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第2章★閑話★
1☆天界国城下町散策☆
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ゼンタ「お前、今日休みだろう」
菫「はい……ん? なぜ知っているのですか?」
ゼンタ「執事長に問い合わせた。俺も今日は休みを取った」
菫「?」
ゼンタ「城下町に付き合ってやる。普段城にいたら、流行りの店など知らないのだろう」
菫「流行り? 洋服とか、靴とかですか?」
ゼンタ「そうだ」
菫「……知らないです。わたしを誘っても無駄かもしれません」
ゼンタ「は? どういうことだ?」
菫「カボシ姫への贈り物を選べ、とかじゃないんですか?」
ゼンタ「は? バカかお前は! いつもバカなんだな、お前は!」
菫「え……ヘコむ……」
ゼンタ「いつも同じような格好をしているから、何か違う服を買えよ。ブランド物とか。みっともない」
菫「みっともない! 女中のお給料でブランド品など買えませんし、そもそもわたし自分が着るのには興味ないので、最低限生活できる服や小物があれば充分なんですけど」
ゼンタ「……いいからこい。お前この前ルージュさんに影でひどく言われてたぞ。休日に同じ安物の洋服ばかり着ていると。ああはなりたくないと」
菫「えっ……ルージュ様元気そう。良かった」
ゼンタ「そこか、気にするのは!」
菫「まあ洋服の件は事実ですから……」
ゼンタ「悔しくないのか?」
菫「? なにが?」
ゼンタ「俺は悔しい!」
菫「わ、びっくりした……テンション……」
ゼンタ「俺が服を見繕う。少しは見られるようにしてやる」
菫「え、わたしの気持ちが……置いてけぼり……」
ゼンタ「行くぞ、お前!」
菫「スミレです……いいかげん覚えて……」
***
ゼンタ「ええと、リラ・クレフィンは……この辺りだな……」
菫「あっ、ゼンタ様、わたし下着買いたかったの。寄ってもいい?」
ゼンタ「は? 待て、今度にしろ」
菫「ランジェリーショップなんて、ここを逃したらないかもしれないじゃないですか。ね、お願い」
ゼンタ「腕にしがみつくな」
菫「可愛いの買うから、ね?」
ゼンタ「誤解を招くようなこと言うな! ワタルさんに言いつけるぞ」
菫「わたし胸のサイズ、ちゃんと測ってもらおうかな。3年間測ってないんですよね」
ゼンタ「変わってないだろ」
菫「わかりませんよ、15歳のとき測ったきりなのよ」
ゼンタ(15歳から18歳か……確かに変わるかもしれないか……)
ゼンタ「行ってこい。俺は外で待っているから」
菫「嘘つき。俺が見繕うって言ってくれたのに」
ゼンタ「ふ、ふ、服のことを言ったんだ!」
菫「下着も服ですよ。ほら、あれなんか可愛いな。紫がいいかな。黒や赤もいいよね」
ゼンタ「……おい待て……下着ってそんなに高いのか……」
菫「うん? 値段? そう、高いんですよ」
ゼンタ「生地の面積は少ないのに……おい、何だそっちのデザインは……はしたない」
菫「まあ、ゼンタ様お目が高い。これは所謂勝負下着と呼ばれるものですわ」
ゼンタ「あたかも店員のように話すなよ……」
菫「こういうのがいいの? うーん、これ、大部分のおしり隠れないからなあ……」
ゼンタ「……お前、そんな紐みたいなやつ履いたことがあるのか」
菫(着物のときはこれがいいんだよね)
菫「えっと……ないです」
ゼンタ(間が開いたな……あるのかよ、履いたこと。ワタルさんの前でかな……すげーな、こいつ……)
菫「ゼンタ様がお好きならこれにしようかな」
ゼンタ「……」
菫「ゼンタ様?」
ゼンタ「あ、いや。可愛く着飾ってもどうせお前は……」
菫「えっ、なに? 素材が良くない? 胸が小さいからムダ?」
ゼンタ(こいつどれだけ俺を毒舌だと思ってるんだ……)
ゼンタ「違う。どうせお前は……その……1日6回も……するんだから勝負下着なんかいらないだろ。裸一択だろ」
菫「えっ……」
ゼンタ「え?」
菫「ゼ、ゼンタ様、そのことは忘れて下さいよ……」
ゼンタ(珍しい、照れてる……かわい……くない! こいつは生意気な女中!)
ゼンタ「ワタルさん、こういう紐みたいなのがいいのか……」
菫「ワタル!?」
ゼンタ「あの人ああ見えてムッツリななんだな……」
菫「も、もうゼンタ様ったら……そうだ、わたし胸のサイズ測ってもらってきますね」
ゼンタ「お、おい、こんなところに俺を1人にするなよ……」
菫「え? 一緒に個室、きます?」
ゼンタ(……1人にされるよりましか)
ゼンタ「行く」
***
菫「わーい、ゼンタ様、わーい」
ゼンタ「……」
ゼンタ(個室で上半身下着だけになって測るなら言ってほしかった……)
菫「ゼンタ様、1カップ大きくなってたの。わーい」
ゼンタ「お前……俺に下着姿見られて恥ずかしくないのかよ……」
菫「え? ゼンタ様ずっと恥ずかしがって後ろ向いてたじゃない。見てなかったでしょ?」
ゼンタ「それはそうだが……店員との会話は丸聞こえなんだが……」
菫「わーい。ほらゼンタ様、あの紐みたいな下着、買いましたよ」
ゼンタ「買ったの⁉ あれを⁉」
菫「うん」
菫(着物のときは紐タイプがいいんだよね)
ゼンタ「すげーな、お前……」
ゼンタ(こんな可愛い顔してあんな際どいの履くのか……)
菫「あとで見せてあげるね」
ゼンタ「見せる⁉ おい、それはダメだろ。お前……露出が過ぎるぞ」
菫「や、やだ。ただ買ったのを見せるだけですよ。履いたのを見せるのは、さすがに恥ずかしいです」
ゼンタ「買ったのを恋人でもない男に見せるのもどうかと思うが……」
菫(興味ありそうだから言っただけなのに……)
菫「あとはオレンジ色のふわふわした可愛いの買いました」
ゼンタ「あれか……お前迷ってたもんな、最後まで」
菫「はい」
ゼンタ「なんでオレンジなんだ? お前は絶対白を買うと思った」
菫「白? なんで?」
ゼンタ「いや……ワタルさんの色だろ。オレンジだとカルラさんの色じゃないか」
菫「!」
菫(きゃー、鋭い!)
菫「オレンジの気分だったの。今度買うときは黒にするね」
ゼンタ「! お前、からかうなよ」
菫「ごめんね、お待たせしました。お洋服、見に行きましょう」
ゼンタ「もう寄り道するなよ」
菫「うん」
ゼンタ「見ろ、これだ。お前には絶対このブランドが似合うと思ったんだ」
菫「わあ……素敵……音符がモチーフになっているのね……」
ゼンタ「可愛さの中に落ち着きもある。試着してみよう」
菫「……ゼンタ様、わたし見るだけにしておきます。素敵ですけどこんな高いの買えないです」
ゼンタ「……だから、俺が買うんだよ」
菫「えっ、ダメです。高すぎます」
ゼンタ「……見返してやるんだ、ルージュさんを」
菫「わたし何を言われても平気ですから……」
ゼンタ「俺がお前を着飾りたいんだよ。今回だけ、プレゼントさせてくれ」
菫(……なんでルージュ様に対抗してるの?)
菫「この格好、変?」
ゼンタ「いいや、かわい……変ではない。ただ今日はリョウマさんの家にルージュさんが遊びに来ている。突撃してお前のかわい……とにかく見返してやるんだ、ルージュさんを」
菫「ゼンタ様、今日はせっかくのお休みですから、見返すエネルギーがもったいないですよ。言いたい方には言わせておけばいいのよ」
ゼンタ「お前、鋼の心臓かよ……」
菫「お洋服買って下さるのはとても嬉しいですけど、そのお金をディナーに回して、少し贅沢なデートを楽しみたいわ、あなたと」
ゼンタ「……そうか」
菫「うん。わたしにお金使わないで、貯めて下さい。将来素敵な彼女が出来たら、彼女に使って差し上げて下さい」
ゼンタ「今日は……お前と全力でデートをしているつもりだ。この服はお前に似合うと思って、俺が選んだんだから、プレゼントさせてほしい。それから、少しランクは下がるが、夕食を食べて帰ろう」
菫「えっ、でも……」
ゼンタ「……俺が、そうしたいんだ。お前にきっと似合う」
菫(ここまで言われて断ったらおかしいか……)
菫「本当? 嬉しいゼンタ様。じゃあ、買ってもらおうかな。あなたのために着るわね」
ゼンタ「ああ」
菫「あと、この服着るときは紐のランジェリーもセットで履くわね」
ゼンタ「いやなんでだよ……」
☆終わり☆
菫「はい……ん? なぜ知っているのですか?」
ゼンタ「執事長に問い合わせた。俺も今日は休みを取った」
菫「?」
ゼンタ「城下町に付き合ってやる。普段城にいたら、流行りの店など知らないのだろう」
菫「流行り? 洋服とか、靴とかですか?」
ゼンタ「そうだ」
菫「……知らないです。わたしを誘っても無駄かもしれません」
ゼンタ「は? どういうことだ?」
菫「カボシ姫への贈り物を選べ、とかじゃないんですか?」
ゼンタ「は? バカかお前は! いつもバカなんだな、お前は!」
菫「え……ヘコむ……」
ゼンタ「いつも同じような格好をしているから、何か違う服を買えよ。ブランド物とか。みっともない」
菫「みっともない! 女中のお給料でブランド品など買えませんし、そもそもわたし自分が着るのには興味ないので、最低限生活できる服や小物があれば充分なんですけど」
ゼンタ「……いいからこい。お前この前ルージュさんに影でひどく言われてたぞ。休日に同じ安物の洋服ばかり着ていると。ああはなりたくないと」
菫「えっ……ルージュ様元気そう。良かった」
ゼンタ「そこか、気にするのは!」
菫「まあ洋服の件は事実ですから……」
ゼンタ「悔しくないのか?」
菫「? なにが?」
ゼンタ「俺は悔しい!」
菫「わ、びっくりした……テンション……」
ゼンタ「俺が服を見繕う。少しは見られるようにしてやる」
菫「え、わたしの気持ちが……置いてけぼり……」
ゼンタ「行くぞ、お前!」
菫「スミレです……いいかげん覚えて……」
***
ゼンタ「ええと、リラ・クレフィンは……この辺りだな……」
菫「あっ、ゼンタ様、わたし下着買いたかったの。寄ってもいい?」
ゼンタ「は? 待て、今度にしろ」
菫「ランジェリーショップなんて、ここを逃したらないかもしれないじゃないですか。ね、お願い」
ゼンタ「腕にしがみつくな」
菫「可愛いの買うから、ね?」
ゼンタ「誤解を招くようなこと言うな! ワタルさんに言いつけるぞ」
菫「わたし胸のサイズ、ちゃんと測ってもらおうかな。3年間測ってないんですよね」
ゼンタ「変わってないだろ」
菫「わかりませんよ、15歳のとき測ったきりなのよ」
ゼンタ(15歳から18歳か……確かに変わるかもしれないか……)
ゼンタ「行ってこい。俺は外で待っているから」
菫「嘘つき。俺が見繕うって言ってくれたのに」
ゼンタ「ふ、ふ、服のことを言ったんだ!」
菫「下着も服ですよ。ほら、あれなんか可愛いな。紫がいいかな。黒や赤もいいよね」
ゼンタ「……おい待て……下着ってそんなに高いのか……」
菫「うん? 値段? そう、高いんですよ」
ゼンタ「生地の面積は少ないのに……おい、何だそっちのデザインは……はしたない」
菫「まあ、ゼンタ様お目が高い。これは所謂勝負下着と呼ばれるものですわ」
ゼンタ「あたかも店員のように話すなよ……」
菫「こういうのがいいの? うーん、これ、大部分のおしり隠れないからなあ……」
ゼンタ「……お前、そんな紐みたいなやつ履いたことがあるのか」
菫(着物のときはこれがいいんだよね)
菫「えっと……ないです」
ゼンタ(間が開いたな……あるのかよ、履いたこと。ワタルさんの前でかな……すげーな、こいつ……)
菫「ゼンタ様がお好きならこれにしようかな」
ゼンタ「……」
菫「ゼンタ様?」
ゼンタ「あ、いや。可愛く着飾ってもどうせお前は……」
菫「えっ、なに? 素材が良くない? 胸が小さいからムダ?」
ゼンタ(こいつどれだけ俺を毒舌だと思ってるんだ……)
ゼンタ「違う。どうせお前は……その……1日6回も……するんだから勝負下着なんかいらないだろ。裸一択だろ」
菫「えっ……」
ゼンタ「え?」
菫「ゼ、ゼンタ様、そのことは忘れて下さいよ……」
ゼンタ(珍しい、照れてる……かわい……くない! こいつは生意気な女中!)
ゼンタ「ワタルさん、こういう紐みたいなのがいいのか……」
菫「ワタル!?」
ゼンタ「あの人ああ見えてムッツリななんだな……」
菫「も、もうゼンタ様ったら……そうだ、わたし胸のサイズ測ってもらってきますね」
ゼンタ「お、おい、こんなところに俺を1人にするなよ……」
菫「え? 一緒に個室、きます?」
ゼンタ(……1人にされるよりましか)
ゼンタ「行く」
***
菫「わーい、ゼンタ様、わーい」
ゼンタ「……」
ゼンタ(個室で上半身下着だけになって測るなら言ってほしかった……)
菫「ゼンタ様、1カップ大きくなってたの。わーい」
ゼンタ「お前……俺に下着姿見られて恥ずかしくないのかよ……」
菫「え? ゼンタ様ずっと恥ずかしがって後ろ向いてたじゃない。見てなかったでしょ?」
ゼンタ「それはそうだが……店員との会話は丸聞こえなんだが……」
菫「わーい。ほらゼンタ様、あの紐みたいな下着、買いましたよ」
ゼンタ「買ったの⁉ あれを⁉」
菫「うん」
菫(着物のときは紐タイプがいいんだよね)
ゼンタ「すげーな、お前……」
ゼンタ(こんな可愛い顔してあんな際どいの履くのか……)
菫「あとで見せてあげるね」
ゼンタ「見せる⁉ おい、それはダメだろ。お前……露出が過ぎるぞ」
菫「や、やだ。ただ買ったのを見せるだけですよ。履いたのを見せるのは、さすがに恥ずかしいです」
ゼンタ「買ったのを恋人でもない男に見せるのもどうかと思うが……」
菫(興味ありそうだから言っただけなのに……)
菫「あとはオレンジ色のふわふわした可愛いの買いました」
ゼンタ「あれか……お前迷ってたもんな、最後まで」
菫「はい」
ゼンタ「なんでオレンジなんだ? お前は絶対白を買うと思った」
菫「白? なんで?」
ゼンタ「いや……ワタルさんの色だろ。オレンジだとカルラさんの色じゃないか」
菫「!」
菫(きゃー、鋭い!)
菫「オレンジの気分だったの。今度買うときは黒にするね」
ゼンタ「! お前、からかうなよ」
菫「ごめんね、お待たせしました。お洋服、見に行きましょう」
ゼンタ「もう寄り道するなよ」
菫「うん」
ゼンタ「見ろ、これだ。お前には絶対このブランドが似合うと思ったんだ」
菫「わあ……素敵……音符がモチーフになっているのね……」
ゼンタ「可愛さの中に落ち着きもある。試着してみよう」
菫「……ゼンタ様、わたし見るだけにしておきます。素敵ですけどこんな高いの買えないです」
ゼンタ「……だから、俺が買うんだよ」
菫「えっ、ダメです。高すぎます」
ゼンタ「……見返してやるんだ、ルージュさんを」
菫「わたし何を言われても平気ですから……」
ゼンタ「俺がお前を着飾りたいんだよ。今回だけ、プレゼントさせてくれ」
菫(……なんでルージュ様に対抗してるの?)
菫「この格好、変?」
ゼンタ「いいや、かわい……変ではない。ただ今日はリョウマさんの家にルージュさんが遊びに来ている。突撃してお前のかわい……とにかく見返してやるんだ、ルージュさんを」
菫「ゼンタ様、今日はせっかくのお休みですから、見返すエネルギーがもったいないですよ。言いたい方には言わせておけばいいのよ」
ゼンタ「お前、鋼の心臓かよ……」
菫「お洋服買って下さるのはとても嬉しいですけど、そのお金をディナーに回して、少し贅沢なデートを楽しみたいわ、あなたと」
ゼンタ「……そうか」
菫「うん。わたしにお金使わないで、貯めて下さい。将来素敵な彼女が出来たら、彼女に使って差し上げて下さい」
ゼンタ「今日は……お前と全力でデートをしているつもりだ。この服はお前に似合うと思って、俺が選んだんだから、プレゼントさせてほしい。それから、少しランクは下がるが、夕食を食べて帰ろう」
菫「えっ、でも……」
ゼンタ「……俺が、そうしたいんだ。お前にきっと似合う」
菫(ここまで言われて断ったらおかしいか……)
菫「本当? 嬉しいゼンタ様。じゃあ、買ってもらおうかな。あなたのために着るわね」
ゼンタ「ああ」
菫「あと、この服着るときは紐のランジェリーもセットで履くわね」
ゼンタ「いやなんでだよ……」
☆終わり☆
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