点検口をあけるとそこは異世界だった

モモん

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第二章 国交

脅威は……

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「では、魔法技師コースの訓練を始めます。
講師のリンですの。よろしくお願いしますわ」

「「「お願いします」」」

「一か月しかありませんから、具体的に有効そうな魔法を考えていきましょうか。
魔導戦車と竜騎士と魔獣部隊だと言われましたから、相手の攻撃を想定していきましょう……
といきたいところですが、すでに国防局で情報収集と分析は済んでいるそうです。
こちらは、国防局のテロ君とスパイさんです。もちろん偽名ですし変装されています。
では、お願いします」

「はい、テロです。
普段は敵国に潜入していますので、本名と素顔はご容赦くださいね。
では、私から魔導戦車についてご説明します」

 魔導戦車というのは、単に鉄の箱に車輪がついただけのものらしい。
その中に、魔法師が5人から10人乗り込み、攻撃と防御をおこなう。
戦場までは馬でけん引し、戦場では魔法だけで動かすようだ。

 とはいっても、動力はなく風魔法なんかで動かせる重量ではない。
実質下り坂でないと動かないらしい。
そのため、事前に土魔法でルートを作っておくのだという。

「なんだか鉄の棺桶のような気もしますが、攻撃魔法は一通り使ってきそうですね」

「先生、それって落とし穴とか、こっちも土魔法で上り坂にしちゃえばよくないですか?」

「そこまでしなくても、大きめの岩を目の前に落とせば終わりだと思います」

「そうですね。今リンさんが言われたように、戦車自体は融通の利かない棺桶同然です。
ですが、中に入れられた魔法師はたまったものじゃない。死に物狂いで攻撃してきます」

「だよな。最前線に追いやられた魔法師は魔力切れになるまで抵抗するにきまってる」

「接近されたら苦戦は必至という事ですね。
他になければ竜騎士隊の情報をお願いします」

「竜騎士隊というのは、2部門あります。
ゲータリアというオオトカゲ種を使った地上部隊とワイバーン種を使った飛竜部隊です。
飛竜部隊は10頭のワイバーンで構成されていますが、防空の要であり、はたして城を離れて参戦するかは定かでありません。
と言いますのも、あの巨体ですから長距離の飛行には向いていません。
従って、参戦するのであれば前日に移動し、闘って、翌日帰還となります。
ワイバーン自体が希少種で、万一損傷した場合の補充が難しく、実際に使役レベルにするには最低3年かかります。
かの国が、そこまでのリスクを冒してくるかどうかですね。
一方で、地竜部隊ですが、こちらはコントロール不可能。実際には野生の群をエサで誘導して敵軍にぶつけるもので、長距離移動は実質不可能と考えられます。
具体的な戦略としては、群に相手を誘導してからでないと機能しません」

「ワイバーンが参戦してくるかどうかという事ですか」

「そうなります」

「ワイバーンには、騎士が乗ってくるということですよね」

「騎士といっても、鎧などを装備したらワイバーンの負担が増えますので、革製の軽鎧です。
ブレスがありますが、射程10mほどで、そこまで脅威にはなりません。
羽ばたきの上下動が激しいので、騎手は弓も使えず、魔法師が主となります。
ただ、皮膚が堅く、矢は通りません。従って、戦略としては敵の上空を飛び越して、後方に魔法師を送り込む作戦となります」

「えっと、俺達の後ろは城ですよね」

「ええ、ですから防空の要と申し上げました。
城攻めであれば、直接城に乗り込むという事もありますが……」

「石のようなものを掴んで落とすってのは?」

「エサ以外を運ぶのは嫌がりますね。単発はあるかも知れませんが、二度三度はやりません」

「では、最後に魔獣部隊ですね。スパイさんお願いします」

「はい、魔獣というのはライオンやトラなどの大型ネコ科の猛獣を使役する部隊で、総勢50頭50名の猛獣使いで構成されています。
主に夜間戦闘や森林地帯で威力を発揮する部隊です。以上」

「えっ?」

「今回のように、昼間の平地で使われる部隊ではありません。以上です」

「どういう事かな?」

「考えてみてください。
このような平地で、たかだか50頭のライオンやトラが攻めてきたらどうしますか?」

「まあ、弓で迎え撃つか、炎で焼き払うか……」

「氷でもいいし、電気なんか使ったら、それこそキャンキャンいって逃げていきますよ。
どこかのボンクラ王子が、勢いで口走っただけです。
クツル王国で脅威なのは、むしろノーマルの戦力であり、その量です。
本気で来るなら、兵士5000は余裕で投入してくるでしょう。戦士3000、支援魔法師1000,攻撃系魔法師1000が最低ラインです」

「そっちの方が面白くなりそうじゃん」
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