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第一章 夜逃げ

そのメイド-和菓子屋へいく

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ルームウェアの方は、ゴムひもが間に合いました。
赤や青や緑、様々な色のものが売り出され、あっという間に広まっていきます。
最初は、本当に室内専用として着られていたようですが、次第に買い物やお隣に行く程度はそのまま出るようになり、抵抗感なく着られるようになっていきました。
子供はまったく平気ですが、男性は多少抵抗があったようです。

特に、女性用に関しては、スポーツブラもセットということもあり、2着3着と持つようになります。
和装と違って、胸を協調できるのも大きな特徴です。

ピーラーもものすごい勢いで売れていきます。
なんといっても楽ですからね。

道場の食事も親子丼・かつ丼・鳥そぼろ丼。肉野菜炒めにレバニラ炒め、みんな好評です。
ちょっと面倒ですけど、餃子とシュウマイも作りました。
オイスターソースやコンソメとかあれば、もっとレパートリーが広がるんですけど、ないものは仕方ありません。
それでも、既存の魚料理とあわせて、一か月は重ならないメニューができました。

こんなもんかなと思いましたが、考えてみたら生乳があるんですからバターだって作れます。
絞った生乳を一日くらい寝かせておくとクリームと牛乳に分離します。
このクリームだけを掬い取って、シェイク!ひたすらシェイクするとバターができます。

このバターを使ってステーキを焼いたり、クレープを焼きます。
ヒラメのバター焼きや、ほうれん草バターもいいですよね。

あとは、クリームに砂糖を入れてホイップします。
うん、これは誰かにレシピを譲って作らせた方が楽ちんですね。
八百肉さんの2軒隣が和菓子屋さんで、羊羹とか饅頭とかを扱っています。
そこにクレープとプリンを持ち込みます。

「な、なんですかこの味は!」

「作って売りたいですよね、ねっ」

交渉成立です。
いえ、決して押し付けたわけじゃないですよ。

プリンは翌日から販売開始。
売り文句は「マルコ監修、とろける極上のプリン」だそうです。

ルームウェアや八百肉さんの関係で、女性の間では”マルコ”ブランドというものが通用するらしいです。

なぜか、試食もしていないのに100個作ったプリンが30分で完売したそうです。
当然、ここも増員されて、翌日には300個売り出したのですが、開店前から長い行列ができていました。

三日後にはクレープを販売します。
イチゴとナシとモモのクレープです。

購入は、どちらか片方だけで5個以内という制限を設けたにもかかわらず、あっという間に完売です。
道場の分は、別枠で20個づつ作ってもらいますからうちは問題ありません。

ところがです。
領主とかいう人から、お呼び出しがかかってしまったそうです。

「えっ、私もですか…」

近江屋さんと八百肉さん、それから和菓子の亀吉さんと私もだそうです。
面倒ごとしか思い浮かびません。
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