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ガラポンと少女
第3話 川砂利錬金
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「確かに、チタンというのは知られていない新しい金属だと思う。しかし、なぜお前がそんなものを知っているのだ?……いや、そうか。お前の祖父が発見して、お前に教えたのだな!」
「違うよ。私が見つけてお爺さんに教えてあげたんだ。」
「バカな。なぜ7才の子供がそのようなものを見つけられるのだ……。宮廷錬金術師ですら知らない金属なのだぞ。」
「えっと、どう思ってもいいですけど、チタンは1000度くらいに加熱すると青くなってキレイなんですよ。」
「くっ、何でそんな事を知っているのだ。」
「自分で見つけた金属は、色々と条件を変えて試しているんですよ。」
「そ、そんなのは、宮廷錬金術師の仕事であって、子供がやる事ではない!」
「はいはい。何とでも言ってください。」
「ルード君、サヤカ君の使う錬成の術は凄いんだぞ。あれが出来るのであれば、それだけで実技試験は合格できるだろう。そうだ、明日は野外学習にして君にも見せてやろう。僕もあの術を覚えてサヤカ君と同じだけ金属を知っておきたいしね。」
先生からそのように指示をされて、翌日は近くの川に出かけた。
護衛に騎士が二人ついてくる。
まあ、王子の外出ならば当然か……
騎士たちが周辺の安全を確認して、私たちは川岸に出る。
この辺りは中流域になり、川幅も10mくらいあった。
岸の殆どは土だったが、流れが曲がっている場所や川底は砂利だった。
ズボンの裾をまくりあげ、少し流れの中に入って川底の砂利をさらう。
先生と殿下も同じように砂利を集めている。
岸に戻った私は、砂利を集めた麻布を地面に広げた。
「最初は水分を抜きます。砂利全体を魔力で包んで水だけを分離します。」
「ふむ……全体に魔力を流して成分を把握して、水だけを……いや、意外と難しいねコレ。」
「くっ……」
「殿下、一点に集中するのではなく、全体を柔らかく魔力で包む感じです。」
「いや、僕たちが普段やるのは、知っている金属の成分を足がかりにして、そこから魔力を広げていく感じだからね。こ、こうか。」
「むぅ……」
「殿下、力みすぎです。もっと優しく魔力を広げてください。」
それから結構な時間をかけて先生は水を分離したが、王子は魔力を使いすぎて疲れ切ってしまった。
私たちが取り組んでいる間に、騎士たちは大きな麻布5枚に砂利を詰め込んでいる。
私は、その分も水抜きをしていた。
「よし、後は研究室に戻って続けようじゃないか。サヤカ君、ルード君の砂利も水抜きをしてくれ。」
「はい、先生。」
秋口とはいえ、まだ風は暖かい。
赤とんぼが風に舞う中、私たちを乗せた馬車は城に戻っていった。
「それで、サヤカ君はどうやってあれほどの魔力操作を身につけたのかね?」
「えっと、2年前に魔力を授かって、最初はお爺ちゃんから身体の中を循環させる魔力操作を教わって、そしたら魔力の流れたところが活性化するのが分かったんで、全身に魔力を巡らせるようにしたんです。」
「ほう、身体中に魔力を……」
「一年間はそればっかりやっていました。それからポーション作りを教わってから、金属錬成の基礎を教わって川に行くようになって、夜は分離した金属を使って合金を作ったりしてました。」
「なるほどね、1年間は魔力操作だけをやって、それからプラントとメタル両方の指導を受けたのか。ルード君、錬金術師のジョブを受けて半年の君じゃあ太刀打ちできないよねぇ。」
「くっ……、ですが私には錬成のスキルがあります。」
「だが、先ほど採ってきたこの5袋の砂利を使って剣を錬成しろと言われたら、お前は剣を錬成する手前で断念する事になるのだぞ。」
「それなら、私は自前の鉄を使います。」
「あっ、それ面白そうですね。やってみたいです。」
「なにぃ!」
「あっ、殿下と勝負じゃないですよ。この砂利を使って、これまでに調べてきた一番切れ味の良いナイフを1本作ってみたいなって思ったんです。もちろん不錆鉄(ステンレス)ですよ。」
「な、何だそのステンとかいうのは?」
「ああ、レブロ師の言われていた合金だな。確か鉄に10%程のクロムという金属を加えるとか。」
「はい。これまでに試してきた中で、切れ味が良くて錆びない配合はクロム13%に炭素が0.3%。あとはマンガンやニッケルを微量加えたものになります。これだけの砂利があれば、ナイフ1本分の素材は集まると思います。」
「よし、じゃあ、砂利の成分分離ができたら、それも見せてもらおうじゃないか。」
「いいんですか?」
「勿論だよ。ルード君だって合金の配合比率なんてワクワクしちゃうだろ。」
「で、ですが、師匠はこんな小娘の妄言を本気にしてるんですか!」
「妄言かどうかは、実際に作ってもらえば分かる事さ。検証ができたら、サヤカ君の名前で宮廷錬金術師の皆に紹介する。新発見の金属素材と一緒にね。」
「そんな!見習いが実名で研究結果の報告など聞いたことがありません!」
「サヤカ君の研究成果は、皆で共有する事で宮廷錬金術師団の資産となるのだよ。これを公表しない事こそ損失といえる。そして、その先はルード君との共同研究だね。昨日聞いたブルーチタンのレイピアを作ってもらおうじゃないか。」
「ブ、ブルーチタンのレイピア……」
「素材が集められるかは分からないけど、見てみたいじゃないか。昨日見せてもらったブルーのチタンは美しかった。」
「それは……確かに……」
「君とサヤカ君の連名で、それを陛下に献上する。」
「あっ……」
「それが、公式の場で国民にお披露目されるところを想像して見たまえ。」
「震えそうですね……」
「それまでにルード君は国家錬金術師の資格をとって、その功績で宮廷錬金術師への推薦を勝ち取る。サヤカ君は、史上最年少で国家錬金術師の資格を得る。」
何だか、先生には妄想癖でもあるんじゃないかと疑ってしまう。
世の中はそれほど甘くないハズだ……
10日後、砂利の成分分離が完了し、その素材で私はステンレスのナイフを錬成した。
水の分離ができるようになったルード殿下も協力してくれて、ナイフの装飾を手伝ってくれた。
柄に刻まれた文様や、鞘の彫刻は私に真似のできない見事なものだった。
「お手元の資料にありますように、ここにいるサヤカ・メディスンが9から16番目の鉱石を分離精製しました。サンプルはこちらにありますので、後ほどご確認ください。」
「まさか、そこの少女が16種類全てを発見したというのかね……」
「それも、彼女は鉱石からではなく、川底の砂利からそれを発見しています。彼女が着任してから、僕と見習いのルード君も一緒にその手法を習得し、今回麻袋5袋分の砂利を採取し、そこから抽出した金属だけでこのナイフを作り上げました。」
「し、信じられん……」
「そして、資料の2枚目に書きましたが、このナイフは主に鉄とクロムからできており、この成分で作られたステンレス製のナイフは錆びにくいとの事です。彼女の祖父でもある、引退された錬成師、薬聖のレブロ師によれば一か月雨ざらしにしても錆が出ていないそうです。」
「それは、錆止めの塗装が施されているのではないのかね?」
「ここにお持ちしたのは、錬成したままで塗装はされていません。先ほど団長にも鑑定していただきましたが、塗装は一切されていません。」
先生の言葉に、壇上の団長という白髭のおじいさんが頷いた。
この発表の後、先生の研究室には大勢の錬金術師が入り浸る事になった。
私は質問攻めにあっており、ルード殿下は水の分離を実演して見せるのに忙しい。
ゴメンね殿下……
【あとがき】
宮廷魔法師団での生活スタート
「違うよ。私が見つけてお爺さんに教えてあげたんだ。」
「バカな。なぜ7才の子供がそのようなものを見つけられるのだ……。宮廷錬金術師ですら知らない金属なのだぞ。」
「えっと、どう思ってもいいですけど、チタンは1000度くらいに加熱すると青くなってキレイなんですよ。」
「くっ、何でそんな事を知っているのだ。」
「自分で見つけた金属は、色々と条件を変えて試しているんですよ。」
「そ、そんなのは、宮廷錬金術師の仕事であって、子供がやる事ではない!」
「はいはい。何とでも言ってください。」
「ルード君、サヤカ君の使う錬成の術は凄いんだぞ。あれが出来るのであれば、それだけで実技試験は合格できるだろう。そうだ、明日は野外学習にして君にも見せてやろう。僕もあの術を覚えてサヤカ君と同じだけ金属を知っておきたいしね。」
先生からそのように指示をされて、翌日は近くの川に出かけた。
護衛に騎士が二人ついてくる。
まあ、王子の外出ならば当然か……
騎士たちが周辺の安全を確認して、私たちは川岸に出る。
この辺りは中流域になり、川幅も10mくらいあった。
岸の殆どは土だったが、流れが曲がっている場所や川底は砂利だった。
ズボンの裾をまくりあげ、少し流れの中に入って川底の砂利をさらう。
先生と殿下も同じように砂利を集めている。
岸に戻った私は、砂利を集めた麻布を地面に広げた。
「最初は水分を抜きます。砂利全体を魔力で包んで水だけを分離します。」
「ふむ……全体に魔力を流して成分を把握して、水だけを……いや、意外と難しいねコレ。」
「くっ……」
「殿下、一点に集中するのではなく、全体を柔らかく魔力で包む感じです。」
「いや、僕たちが普段やるのは、知っている金属の成分を足がかりにして、そこから魔力を広げていく感じだからね。こ、こうか。」
「むぅ……」
「殿下、力みすぎです。もっと優しく魔力を広げてください。」
それから結構な時間をかけて先生は水を分離したが、王子は魔力を使いすぎて疲れ切ってしまった。
私たちが取り組んでいる間に、騎士たちは大きな麻布5枚に砂利を詰め込んでいる。
私は、その分も水抜きをしていた。
「よし、後は研究室に戻って続けようじゃないか。サヤカ君、ルード君の砂利も水抜きをしてくれ。」
「はい、先生。」
秋口とはいえ、まだ風は暖かい。
赤とんぼが風に舞う中、私たちを乗せた馬車は城に戻っていった。
「それで、サヤカ君はどうやってあれほどの魔力操作を身につけたのかね?」
「えっと、2年前に魔力を授かって、最初はお爺ちゃんから身体の中を循環させる魔力操作を教わって、そしたら魔力の流れたところが活性化するのが分かったんで、全身に魔力を巡らせるようにしたんです。」
「ほう、身体中に魔力を……」
「一年間はそればっかりやっていました。それからポーション作りを教わってから、金属錬成の基礎を教わって川に行くようになって、夜は分離した金属を使って合金を作ったりしてました。」
「なるほどね、1年間は魔力操作だけをやって、それからプラントとメタル両方の指導を受けたのか。ルード君、錬金術師のジョブを受けて半年の君じゃあ太刀打ちできないよねぇ。」
「くっ……、ですが私には錬成のスキルがあります。」
「だが、先ほど採ってきたこの5袋の砂利を使って剣を錬成しろと言われたら、お前は剣を錬成する手前で断念する事になるのだぞ。」
「それなら、私は自前の鉄を使います。」
「あっ、それ面白そうですね。やってみたいです。」
「なにぃ!」
「あっ、殿下と勝負じゃないですよ。この砂利を使って、これまでに調べてきた一番切れ味の良いナイフを1本作ってみたいなって思ったんです。もちろん不錆鉄(ステンレス)ですよ。」
「な、何だそのステンとかいうのは?」
「ああ、レブロ師の言われていた合金だな。確か鉄に10%程のクロムという金属を加えるとか。」
「はい。これまでに試してきた中で、切れ味が良くて錆びない配合はクロム13%に炭素が0.3%。あとはマンガンやニッケルを微量加えたものになります。これだけの砂利があれば、ナイフ1本分の素材は集まると思います。」
「よし、じゃあ、砂利の成分分離ができたら、それも見せてもらおうじゃないか。」
「いいんですか?」
「勿論だよ。ルード君だって合金の配合比率なんてワクワクしちゃうだろ。」
「で、ですが、師匠はこんな小娘の妄言を本気にしてるんですか!」
「妄言かどうかは、実際に作ってもらえば分かる事さ。検証ができたら、サヤカ君の名前で宮廷錬金術師の皆に紹介する。新発見の金属素材と一緒にね。」
「そんな!見習いが実名で研究結果の報告など聞いたことがありません!」
「サヤカ君の研究成果は、皆で共有する事で宮廷錬金術師団の資産となるのだよ。これを公表しない事こそ損失といえる。そして、その先はルード君との共同研究だね。昨日聞いたブルーチタンのレイピアを作ってもらおうじゃないか。」
「ブ、ブルーチタンのレイピア……」
「素材が集められるかは分からないけど、見てみたいじゃないか。昨日見せてもらったブルーのチタンは美しかった。」
「それは……確かに……」
「君とサヤカ君の連名で、それを陛下に献上する。」
「あっ……」
「それが、公式の場で国民にお披露目されるところを想像して見たまえ。」
「震えそうですね……」
「それまでにルード君は国家錬金術師の資格をとって、その功績で宮廷錬金術師への推薦を勝ち取る。サヤカ君は、史上最年少で国家錬金術師の資格を得る。」
何だか、先生には妄想癖でもあるんじゃないかと疑ってしまう。
世の中はそれほど甘くないハズだ……
10日後、砂利の成分分離が完了し、その素材で私はステンレスのナイフを錬成した。
水の分離ができるようになったルード殿下も協力してくれて、ナイフの装飾を手伝ってくれた。
柄に刻まれた文様や、鞘の彫刻は私に真似のできない見事なものだった。
「お手元の資料にありますように、ここにいるサヤカ・メディスンが9から16番目の鉱石を分離精製しました。サンプルはこちらにありますので、後ほどご確認ください。」
「まさか、そこの少女が16種類全てを発見したというのかね……」
「それも、彼女は鉱石からではなく、川底の砂利からそれを発見しています。彼女が着任してから、僕と見習いのルード君も一緒にその手法を習得し、今回麻袋5袋分の砂利を採取し、そこから抽出した金属だけでこのナイフを作り上げました。」
「し、信じられん……」
「そして、資料の2枚目に書きましたが、このナイフは主に鉄とクロムからできており、この成分で作られたステンレス製のナイフは錆びにくいとの事です。彼女の祖父でもある、引退された錬成師、薬聖のレブロ師によれば一か月雨ざらしにしても錆が出ていないそうです。」
「それは、錆止めの塗装が施されているのではないのかね?」
「ここにお持ちしたのは、錬成したままで塗装はされていません。先ほど団長にも鑑定していただきましたが、塗装は一切されていません。」
先生の言葉に、壇上の団長という白髭のおじいさんが頷いた。
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