2 / 12
春の2ページ
しおりを挟む
時を同じくして、もう1つの噂も広がっていた。
そういえば、4組の井上くんいるじゃん?天海さんと手繋いでたらしいよ?
私も見た!
あの2人中学から一緒なんでしょ?付き合ってるのかな?
なんか噂によるとふられてるらしいよ?
え?
じゃあなんで仲良さげな訳?
そう、もう1つの噂とは・・・
薫と春斗のことについての噂である。それと同時に、薫は教室から浮いた存在となった。
互いに予期せぬ形での噂。意図して広まった訳では無いが、由紀と玲の噂が引き金となり回ってしまった。
誰がなんのために広めたか分からない。なんの目的があって広められたのかは分からないが、その2つの噂には共通することがあった。
それは・・・
その2つの噂は、独り歩きした真っ赤な嘘であるということである。
2つの噂は同時に2人の女の子にも影響を与えた。一方はいい広まり方をし、一方は悪い広まり方をしてしまった。
しかし、その噂を黙って見過ごすことの出来ない人物もいた。
「おい!誰だよこの噂広めた奴?」
「マジだりー、女子ってみんな暇?」
春斗と玲である。
2人はそれぞれの教室で個々に立ち上がり怒りをあらわにしていた。
静まり返る2つの教室。
「薫がなにかしたのかよ?てか何?その意味わかんねーハブり方?」
「ふざけてんじゃねーぞ!」
春斗は自身の椅子を蹴飛ばし薫の元に向かった。
「行くぞ」
春斗は周りの視線を押し切り薫の腕を掴んだ。同時に、玲のいる教室でも。
「ったく、俺が由紀の彼氏なわけないじゃん?同じ中学ってだけで変な噂流さないでくんね?」
玲が噂を打ち消そうと教卓の方で叫んでいた。
「玲いる?」
突如として教室に響き渡る声に一同は入口の方を見た。
「やっぱり、来ると思った」
玲が全てを理解した上で声の主に近づく。
「変わってないね、春斗は」
そう、声の主は春斗だったのである。
「変わってないじゃねぇーよ。また面倒増やしやがって!」
そういうと、一緒に来ていた薫の腕を引いた。
「妙なこと言ったの玲だろ?」
「あ、バレてた?薫ごめん!」
玲が深々と頭を下げた。
その光景に何が起きたのか分からないと言わんばかりの表情で見つめる一同。
「誰か知らないけど、俺と由紀の会話盗み聞きしてた奴いたみたいだけどさ。あれは、俺の嘘だから!」
「俺の嘘信じて変な噂流して気は済んだか?ま、出てこなくてもいいからさちゃんと謝っとけよ。」
玲と春斗の言葉に一同は言葉を失った。2人の行動で噂は初日にして終わった。
中学の頃から4人は仲が良く、いつも行動を共にしていた。
薫と由紀は仲が良く、互いに好きな相手を理解した上で好敵手であり親友であった。つまり二人の関係は、親友である。
玲は、そんな2人を見て奥手な由紀のためにいつも嘘をついていたのだった。
幼なじみ故の確立されてしまったポジション。そのハンデはあまりにも大きく、埋めることのできない距離であった。
それすらも玲は理解した上で由紀をいつも励ましていたのだ。
しかし、そんな玲の姿に春斗は不安があった。その不安が今回の一件である。
言葉はなくとも互いに理解し合える関係だからこそ迅速な対応で2人の女の子の高校生活は守られたのだ。
玲の優しさは時として問題を起こしてしまう。その度に気の荒い春斗がフォローを入れるのだった。
「今回はやばかったぞ?」
春斗が呆れたように言った。
「そうだね。春斗がいてよかったよ!」
玲は春斗を見てにっこりと笑った。
「玲~・・・、お前反省って文字頭の辞書にないのか?」
春斗はその笑顔に呆れたようにため息をついた。
「何男二人でイチャついてんのよ!」
由紀が2人を見て少し不貞腐れた様に話しかける。
「ほんとどうなるかと思ったよね。高校生活始まって早々に詰んだと思ったよね~。」
由紀が、悲しそうな表情の中にほっとした顔を見せると、その気持ちを悟ったのか春斗が話しかける。
「ごめん。由紀との約束守れなかったな。」
春斗が悔しそうな顔をしながら下を向いた。その表情を隣で見ていた玲は責任を感じているのか、少し悲しそうな表情をしていた。
玲が春斗を慰めようと口を開いたその時・・・。
「ねぇ、春斗?約束って何?」
由紀が不思議そうに言った。
春斗は思わず「え?」と口に出して、下げていた頭を思わず上げてしまった。その表情はまさに鳩が豆鉄砲をくらったような顔だった。
「春斗ってそんな顔するんだ」
由紀が普段見ることのできない春斗の表情を見て「ふふっ」とイタズラを思いついた子供のように笑っていた。
「バカにしてんだろ?」
春斗が不貞腐れた顔で由紀に問いかけると、それに返事をする由紀。
「え?なんの事?」
からかうように惚けた顔は、春斗にとってどんなに明るく輝く宝石より煌びやかに写っていた。
そういえば、4組の井上くんいるじゃん?天海さんと手繋いでたらしいよ?
私も見た!
あの2人中学から一緒なんでしょ?付き合ってるのかな?
なんか噂によるとふられてるらしいよ?
え?
じゃあなんで仲良さげな訳?
そう、もう1つの噂とは・・・
薫と春斗のことについての噂である。それと同時に、薫は教室から浮いた存在となった。
互いに予期せぬ形での噂。意図して広まった訳では無いが、由紀と玲の噂が引き金となり回ってしまった。
誰がなんのために広めたか分からない。なんの目的があって広められたのかは分からないが、その2つの噂には共通することがあった。
それは・・・
その2つの噂は、独り歩きした真っ赤な嘘であるということである。
2つの噂は同時に2人の女の子にも影響を与えた。一方はいい広まり方をし、一方は悪い広まり方をしてしまった。
しかし、その噂を黙って見過ごすことの出来ない人物もいた。
「おい!誰だよこの噂広めた奴?」
「マジだりー、女子ってみんな暇?」
春斗と玲である。
2人はそれぞれの教室で個々に立ち上がり怒りをあらわにしていた。
静まり返る2つの教室。
「薫がなにかしたのかよ?てか何?その意味わかんねーハブり方?」
「ふざけてんじゃねーぞ!」
春斗は自身の椅子を蹴飛ばし薫の元に向かった。
「行くぞ」
春斗は周りの視線を押し切り薫の腕を掴んだ。同時に、玲のいる教室でも。
「ったく、俺が由紀の彼氏なわけないじゃん?同じ中学ってだけで変な噂流さないでくんね?」
玲が噂を打ち消そうと教卓の方で叫んでいた。
「玲いる?」
突如として教室に響き渡る声に一同は入口の方を見た。
「やっぱり、来ると思った」
玲が全てを理解した上で声の主に近づく。
「変わってないね、春斗は」
そう、声の主は春斗だったのである。
「変わってないじゃねぇーよ。また面倒増やしやがって!」
そういうと、一緒に来ていた薫の腕を引いた。
「妙なこと言ったの玲だろ?」
「あ、バレてた?薫ごめん!」
玲が深々と頭を下げた。
その光景に何が起きたのか分からないと言わんばかりの表情で見つめる一同。
「誰か知らないけど、俺と由紀の会話盗み聞きしてた奴いたみたいだけどさ。あれは、俺の嘘だから!」
「俺の嘘信じて変な噂流して気は済んだか?ま、出てこなくてもいいからさちゃんと謝っとけよ。」
玲と春斗の言葉に一同は言葉を失った。2人の行動で噂は初日にして終わった。
中学の頃から4人は仲が良く、いつも行動を共にしていた。
薫と由紀は仲が良く、互いに好きな相手を理解した上で好敵手であり親友であった。つまり二人の関係は、親友である。
玲は、そんな2人を見て奥手な由紀のためにいつも嘘をついていたのだった。
幼なじみ故の確立されてしまったポジション。そのハンデはあまりにも大きく、埋めることのできない距離であった。
それすらも玲は理解した上で由紀をいつも励ましていたのだ。
しかし、そんな玲の姿に春斗は不安があった。その不安が今回の一件である。
言葉はなくとも互いに理解し合える関係だからこそ迅速な対応で2人の女の子の高校生活は守られたのだ。
玲の優しさは時として問題を起こしてしまう。その度に気の荒い春斗がフォローを入れるのだった。
「今回はやばかったぞ?」
春斗が呆れたように言った。
「そうだね。春斗がいてよかったよ!」
玲は春斗を見てにっこりと笑った。
「玲~・・・、お前反省って文字頭の辞書にないのか?」
春斗はその笑顔に呆れたようにため息をついた。
「何男二人でイチャついてんのよ!」
由紀が2人を見て少し不貞腐れた様に話しかける。
「ほんとどうなるかと思ったよね。高校生活始まって早々に詰んだと思ったよね~。」
由紀が、悲しそうな表情の中にほっとした顔を見せると、その気持ちを悟ったのか春斗が話しかける。
「ごめん。由紀との約束守れなかったな。」
春斗が悔しそうな顔をしながら下を向いた。その表情を隣で見ていた玲は責任を感じているのか、少し悲しそうな表情をしていた。
玲が春斗を慰めようと口を開いたその時・・・。
「ねぇ、春斗?約束って何?」
由紀が不思議そうに言った。
春斗は思わず「え?」と口に出して、下げていた頭を思わず上げてしまった。その表情はまさに鳩が豆鉄砲をくらったような顔だった。
「春斗ってそんな顔するんだ」
由紀が普段見ることのできない春斗の表情を見て「ふふっ」とイタズラを思いついた子供のように笑っていた。
「バカにしてんだろ?」
春斗が不貞腐れた顔で由紀に問いかけると、それに返事をする由紀。
「え?なんの事?」
からかうように惚けた顔は、春斗にとってどんなに明るく輝く宝石より煌びやかに写っていた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる