女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【49】色仕掛け 〜デッカい釣り針〜

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「では”デッカい釣り針”について話しましょう。殿下自ら潜入するって言うんですよね?」

「あぁ。俺とお前が加われば、女達の籠絡ろうらくは早まるからな。だが……ダニエルと話してからだ。彼女は此処に置いて行きたいが、きっと手がつけれないほど暴れ回るだろうし」


「それだけならまだしも、逃げ出して追いかけていくでしょうね」

「ゔ~ん……」


「連れて行っても、殿下が女を口説く様を目の当たりにすれば、怒り狂い、その後激しく落ち込み、最後には猜疑心さいぎしんに苛まれますよ。”私への愛の言葉も全て嘘だったのね”って、ね」

「どうしたものかな」

サニーは頭を抱えた。


「准尉も軍人です。話せば理解するでしょう」

カイルの言葉にサニーとユージンは昨日のダニエルの大暴れを思い出し、同時に「無理だろ」と心の中で呟いた。



「いっその事、彼女を帯同させてはどうですか?マッキニー准尉の浮気性の婚約者として潜入するのです。そうすれば男爵夫妻や妹君にも近づきやすいでしょう、”家族になるから仲を深めたい”と言って」

「おまえならそのパターンを提言すると思ってたよ。ディディの家族から嫌われる役を引き受けると思うか」


「やることは一緒なんだから、別にいいじゃないですか。それに彼女を留めておけないなら、連れて行ったほうが後々混乱が起きませんよ」

「ん”ん”ん……」

サニーは暫し熟考した。


「色男を演じるにしても、娘を軽んじる薄情男は心証悪すぎるでしょ。却下だ、却下」


カイルは驚きを禁じえなかった。

幼少より長年サニーの側近を勤めているが、彼が誰かに好かれようと行動するのは稀だからだ。



「はいはい。それならポーラ君の友人として潜入できるよう手配しますから。殿下はマッキニー准尉を説得してくださいよ」

「あぁ、わかった」


「中佐、来週には殿下と私が加わりますので」

「滞りなく、準備しておきます」

「ありがとう、カイル」

「勿体無いお言葉でございます、殿下」


「ところでカイル、証人は最低三人確保すればいいんだよな。それならエド、おまえ、ユーリの三人がやればいいんじゃないか?俺までする必要あるか?」

「ありますよ、殿下のほうが女性を惹きつける力が強烈じゃないですか。むしろ殿下が三人全てを籠絡してほしいですね」

サボろうとするサニーを、ユージンが制する。


「それに証人は多ければ多いほどいいんですからね!殿下にも色仕掛けに参加してもらいますよ!!」

「え”ぇ”ぇ”……ユーリ、たまには俺を労わろうとか思わないのかよ」


「こっちの台詞ですよ、殿下。たまには私にも楽をさせてください!」

ダニエルが戻ってくる足音を感じて、ユージンは早口で会話を終わらせた。
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