49 / 160
【49】色仕掛け 〜デッカい釣り針〜
しおりを挟む
「では”デッカい釣り針”について話しましょう。殿下自ら潜入するって言うんですよね?」
「あぁ。俺とお前が加われば、女達の籠絡は早まるからな。だが……ダニエルと話してからだ。彼女は此処に置いて行きたいが、きっと手がつけれないほど暴れ回るだろうし」
「それだけならまだしも、逃げ出して追いかけていくでしょうね」
「ゔ~ん……」
「連れて行っても、殿下が女を口説く様を目の当たりにすれば、怒り狂い、その後激しく落ち込み、最後には猜疑心に苛まれますよ。”私への愛の言葉も全て嘘だったのね”って、ね」
「どうしたものかな」
サニーは頭を抱えた。
「准尉も軍人です。話せば理解するでしょう」
カイルの言葉にサニーとユージンは昨日のダニエルの大暴れを思い出し、同時に「無理だろ」と心の中で呟いた。
「いっその事、彼女を帯同させてはどうですか?マッキニー准尉の浮気性の婚約者として潜入するのです。そうすれば男爵夫妻や妹君にも近づきやすいでしょう、”家族になるから仲を深めたい”と言って」
「おまえならそのパターンを提言すると思ってたよ。ディディの家族から嫌われる役を引き受けると思うか」
「やることは一緒なんだから、別にいいじゃないですか。それに彼女を留めておけないなら、連れて行ったほうが後々混乱が起きませんよ」
「ん”ん”ん……」
サニーは暫し熟考した。
「色男を演じるにしても、娘を軽んじる薄情男は心証悪すぎるでしょ。却下だ、却下」
カイルは驚きを禁じえなかった。
幼少より長年サニーの側近を勤めているが、彼が誰かに好かれようと行動するのは稀だからだ。
「はいはい。それならポーラ君の友人として潜入できるよう手配しますから。殿下はマッキニー准尉を説得してくださいよ」
「あぁ、わかった」
「中佐、来週には殿下と私が加わりますので」
「滞りなく、準備しておきます」
「ありがとう、カイル」
「勿体無いお言葉でございます、殿下」
「ところでカイル、証人は最低三人確保すればいいんだよな。それならエド、おまえ、ユーリの三人がやればいいんじゃないか?俺までする必要あるか?」
「ありますよ、殿下のほうが女性を惹きつける力が強烈じゃないですか。むしろ殿下が三人全てを籠絡してほしいですね」
サボろうとするサニーを、ユージンが制する。
「それに証人は多ければ多いほどいいんですからね!殿下にも色仕掛けに参加してもらいますよ!!」
「え”ぇ”ぇ”……ユーリ、たまには俺を労わろうとか思わないのかよ」
「こっちの台詞ですよ、殿下。たまには私にも楽をさせてください!」
ダニエルが戻ってくる足音を感じて、ユージンは早口で会話を終わらせた。
「あぁ。俺とお前が加われば、女達の籠絡は早まるからな。だが……ダニエルと話してからだ。彼女は此処に置いて行きたいが、きっと手がつけれないほど暴れ回るだろうし」
「それだけならまだしも、逃げ出して追いかけていくでしょうね」
「ゔ~ん……」
「連れて行っても、殿下が女を口説く様を目の当たりにすれば、怒り狂い、その後激しく落ち込み、最後には猜疑心に苛まれますよ。”私への愛の言葉も全て嘘だったのね”って、ね」
「どうしたものかな」
サニーは頭を抱えた。
「准尉も軍人です。話せば理解するでしょう」
カイルの言葉にサニーとユージンは昨日のダニエルの大暴れを思い出し、同時に「無理だろ」と心の中で呟いた。
「いっその事、彼女を帯同させてはどうですか?マッキニー准尉の浮気性の婚約者として潜入するのです。そうすれば男爵夫妻や妹君にも近づきやすいでしょう、”家族になるから仲を深めたい”と言って」
「おまえならそのパターンを提言すると思ってたよ。ディディの家族から嫌われる役を引き受けると思うか」
「やることは一緒なんだから、別にいいじゃないですか。それに彼女を留めておけないなら、連れて行ったほうが後々混乱が起きませんよ」
「ん”ん”ん……」
サニーは暫し熟考した。
「色男を演じるにしても、娘を軽んじる薄情男は心証悪すぎるでしょ。却下だ、却下」
カイルは驚きを禁じえなかった。
幼少より長年サニーの側近を勤めているが、彼が誰かに好かれようと行動するのは稀だからだ。
「はいはい。それならポーラ君の友人として潜入できるよう手配しますから。殿下はマッキニー准尉を説得してくださいよ」
「あぁ、わかった」
「中佐、来週には殿下と私が加わりますので」
「滞りなく、準備しておきます」
「ありがとう、カイル」
「勿体無いお言葉でございます、殿下」
「ところでカイル、証人は最低三人確保すればいいんだよな。それならエド、おまえ、ユーリの三人がやればいいんじゃないか?俺までする必要あるか?」
「ありますよ、殿下のほうが女性を惹きつける力が強烈じゃないですか。むしろ殿下が三人全てを籠絡してほしいですね」
サボろうとするサニーを、ユージンが制する。
「それに証人は多ければ多いほどいいんですからね!殿下にも色仕掛けに参加してもらいますよ!!」
「え”ぇ”ぇ”……ユーリ、たまには俺を労わろうとか思わないのかよ」
「こっちの台詞ですよ、殿下。たまには私にも楽をさせてください!」
ダニエルが戻ってくる足音を感じて、ユージンは早口で会話を終わらせた。
10
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる