17 / 27
第拾漆章
Rebirth
しおりを挟む
和真は恵と共に駅へと向かった。俺達はこの時、あんなことになるなんて思っていなかった。
「ごめん、遅くなった。」
和真が美空に言った。美空が和真の声を聞き振り返ると、嬉しそうな笑顔を見せた。
「全然大丈夫だよ?それより、和真のお姉さんってどんな人?」
美空が和真と話しながら辺りを見渡すと、少し離れた場所から小走りで近ずいてくる女性を見つけた。美空が「はっ」と驚いた表情で見つめていると・・・。
「どうして置いてくのよ・・・。」
恵が息を切らして和真に言った。しかし、和真はそんなことはお構い無しに恵の紹介を始めた。
「こちらが恵さん優斗兄の彼女。で、俺が優斗兄のことをホントの兄貴のように慕ってるからって付き合ってる自分はお姉ちゃんだね?ってことで連れてきた。」
恵がその紹介の仕方に苦笑いをする。
「余計なこと言わなくていいから!それじゃまるで私が横暴な女みたいじゃない!」
恵が和真の紹介の仕方に自らフォローを入れる。
「なんか、私が邪魔者みたいじゃない」
恵が口を尖らせて和真に言った。すると、和真が恵の方を見て笑顔で言った。
「はい!」
恵は和真の笑顔に一瞬恐怖して言った。
「酷いじゃない~和真くん~」
恵が少し涙を浮かべて和真にしがみつく。その光景を見たらどっちが歳上か分からない状態だった。
「ごめんなさい、少しからかい過ぎちゃいました」
和真が恵の方を見て慌てるようになだめた。すると、恵が急に笑い始める。
「ぷっ、和真くんって意外と可愛いんだね~。落ち込んだと思った?嘘泣きだよ~、和真くんのあんな焦る顔初めて見たなー。」
恵がからかわれたことを利用して逆に和真をからかい返した。和真は少し悔しそうな顔で恵の方を見た。
「ごめんね。大人げなかったねー?」
恵が笑いながら謝罪をする。和真の目には後で覚えてろよ?とかかれているかのようだった。
「あ、そうだ!ここじゃなんだしカフェにでも行かない?」
恵が無理やり話を変える。あまりにも不自然な切り出しに呆然とする和真だったが、それに関しては和真も同意見だった為恵の提案にのることにした。
「美空はそれで大丈夫?」
和真が美空を気遣い尋ねた。美空が笑顔で返事をすると同時に財布の中身を確認した。
「ごめん!私今帰りの分しかなくて銀行よってもいい?」
3人は銀行へ向かった。その時、和真が美空の手に触れた瞬間だった。突如見たことも無い光景が飛び込んで来た。それは、銀行で強盗と鉢合わせて銀行内に閉じ込められてしまい、3人は人質になってしまうといった光景だった。しかし、その光景はあまりにも一瞬で動きがなく、まるで写真のようにいくつもの場面が見えた。
まただ・・・もう意味わかんねーよ!
「どうしたの?和真?」
美空と恵が心配そうに見つめる。
「さっきも和真くん、しんどそうにしてたけど・・・体調悪いの?」
恵が和真のことを心配そうに見つめて言った。
(ダメだダメだ!2人に心配かけさせる訳には行かない・・・)
和真が冷静を装うようにいつもの笑顔で言った。
「大丈夫だよ?2人ともごめんね?心配かけちゃって・・・。それじゃ行こっか?」
和真が2人を先導するように銀行へと向かった。
一方エデンガーデンでは・・・
まさか我が一旦を見るとはな・・・まれに見るが、あの人間も特別な能力に目覚めたというのか?
ゼウスが一人考えていた。
しかし、あの程度の者が帝王の加護を受けられようとは到底思えん・・・。しかし、もしそうなら・・・。もう少し動向を探る必要性があるか?
(あの人間は危険だ・・・。)
人は死に直面した時、自身に眠る潜在能力が開花すると言われている。しかしなぜ我が帝王の恩恵を受けられたのだ?
ゼウスがあるひとつの仮説に辿り着いた。
(人生ゲームに選ばれた人間はランダムに選別されたのではなく、恩恵の加護を受けた人間が選ばれていた。そして、あの時の事故がきっかけで眠っていた恩恵の力が目覚めたのか。つまり、今までリンクしていたことは予兆に過ぎなかった。今はまだあの人間は気がついてないようだが、もしその事に気がつけば我が命も危ういだろう・・・。)
ゼウスの仮説は正しかった。太古の昔、人間が神を崇め祈りを捧げていた時代。7人の神は今回の様に議会を開き、自らが選んだ人間7人に自らの力である恩恵を授けた。
神々の思惑どおり、選別した人間達はその能力を遺憾無く発揮し、地球に恵を与えたのだ。
しかし、人々の神々に対する気持ちは薄れ、やがて祈りすら忘れ去られてしまった。それにより、人々に与えられた恩恵の力も弱まり、その力は眠りについた。
その末裔こそ今回の7人の民である。
「ちょっと、早いよ~。なんでそんなに急ぐの?」
恵が和真を呼び止めようとする。しかし、和真は歩みを止めることは無かった。なぜなら、和真は疑いながらも先程の映像が現実のものじゃないかと確信していたからである。
(さっきのビジョン、あれは間違いなく現実だ。でも、確証はない。仮にあれが未来だとするなら俺たちが銀行に着いてすぐの出来事のはず・・・。そしてその時刻は・・・。)
和真はあの一瞬の間に銀行の時計に目を向けていたのだ。そのため、犯行が起きる時刻より先に用事を済ますつもりなのだろう。
しかし、そんなに甘いものではなかった。なぜなら、既に強盗達は銀行近くに張り込んでおり、その期を伺っていたからである。
つまり、避けて通ることのできない事件だった。
「ごめん、遅くなった。」
和真が美空に言った。美空が和真の声を聞き振り返ると、嬉しそうな笑顔を見せた。
「全然大丈夫だよ?それより、和真のお姉さんってどんな人?」
美空が和真と話しながら辺りを見渡すと、少し離れた場所から小走りで近ずいてくる女性を見つけた。美空が「はっ」と驚いた表情で見つめていると・・・。
「どうして置いてくのよ・・・。」
恵が息を切らして和真に言った。しかし、和真はそんなことはお構い無しに恵の紹介を始めた。
「こちらが恵さん優斗兄の彼女。で、俺が優斗兄のことをホントの兄貴のように慕ってるからって付き合ってる自分はお姉ちゃんだね?ってことで連れてきた。」
恵がその紹介の仕方に苦笑いをする。
「余計なこと言わなくていいから!それじゃまるで私が横暴な女みたいじゃない!」
恵が和真の紹介の仕方に自らフォローを入れる。
「なんか、私が邪魔者みたいじゃない」
恵が口を尖らせて和真に言った。すると、和真が恵の方を見て笑顔で言った。
「はい!」
恵は和真の笑顔に一瞬恐怖して言った。
「酷いじゃない~和真くん~」
恵が少し涙を浮かべて和真にしがみつく。その光景を見たらどっちが歳上か分からない状態だった。
「ごめんなさい、少しからかい過ぎちゃいました」
和真が恵の方を見て慌てるようになだめた。すると、恵が急に笑い始める。
「ぷっ、和真くんって意外と可愛いんだね~。落ち込んだと思った?嘘泣きだよ~、和真くんのあんな焦る顔初めて見たなー。」
恵がからかわれたことを利用して逆に和真をからかい返した。和真は少し悔しそうな顔で恵の方を見た。
「ごめんね。大人げなかったねー?」
恵が笑いながら謝罪をする。和真の目には後で覚えてろよ?とかかれているかのようだった。
「あ、そうだ!ここじゃなんだしカフェにでも行かない?」
恵が無理やり話を変える。あまりにも不自然な切り出しに呆然とする和真だったが、それに関しては和真も同意見だった為恵の提案にのることにした。
「美空はそれで大丈夫?」
和真が美空を気遣い尋ねた。美空が笑顔で返事をすると同時に財布の中身を確認した。
「ごめん!私今帰りの分しかなくて銀行よってもいい?」
3人は銀行へ向かった。その時、和真が美空の手に触れた瞬間だった。突如見たことも無い光景が飛び込んで来た。それは、銀行で強盗と鉢合わせて銀行内に閉じ込められてしまい、3人は人質になってしまうといった光景だった。しかし、その光景はあまりにも一瞬で動きがなく、まるで写真のようにいくつもの場面が見えた。
まただ・・・もう意味わかんねーよ!
「どうしたの?和真?」
美空と恵が心配そうに見つめる。
「さっきも和真くん、しんどそうにしてたけど・・・体調悪いの?」
恵が和真のことを心配そうに見つめて言った。
(ダメだダメだ!2人に心配かけさせる訳には行かない・・・)
和真が冷静を装うようにいつもの笑顔で言った。
「大丈夫だよ?2人ともごめんね?心配かけちゃって・・・。それじゃ行こっか?」
和真が2人を先導するように銀行へと向かった。
一方エデンガーデンでは・・・
まさか我が一旦を見るとはな・・・まれに見るが、あの人間も特別な能力に目覚めたというのか?
ゼウスが一人考えていた。
しかし、あの程度の者が帝王の加護を受けられようとは到底思えん・・・。しかし、もしそうなら・・・。もう少し動向を探る必要性があるか?
(あの人間は危険だ・・・。)
人は死に直面した時、自身に眠る潜在能力が開花すると言われている。しかしなぜ我が帝王の恩恵を受けられたのだ?
ゼウスがあるひとつの仮説に辿り着いた。
(人生ゲームに選ばれた人間はランダムに選別されたのではなく、恩恵の加護を受けた人間が選ばれていた。そして、あの時の事故がきっかけで眠っていた恩恵の力が目覚めたのか。つまり、今までリンクしていたことは予兆に過ぎなかった。今はまだあの人間は気がついてないようだが、もしその事に気がつけば我が命も危ういだろう・・・。)
ゼウスの仮説は正しかった。太古の昔、人間が神を崇め祈りを捧げていた時代。7人の神は今回の様に議会を開き、自らが選んだ人間7人に自らの力である恩恵を授けた。
神々の思惑どおり、選別した人間達はその能力を遺憾無く発揮し、地球に恵を与えたのだ。
しかし、人々の神々に対する気持ちは薄れ、やがて祈りすら忘れ去られてしまった。それにより、人々に与えられた恩恵の力も弱まり、その力は眠りについた。
その末裔こそ今回の7人の民である。
「ちょっと、早いよ~。なんでそんなに急ぐの?」
恵が和真を呼び止めようとする。しかし、和真は歩みを止めることは無かった。なぜなら、和真は疑いながらも先程の映像が現実のものじゃないかと確信していたからである。
(さっきのビジョン、あれは間違いなく現実だ。でも、確証はない。仮にあれが未来だとするなら俺たちが銀行に着いてすぐの出来事のはず・・・。そしてその時刻は・・・。)
和真はあの一瞬の間に銀行の時計に目を向けていたのだ。そのため、犯行が起きる時刻より先に用事を済ますつもりなのだろう。
しかし、そんなに甘いものではなかった。なぜなら、既に強盗達は銀行近くに張り込んでおり、その期を伺っていたからである。
つまり、避けて通ることのできない事件だった。
0
あなたにおすすめの小説
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる