稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅲ章 アルトハイン

ホーリーライトの塔

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「五つの町に3灯ずつ大型のホーリーライトを用意してあります。
それに村のために各町に5灯の中型のものを提供いたします」

「大型を15と中型25ですか……
それで金貨1万枚ですむとは到底思えません」

「それだけじゃないぜ。
この携帯用の小型を30個ていきょうしてもらった。
ほら、アニキにも一つ。
ギルドと兵舎にも一つだ」

「それでは、ちょっとした属性武器と同じくらいの価格になってしまう……」

「お金の問題ではありません。
人々が安心して暮らせる環境を提供することが目的ですから。
でも、これを政治の道具にしないでください。
あくまでも平等にお願いします」

「ああ、やはり聖女様だ……
これだけのものを、惜しげもなく……」

「では、早速設置いたしましょう。
3か所はどこにしましょう」

「すぐに職人を手配いたしますので、少しゆっくりしていてください」

「それには及びません。
従魔たちが土魔法を使えますので、塔を立てさせますから」

「土魔法で塔ですか……」

「ご心配なく。石のような塔を作らせますから」



ミーちゃんにホーリーライトを固定する台座を作ってもらい、それを8mの塔のてっぺんに設置してもらいます。

「お願い」

「ミー」 ズンズンズン!

「「「おお!」」」

「こ、これが土魔法で作れるなんて……」

「そうだ、アニキ。
シュートリアの王都からここまで、この石のような道が完成したんだ」

「なに!」

「途中には橋も作ってあるから、ほぼ一本道だ。
馬車で3日もあれば行き来できるぜ」

「3日だと!」

「これからは、シュートリアとアルトハインで、交易を始められればいいなと思っています。
ダイトウはその窓口になりますので、ご協力をお願いできませんか」

「願ってもないことです。
そのようなことまで考えておられたとは……」

「ああ。シーリアはとンでもないことを考え出して、それを平然と実現してしまうんだ。
とんでもねえ娘だよ」

「国のためではなく、人のためと考えればいいのだろうな。
凡人である我々には及びもつかない考えだよ」

「さてと、じゃあ晩飯の準備にかかろうか」

「はい」

「ちょっと待て。
歓待するのは我々だぞ」

「まあ、シーリアに任せておけよ。
食べ物でアニキを篭絡しようって準備してきたんだとさ」

「もう、十分だろう。
これ以上何を……」

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