点検口をあけるとそこは異世界だった

モモん

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第一章 異国

禁書

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「サッ、サワタリ殿とは知らず、ご無礼いたしました」

「そういうの要らないから、さっきの質問に答えてよ」

「はっ、はい。
こちらの魔導士ジムザが古い文献より召喚術を復活いたしました」

「ジムザさんか……
白龍さんの仇だったよね。
他に術を使える人は?」

「残念ながら、某が死ねばこの知識は途絶えるしかありません」

「記録には残していないの?」

「複雑な呪文ゆえに書き残すこともできません」

「ふうん。
その古い文献ってのを見せてもらえるかな?」

「かまいませぬが、古代文字を理解していないと……」

「ああ、優秀なスタッフがいるから大丈夫だと思うよ」

すでにスマホでTV会議をつなげてある。
ジムザの執務室へ移動し、書棚を確認する。

「これらの文献から、少しづつ手掛かりを集め完成させた呪文でございます」

棚には古そうな本が50冊ほど詰め込まれていた。

「ジムザ……これは……禁書庫の……」

「ええ、王様から閲覧許可はいただいております」

「ジムザ! 持ち出しを許可した覚えはないぞ!」

「ですが、読める者がほかにおりませんし、それこそ昼夜を問わず読み解いた次第です。
事後になりますが、ご容認を」

『マスター、一番下の左から3冊目。薄いやつを見せてください』

「うぉっ、板がしゃべったぞ!」

「ふん、魔法による遠隔通話でしょ。 驚くほどの事はありませんよ。
それに、薄いだけで読みやすいとは思わないことです。
私ですら、ごく一部の単語を確認できただけで……」

『魔法大全、……のインデックスですね。
文字は、古代エクリア語に似ていますから、だいたいイメージは掴めます。
魔法陣に使われる記号を盛り込んであるため、普通に読もうとしても無理でしょうね。
ふむ、マスター一式送ってくださいな』

「王よ、かまわぬな?」

「はい!……いやしかし……えっ、消えた……」

スマホのアプリで書庫へ収納しただけだ。
はい という肯定の時点で送ったから問題ない。

「インデックス……魔法陣の記号……そんな……」

ジムザさんは、簡単に読み解かれた事で混乱しているようだ。

「ねえ、ジムザさん。
書棚の後ろから三冊ばかり出てきたけど、これって何?」

「いや、その……、紛失したと思っていましたが、そんなところに……」

「ラン、資料追加だよ。
ところで、さっきの古代ナントカ語って知識なんだが、サワタリの知識……じゃないよな」

『……』

「お願いだよ……ラン、頭ン中 勝手に覗くのはやめようよ」

『……努力します……』

「努力かい!」

『ところでマスター、他にも同じ類の文献があるはずです。
危ない部分もありますので、全部回収してください』

「危ないって、どの程度?」

『対策しておかないと、そちらの世界が滅ぶくらいの脅威です』

「……滅ぶ……この世界が……」

「聞いたとおりです。
国王、案内してください」

「国王陛下、お待ちください!
それほど貴重な文献を簡単に手放す訳にはいきません」

「うむ、それもそうか……」

「あー、宰相さん、あんた勘違いしてるよ。
四龍を殺し、管理者ナオを拘束、辱めた時点であんたたちは終わってるんだぜ。
今選択できるのは、交渉ではなくてどれだけ貢献できるかってこと」

「サワタリ殿、その男はこれ以上使い道がないであろうよ。
邪魔されるよりは、始末したほうが良いと思うが……」

「ああ、そうだね。 ナオに任せるよ」

「ふむ、では黒龍の石化ブレスを軽くかけて、じんわりと石化してもらおうかな。
おっと、煩いのは嫌だから、音は封じておきましょう」

黒龍が軽く息を吹きかけると、宰相は足元から石化していった。

「ああ、あれは苦しそうだ ねっ、国王さん」

そのあとは抵抗もなく禁書庫へ案内され、蔵書を回収できた。
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