短編集【令嬢の憂鬱】

モモん

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領地運営はアルバイトにお任せ

ネネちゃんを仲間にした

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でも、納税の馬車が出発する朝、アスカがナニゲに鑑定したら金貨3000枚って表示されて、これって王都でならこういう値段が付くって事よね。
王都に連れて行ったら、案の定お姫様の目にとまっちゃって、3匹で金貨一万枚……ドナドナしちゃいました。

「ねえ、保健所でイヌ・ネコの譲渡会ってやってなかった?」

「でも、あれって親の同意がないと貰えないよ」

「それって、セバスチャンかメリーでいけるよね。
親の保健証を持ち出せばOK。
でも、確かイヌって市役所の登録が必要だよ。
ネコは意外とフリーだったはず」

「増やすんなら、ハムスター。手間もかからないし、タダであげるって友達も何人かいるよ」

「これは情報収集が必要ね。
誰か、サポーターを頼めないかな」



「調べたんだけど、室内飼のネコは20年生きるってさ。
外だと病気なんかで5年くらい」

「よし、ネコ部屋を作って繁殖させよう。
王都からお茶会だって貴族を招いてネコ部屋に連れて行って抱かせる」

「抱かせるって……、援助交際みたいな響きだからやめようよ」

「だけど、当面の財政難は乗り切れるわね。
ハムスターも別の小屋を造りましょう」

「こんな時こそ、不登校のネネちゃんだよ。
あの子、ネコを5匹くらい飼ってたはず」



ネネちゃんを騙して……、いえ、ちゃんと説明して協力してもらいます。

「譲渡会の場合、去勢済みか、受け取った後で去勢手術をした証明書の提出が必要なのよ。
繁殖目的なら、知り合いから譲ってもらうか、ペットショップでの購入ね。
ああ、子猫の場合は、確約書の提出で済む場合もあるけど、どっちにしても未成年にはハードルが高いわよ。
うちの子も去勢済みだから繁殖は無理ね。
ペットショップでも、売れ残った子は値引きしてくれるから、繁殖ならそっちのほうがいいんじゃない」

「でも、猫って20万くらいするよね」

「安い子は10万以下でも買えるわよ。
あとは野良猫を確保するって方法もあるけど、こっちの世界に病気を持ち込む可能性があるわ。
人間にはうつらないけど、猫エイズや白血病の可能性があるの。
そのリスクを考えるなら、買ったほうがいいわよ

「10万を10匹で100万。金貨20枚か……。その前に換金できるところを探さないとね」

「金はあるの?」

「うん。私たち一応領主だからさ。
予算を使うこともできるんだよね」

「金の換金ルートなら確保済みでございます」

「ホントなのセバスチャン!」

「はい、日本円のほうがよろしければ、アルバイト代も日本円でお渡しできますが」

「もう、早く言ってよ。それで、アルバイトの増員は何人までOK?」

「先日の子猫の収入がありましたので、5人までとしておきましょうか」

「ちょっと待って。この間の経理役の代わりも必要よね。
その分の人件費を考えれば、あと3~4人はいけるんじゃない?」

「では、経理役込みで10人までとしましょう」

「やった。ネネちゃん、協力してもらえるかな」

「収益をあげたら、バイト代増額してくれる?」

「勿論でございます」

「学校辞めるつもりだったから、バイト探してたんだ。
こっちも助かる」

「でしたら、雇用でも結構ですよ。
日本にダミー会社を作りましたから、正式な雇用契約書も作れます」

「あっ、それいいな。やりたいことができたからって、親も説得できるし」

「では、新規事業の責任者として採用させていただきます」

「ネコの仕入れとこっちでの繁殖でいいんだよね。予算枠は?」

「そうですね。今のお話を聞きますと、当面は日本円で300万円。
それ以上は個別に判断しましょう」

一週間後、ネネちゃんは学校を辞め、こっちの仕事に専任することになりました。
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