稀代の魔物使い

モモん

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第Ⅵ章 南の大地

フルーツがいっぱい

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「ああ……、あなたは確かに女神さまなのかもしれませんね」

「よしてください。ただの魔物使いです。
その女神さまというのは、いったい何なんでしょう?」

「女神神話というよりも、我が国に伝わる預言書の一節なのです。
『長き戦により国が混沌とする中、白き衣を纏いし女神がこの地に降り立つものなり。
純白の獅子に導かれた女神は、敵に組する空飛ぶ竜を諫め戦を終わらせるであろう』
たしか、こんな内容だったはずです」

「えっと……、戦は終わってませんよね……」

「いえ、ワイバーン部隊が壊滅したとなれば、物資の輸送や兵士の移動に時間がかかります。
それに、こちらも対ワイバーンの戦力を地上戦に集中できますので、戦は終わったも同然なのです」

「でも、確認はしてませんので、対ワイバーンの備えは必要だと思いますよ」

「我々も、敵の前線基地が撤退したので、変だなと思ってはいたのですよ。
なあに、王女がいないというだけで敵の士気はガクンと落ちますから同じこと。
この戦、われらに勝利の女神が微笑んだとみて間違いありません」

「はあ……。
念のために、ラトランドまで飛んで確認してきますよ」

「おお、女神さま、よろしくお願いします」

「やめてくださいね。
今度女神だなんておっしゃったら、国に帰りますからね」

「いや、申し訳ない。
戦の勝利が見えたもので、つい興奮してしまいました」



ラトランドの王都までは、およそ500kmほどだというので、片道2時間程度。
明日の朝一番で出発することにして、この日は領主邸に宿泊することになった。

シーリアとしても、他国の料理には興味があるのだ。

ダイバーン王国は南国らしくフルーツが豊富であった。
食卓にもフルーツを使った料理が並ぶ。

「この黄色いのは?」

「パイナップルというフルーツですよ。
こうして、イノシン肉と一緒に焼くと酸味と甘味がマッチしておいしいでしょ。
赤いパプリカや緑のブロッコリーを合わせると、彩もきれいですしね」

「美味しいです。
シュトーリアニはない野菜ですね。彩が素晴らしいです。
これは、燻製肉ですか?」

「ハムという調理方法で、燻製だけでなく仕上げに茹でるんですよ」

「中のフルーツは?」

「メロンです。酸味はなくてこの甘さとハムの塩加減がいいでしょ」

「いい組み合わせですね。とても美味しいです。
やっぱり来てよかったです。
こんなに美味しい食材に巡り合えるなんて幸せです」
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