ダンジョンヘルパー

モモん

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身に覚えはない

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この部屋とは別に、俺はアパートを借りている。
職業柄、気持ちの切り替えが必要なのだ。

普段はシャワーを浴びて着替え、アパートに帰るのだが今日は無理そうだ。

「なんでこうなったのか、説明してくれるかな?
王族として承認されるためにEX討伐が必要なのは理解している。
それ以外のことを教えてくれ」

「はい。
全ては私がEXを侮っていた事に起因いたします」

「姫様!それは違います!
くだらない挑発に乗って、3人でのEX討伐を提案したのは私です」

「ああ、そういうのは要らないから、事実だけ頼むよ」

リザードマンを数体倒したところで、EXの奇襲を受けたこと。
結界師兼治療役の一人が殺されたところで、ヘルパーへの自動要請がかかる。
ナシカが倒れたところへ俺が駆け付けた。
そして、俺が妙な仏心を出して、EX討伐を手助けしてしまったところから事態が転がる。

「王族承認儀式中に得たEXの魔石は、王位継承者の証です。
歴代の王の中でも前例は1度しかなく、普通は継承権どおりに王が継承されています」

「ほう、フェスタが次期王様って訳か、よかったじゃねえか」

「よくありません!
私は・・・王になどなりたくありません。
王に相応しいのはロッド兄さま・・・」

「ブラコンか?」
俺は唇の動きでナシカに問いかけ、ナシカは肯定した。

「この魔石による王位継承には、いくつかの付帯条項があります」

ナシカが先を続けた。

「どうせ、助力した相手を伴侶にしろとかいうんだろ。
却下だ」

「ヘルパー様には王族の理など影響しませんからね。
そうおっしゃるだろうとは思っていました」

「よし、じゃあ寝るから・・・」

「まだ、続きがあります」

「眠たい・・・」

「90日の間に、資格者の中で赤い魔石を手にした者が現れた場合、魔石の大きさでどちらが選ばれたのか判定されます。
また、その間に、対象者が死亡した場合は無効となります」

「えっと・・・確認するけど、資格者って?」

「王位継承権のない貴族や、公益職に就く者などです。犯罪歴がなく、正しい心を持った者と解釈されています。
ヘルパー様など、最たる候補者といえます」

「・・・そう・・・
対象者の死亡って、フェスタと・・・」

「サブロー様が亡くなられた場合は、伴侶を選びなおすことになりますが、今回の場合、フェスタ様がここに居られなくなる事の方が重大ですね」

「それって、辞退できないの?」

「女神さまの神託と同等とお考え下さい」


「とりあえず、眠らせて・・・って、なんで三人とも脱ぎだすの?」

「女の裸はお嫌いですか?
そんなはずありませんよね。
せりカの写真集をお持ちなんですから」

やばい、核心を突かれた・・・
待てよ・・・あの写真集は、この部屋ではなく、アパートにあるはず・・・

焦るな、動揺を見せるな!

「なんでそれを・・・」

「ご安心ください。
アパートから必要そうなものは運び出してあります。
監視が張り付いており、すべては無理でしたが、趣味・趣向がバレそうなものはそちらの段ボールに入っております。
私のような胸のない女でも需要があると分かり安心いたしました」

「・・・そ、そう、ありがと・・・」

「それから、行きつけのメイドカフェとか、飲食店。風俗店などは、すべて敵対者の手が伸びているとお考え下さい」

「・・・それって、近衛さんの共有情報?」

「当然です」

「最後にもう一つ・・・
セリカ・・・っさんは、どっちが本職なの?」

「ウフッ、ご主人様の意のままに」

半裸の乳房がプルンと揺れた。
まさかと思ったが、本人だった。
しかも、もうダンジョンの外に俺の居場所はない・・・ってことかよ。

「写真集ご使用の頻度からセリカを呼びましたが、まだ何人か近衛の本がございました。
追加も可能ですので、ご要望くださいませ」

「いえ、生セリカさんだけで十分です・・・添い寝は必要ありませんから・・・おやすみなさい」

「サブロー様は、私たちに不眠をお求めなのですね。わかりましたわ・・・」

「あっ・・・では、せめて何か着てください・・・」

疲れ切っていた。早く寝たい・・・もう、どうでもいい・・・

ムニュとか感じる間もなく寝た。


ダンジョンヘルパーは2交代だ。
24時間勤務で、24時間の休み。それだけの体力も付与されている。
寝るときは15時間から20時間くらい寝る。
朝5時、目覚めは爽快だった。
右腕のムニュンはフェスタで、セリカさんはメイド姿でキッチンにいた。

ナシカは出かけているようだ。

「おはようございます、ご主人様」

「あっ、おはようございます」

「いま朝食をお持ちしますから」

全国のセリカさんファンよ。羨むがいい。
セリカさん手作りの味噌汁だ。だし巻き卵だ。煮物だぞ。

至福のひと時だった。

勤務中に戻った時にも、余計なことは言わずお茶だけ煎れてくれたりする。
ナシカもメイドとして完ぺきだった。
フェスタはそれなりだったが、相変わらずプルルンだった。

初日のように、目立って俺狙いの襲撃はなかったし、パーティーの多人数化で要救助が激増することはなかったが、それでも部屋に帰る時間はほとんどなくなった。
このような状況が20日も続くと、ヘルパーにも余裕がなくなり、ついに負傷者が発生する。
俺だけは、充実した毎日を送っていたのだが・・・

国は事態を重く見てダンジョンの入場制限に踏み切った。
だが、これが悪手で逆に情報が広まってしまった。
つまり、誰でも魔石を入手すれば、王になるチャンスがあると・・・

人々は王城とダンジョンに押し掛けた。自分たちにもチャンスを与えろと。

その日、俺は勤務だった。
緊迫した世間の情報など知りもせず、一日中飛び回っていたのだ。



「この事態を収拾できる方法は・・・ほかにありませんよね」

「ですが姫様、せめてサブロー様にご相談されては・・・」

「いえ、決心が鈍るだけでしょう。
サブローにもどうにもできません」

「楽しい20日間でございましたね」

「ええ、寝ているうちに我らに抱かれたと伝えられぬのは残念ですが、仕方ありませんね」

「では、まいりましょうか」


『サブロー、緊急事態だ。
リミッターを解除するから至急戻れ』

『了解。
ちょうどC・C・Dの救助が終わったところだから強制転移で一緒に戻る』


事務所へ戻ると婆さんが三人の状況を告げてきた。

「嬢ちゃん達3人が城のバルコニーから飛び降りた。」

「へっ、なんで?」

「姫様が死ねば、王位継承問題は白紙に戻る。
そう訴えて自殺を選んだじゃ。
急げ、もう大分時が経ってしまった」

転移で現場へ行くと、大勢が遺体を囲んでいた。

「どけ!」

「サブロー!なんで部屋から出した」

「うるさい!邪魔するな!」

3人の遺体を抱いて事務所へ転移する。

「蘇生器の空きは2つじゃ。
誰を残すか決めるんじゃ」

「セリカさんは俺が助けるから、二人を頼む」

「分かった」

王女、貧乳、関係ない。
セリカさんに何百回お世話になったと思ってるんだ。
・・・写真集にだけど・・・

セリカさんを背負い、地下298階層へ一気に転移する。

そこは魔王の居室だ。

「ぐへへ、よくぞここまで・・・」

「うるさい!」

魔王も手下も一撃で切り捨てる。
ヘルパーは全員ここをクリアしているのだ。
玉座の後ろに隠された階段を駆け下りる。

「サブローではないか、久しいな」

「女神ちゃん、言ったよな。
最愛の者を失った時、もう一度ここへ来いと」

「ああ、だが代償はダンジョンでの終身雇用じゃぞ」

「かまわない。セリカさんを助けてくれ」

「ふむ・・・じゃが、その女は受精しておるぞ。
サブローだけの終身雇用ではむつかしいのう・・・」

「へっ、受精って?」

「ぬしの子に決まっておろうが!
乙女3名を手にかけながら・・・いや待て・・・ぬしは20日もの間、寝ている隙に犯られたのか・・・」

「えっ?3人?20日・・・ヤラレタ?乙女?」

「ああ、3人とも生娘じゃった、間違いなくぬしの子供じゃ」

「えっ、セリカさん達の初めて・・・俺、寝てたの・・・」

「仕方ないのう、おトメさんも限界じゃから代替わりが必要だし、まあ女3人とも終身雇用じゃな」

「わかんないけど、セリカさんが助かるならそれでいい・・・」


こうして俺は3人の命と引き換えに、終身ヘルパーとしてダンジョンに縛られることとなった。
フェスタの命を懸けた訴えは国民の心に届き、暴動もなく平常に戻っている。
90日後の裁定で俺は王に選ばれたが、運営はロッドに一任してある。
セリカさんのお腹はまだ目立っていないが、エッチはお預け状態だ。
その分、二人へのご奉仕が続いている。

「サブロー、仕事だよ!」ナシカからの指示が入る。
俺は2交代制から外れ、常時勤務となった。
勤務時間は18時間・・・誰か・・・助けて・・・

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