とかしてあげたいんだけどね。」
「とはいっても、冬の間は獲物もへりますしね。」
「秋になる木の実を保存できるように教えてあげればいいと思うんだけどね。」
「確かにイエティブは雑食性みたいですし、可能ならばそれに超した事はないのですが……」
「ただ、安定した食料の確保が可能になると、今度は数が増えちゃうのよね。」
「えっ?」
「食料が確保できれば、子供の死亡率も減るでしょ。」
「うっ、確かに……」
「知性があったとしても、自分たちの将来を予測できるかどうかよね。」
「子供が増えれば、食料を増産する必要があるでしょ。例えば栗やクルミなどの植樹を行って収穫量を増やすとかよね。本当なら、麦とかの穀物を扱って欲しいんですけどね。」
「麦ですか。あれは結構手間がかかりますからね。」
「種まきに雑草対策。肥料をやって刈り取って殻を取って粉にする。イエティブにはムリだと思いますけどね。」
「お主たち、何を言っておるのじゃ。そのイエティブとやらが、そのような存在とは考えられんじゃろう。」
「ああ、俺も同感だな。集団……というか群れだな。群れで羊を追いかけまわすようなサルが農業なんぞするか!そもそも、そこまで言語が発達しているようには思えん。」
「そうなると、イエティブの生き残る道は断たれてしまいますね。」
「そんな奴等、絶滅しても問題なかろう。」
「うーん、可能性の一つなんですけどね。もしかしたらイエティブの中から理から外れた存在が誕生するかもしれない。トカゲの国を壊滅させなかったのも同じ理由なんですけど。」
「それはムリがあると思います。ヒノミコ様が以前おっしゃっていましたが、世の理を超えるには高い知能が必要だそうです。」
「でもね、仮に1000年という時間があったら、十分に知能が発達する可能性があるじゃないですか。」
「1000年先の事なんて考えられませんよ。」
「そうかな、シーさんだってババ様だって多分生きているし、私だって多分生きていると思うわ。カグラさんだって、その素質があるみたいだし、何千年……もしかしたら何万年後かもしれないじゃない。その”悪意”というのがやってくるまで。」
【あとがき】
何万年……。1億年先だと、天の川銀河とこの銀河が衝突しちゃいますよね。
さあ、どうしよう。
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